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「毎日が息苦しい」「心から楽しいと思えなくなった」――そんな生きづらさを抱えていませんか。頑張り過ぎて心をすり減らしたり、他人と比べて「自分なんて」と卑下したり。いつの間にか自分を縛りつけている考えが自身をつらくしているのかもしれません。そこで、今回は『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』の著者で精神科医の藤野智哉先生に、心を軽くして生きるコツをうかがいました。3回にわけてお届けします。

監修
藤野 智哉

頑張り過ぎてしまう人や自己評価が低い人、その理由は?

女性

自分を追い込んでしまう頑張り過ぎや「自分なんて」という感情。現代ではそうした“心の縛り”と無関係でいられる人のほうがじつは少数派ともいえます。

「人にはもともと自己からの承認欲求と他者からの承認欲求があり、他者に認められたあとに自分で自分を認めていくわけですが、現代はこの他者からの承認が得られにくく、それが生きづらさになっているのではと思っています。それは広く普及したSNSとも関係していて、表面上の虚像をそのまま受け取ってしまったり、“いいね”の数が少ないことで人に認められていないと感じたりして、自分の評価を低くしてしまうことがよくあります。一見、便利なSNSですが、想像以上に人の心が“支配されている”といっても過言ではありません」(藤野先生)

つらいと感じてしまう理由にはこうした現代ならではの一面も。さらに日本社会の特性も関係しているよう。

「日本は同質化社会ということもあり、周囲の目を気にしたり、期待に応えようとしたりして、他人に認められることで自分の価値を判断しがち。他人の評価に一喜一憂し、自分をほめることができなくなっています。でも、心が満たされるには自分で自分を認めることが大事なのです」

評価の軸を「自分」に戻そう

リラックスする女性

自己評価が低い人がいる一方で、反対に“やけに自己評価が高い人”もいます。心理学的には「能力の低い人は自分の能力を過大評価する」という考えがあるそうです。

「自己の過大評価は自分がすぐれているという一種の錯覚なのですが、逆に考えると、能力が高い人ほど自己評価が低い場合が十分に想定されます。自己評価が高い人ほどまわりが見えていないけれど、自己評価の低い人は周囲の状況がよく目に入っているということだと考えることもできます」

ただ、ここでひとつだけ注意したいのは、自己評価が低い人はすぐに他人と比べてしまう特徴があるということ。

「もっとつらい人がいるから自分も頑張らないと」や「人と比べたら自分なんて」と評価軸が自分の軸ではなく、他人の軸になると、生きづらさにつながっていきます。

「自分の評価は自分を軸として定めなくてはいけません。評価軸が他人になっていると、自分がつらいと思ったときもほかの人を見て、つい比べてしまう。まだまだ頑張らなくてはいけないと思ってしまうのです」

全力で脱力してみよう

手に花を持つ人

他人主体の評価軸からくる自分の中のつらさや不自由さ。何かとストレスが多い現代社会で、「自分なんて」という思いや、「頑張り過ぎる自分」から脱却するには、どうしたらよいのでしょうか。

藤野先生がオススメするのが、「まぁ、いっか」とつぶやいて、力を抜くこと。

「頑張り過ぎているのにそんな自分を認められないのは、まわりが見え過ぎる広い視野の持ち主だから。自分の謙虚さと視野の広さを誇り、ここらへんでいいのかな、という適度な落としどころを探ったらどうかと思うのです」

そして、完璧を目指さず、嫌なことがあったら目をそらしたり、逃げたりすることも大切。それはいい意味で“いい加減”に生きることだといいます。

力を抜いて“いい加減”に生きていく――。次回はそのコツをお伝えします!

文/庄司真紀

『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)

藤野 智哉

藤野 智哉

愛知県名古屋市にて出生。秋田大学医学部卒業後、愛知県内の総合病院にて臨床研修。その後、愛知医大病院精神神経科に入局し多くの関連病院で勤務。産業医の資格も持ち、現在は大学病院勤務の傍ら、刑務所の非常勤医師、看護学校の非常勤講師なども務める。自身も心臓に障害を抱え、現在も治療を続けていることから、障害とともに生きることで学んできた考え方や精神科医としての知見を広めている。精神医療へのハードルを下げ身近に感じてもらえるよう、多数のテレビ出演やTwitterでの発信、執筆活動も行い、世の中を脱力させようとしている。著書に『あきらめるとうまくいく』(ワニブックス)『コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める』(同)『「いい加減」の処方せん』(同)がある。

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