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<04. LIFESTYLE>
体の“本当の声”を聞くことと、水分を出すことを意識しています
1日の過ごし方…いまはやや昼夜逆転ぎみなので参考にならないと思うんですけど(笑)、とにかく眠くなったら寝る、起きたくなったら起きるといった感じで、自分の体に正直に生きています。目覚ましをかけないで寝ることで、自分の体のリズムを知ることもできました。
食事も、きっちり3食とるわけではなく、食べたくなったら食べます。ただし、夜は食べないようにしていますね。自由に過ごしていると、「食べたい」っていう甘えが出てくるので、そこだけは死守。それに、夜遅くに食べると調子が悪くなりますし、太る原因にもなりますから。
この自粛生活で、自分の体の声を聞けるようになったのは、すごくいい機会だととらえています。
あとは、とにかく「出す」ということも意識しています。自分の美容法では、“いかに入れるか”ということよりも、“いかに出すか”ということを大事にしていて。
汗や涙って、出すとスッキリしませんか? 私はすごくスッキリするんですけど、そこで「スッキリすることって何なんだろう?」って考えたら、「水分を出す」ということに行きついたんです。「もうムリ!」って思うことがあったら(笑)、お風呂とかサウナに行ってたっぷり汗をかいて、心も体もスッキリさせる。
先ほどのお通じもしかり。腸内環境がよくなると余分な水分も排除され、血の巡りもよくなって、むくみや冷えも改善されます。いま腸がとてもいい状態だから、私、免疫力がかなり高いんじゃないかな(笑)。以前は体温が35℃台のときもあったんですけど、いまは平均36℃半ばから後半くらいあります。それは、サラダ食、オイル、添加物や塩分控える、アーモンドミルク、体内の水分を出す…といった、あらゆる健康にいいものを試してきたおかげかなと思いますね。
行き当たりばったり(?)のインスタライブを楽しんでいます(笑)
最近、Instagramでインスタライブを始めたんです。
始めたころは、ずっと「なんか、恥ずかしいな…」と思いながらやっていたんですけど、喋り続けているうちにすごく楽しくなってきて、いまは「あ、じゃあこれやろうよ!」って積極的になっている自分も現れたりして(笑)。
楽しいって言ってくださる人もいて、すごくうれしいですし、ありがたいのですが、私もみなさんにとても楽しませてもらっているんですよ。むしろ、みなさんに楽しませてほしい、みたいなところもあって。
自分が何かを与えられる人間だとは思いませんし、与えることはできないけれど、その共有している時間をお互いが楽しく過ごせたらいいという感覚でいるから、あえて時間と内容をきっちり決めきってライブをするということはしていません。
たとえば「今日はお料理を作ります!」と言って、最初は天ぷらを作る予定でいるんですけど、食材を眺めていたらなぜかメニューがきんぴらに変わり、そこから急にきんぴらを作らずにメイクを始める…という感じで、気の赴くままに動いています。
昨日のインスタライブでもたまたまメイクをしていたので、閲覧していた方から「オフしなよ」って言われて、「じゃ、オフしちゃお」と。でも、オフしようとしたら、急に私が「いや、ちょっと待って。久々にメイクをしたから、逆にもっと濃いのやってみない?」って言ったら、「見たい!」と盛り上がったので、かなり派手なメイクをすることに(笑)。
そこから今度は、「衣装がメイクと合ってなくない?」「じゃ、ファッションショーしようか」という流れで、イケイケのサングラスやふだん着ないような派手めなヒールを履いて、ファッションショーをしました。これも自然のなりゆきというか、あえて決めないでやることで生まれた流れだな、と。
インスタライブを通じて、みなさんの意見をとり入れながら一緒にやっていくことで、いろいろな気づきもあるし、得ることも多いんです。引き続き、楽しんでいきたいですね。
<05 MY RULES>
いい仕事をするためにも、自分が納得できる状態にしておく
おこもり生活を経験したことで、徐々に心が豊かになってきたような気がします。人と会わないことで、よくも悪くも雑念みたいなものが入ってこなくなり、自分のなかの純度が高まっていくような感覚があって、いまは自分というのを鍛えることも作ることもできる時間だと思うんです。
単純に、物体はふれられなければ汚れませんよね。カルマじゃないですけど、そういう影響を受けていないからこそ、自分で言うのもなんですが、心がピュアに、清らかになった気がします。
もともと妙に潔癖症みたいなところがあり、デビューしてからこの20年間、物理的にも精神的にもあまりふれられたくないという思いがありました。
仕事がなくて暇なときもありましたし、すごく退屈を感じていたこともあったし、自分が認められないことへのもどかしさもあったりもしましたが、いろんな誘惑を断ち切り、体と心を磨き続けることで、なんとか自分を保ってきたような気がします。
もちろん、聖女みたいに生きてきたわけではなく(笑)、心がすさむようなこともあったけれど、それでも自分にうしろめたいことをすると、それがいつか尾を引いてくる気がして。
現実逃避して楽しむことが悪いわけではないし、行ったら行ったで楽しいだろうし、ほかの人にとってはそれが大切な場合もある。でも、私は人に影響を受けやすく、意志が強いわけではないからこそ、一度楽しいことやラクなほうにいくと流されてしまう気がして、そんな中途半端な気持ちではいい仕事ができないと思ったんです。
私はとくに尊敬されるような立派な人でもなかったですし、実績もあるわけではなかったけれど、つねに自分が納得できるような状態にしておきたいという思いが強いのかもしれません。
“心のクリスタル”を磨けば自ずとすべてがキレイになる
仕事柄、人前に出ることが多いので、外見の美というのも大事だとは思うのですが、20年間仕事をしてきていちばん大切だと思うのが「心の美しさ」。その心の美しさが、オーラや醸し出す雰囲気、物ごとを見る美的センス、ひいては外見的な美につながっていくと思うんです。
心を美しくするためには、ひたすら「心を磨く」ことだと思いますが、「心を磨く」と表現すると抽象的なので、心にクリスタルがあって、それを磨いていくとイメージするようにしています。ちょっと油断するとその心のクリスタルがすぐに汚れてしまうから(笑)、つねに磨くことを意識。ちょっと汚れてきたな、と思ったら、すぐに自分と向き合って何が汚れた原因なのかを考えて、それをとり除く。
外見的なものはただの“ツール”であって、心をキレイにすることだけに注力すれば、自ずと行動が変わってくると思います。恋をすると美しくなると言われているのも、心が満たされて、心がキレイになるからこそ。私は、いいお仕事をしたいという目的があるから、食事や運動、その自分の言動、すべてにおいて気をつけようと自然に思えるし、それが苦痛じゃないんです。
きっとだれでも何かしら目的や目標があれば、義務的な「~しなくちゃ」から自発的に「~しよう」というふうに意識が変わり、自然と行動も変わると思います。
自分を取り繕ったり、大きく見せようとしたりしないで、素をさらけ出す
お芝居って、完璧に計算して演じられるだけでなく、自分の内面というか、思いが自然と出てきてしまうものだと思うんです。内面は隠しきれるものではなくて、がんばってよく見せようとか、うまく見せようとしても真までは隠せない。繕うような美しさや、本来の自分以上によく見せようとすると、すぐに見透かされてしまうから。自分のなかでの「最大限よく見せる」はいいと思うんですけど、その最大限を超えるものは本当の自分じゃない。
以前は自分に自信が持てないと、何か自分を隠すものを使ってがんばっていたところがあったんです。でも、心のクリスタルを磨いてキレイにしていると、自分に本当に必要なものや、やるべきことが見えてくるし、ブレなくなるから、そんなものは必要なくなってくるはずなんですよね。そうなりたいと思ってずっとやってきました。
10年前、20年前の自分はそういうことができなかったけれど、いまようやく、着ていた鎧を少しずつ脱げるようになってきたんです。だから、インスタグラムもインスタライブも、最初は自分の素を見せることに抵抗があったけれど、ムリに隠してもしかたないって思ってやりはじめたらすごく楽しくて。
35歳で料理しないって…なんかダメじゃないですか?(笑) しかも女優で、人前に出る仕事で、ある意味みんなに憧れられたほうがいい立場かもしれないのに、それをことごとく崩していっている(笑)。
でも、そこで取り繕って「私、料理します」「煮物作れます」って言ってもしかたのないことだし、「料理ができないから教えて。でも、味にはちょっと自信があるよ」とか、そういうそのままの自分を見せることで、新たなコミュニケーションが生まれることもあるし、新しい発見もあるし、学びもある。
意外と、「35歳なのに料理できないの?」っていう意見はあまりないんですよ。多少みんな思っているかもしれないけれど(笑)、キレイなものばかり見せていたら、たぶんこんなインスタライブにはならないでしょうし。
自分を偽らずに素でいるためには、つねに自分を、そして心のクリスタルを磨き続ける努力をしていかなければいけないと思っています。
<MESSAGE>
このおこもり期間中での気づきや発見を人生の糧に
自粛生活も、あと少し(取材は2020年5月上旬)。
この期間中、いかなる態度で過ごしたかによって、この先の人生や生き方が変わってくるような気がしています。
今回、もっとも大切だと感じたのは、できるだけ想像力を働かせて、相手の立場に立って客観的にものごとを考えるということ。やっとつかめた…20年目でようやくつかめた仕事がすべてできないという衝撃をいま味わっているわけですけど、そんなことよりももっと大変な…それこそ、命がけで働いている医療従事者の方や、飲食店や会社をやむを得ずたたまなきゃいけない人たちがいて、そんななか私は普通に家に居させてもらえている。
何ごともそうですが、自分を中心に考えるとどうしても“ツラい”という感情がわいてきてしまう。でも、自分よりももっと大変でツラい思いをされている人たちの立場に立って考えれば、人に会えないから寂しいとか、外出できなくて退屈だなんていう甘いことは言えないなって思うんです。
いま私にできることは、外出を8割、9割減らすこと。ただそれだけ。本当にそれしかできないけれど、少しでも力になれるなら自分にできることは徹底的にやりたい。
普通に家にいさせてもらえていることがすごく幸せだということ、そこには医療従事者をはじめ、多くの人たちの支えがあるということ、そして当たり前に過ごしてきた日常がどんなにかけがえのないものだったのかということに、今回気づくことができた。
100年に一度あるかないかという歴史にも残るような危機的状況下で、大変なことも多いけれど、この経験は決してムダにはならないし、むしろこの先の人生の糧になると信じています。
これを読んでくれているみなさんにとっても、このおこもり期間中が、少しでも有意義に、そして少しでもこの先の人生の糧になるような発見や気づきがある、そんな時間になるよう願っています。
※本記事は5月上旬に取材したものです
Profile
松本まりか(まつもと・まりか)
東京都出身。2000年、テレビドラマ『六番目の小夜子』で女優デビュー。
2018年、『ホリデイラブ』の井筒里奈役での“怪演”で一躍脚光を浴び、2019年「ゆうばり国際映画祭2019年ニューウェーブアワード」を受賞するなど存在感を増している。同年11月には、15年ぶりとなる写真集『月刊松本まりか 汀』(小学館)を発売し、話題となる。フジテレビ系『シャーロック』やテレビ東京『死役所』、テレビ朝日『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』など話題のドラマにも次々に出演。今後、7月28日放送開始の『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)、8月1日放送開始の『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)に出演。
取材・文/FYTTE編集部