Tゾーンやほおの毛穴の黒ずみ、ブツブツ……気になる人も多いかもしれません。でも、「効きそう!」と思ったケアが、じつは逆効果ということもあるのです。『女医が教える、やってはいけない美容法33』の著書を持つ皮膚科医で銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子先生に、間違い毛穴ケアと正しい毛穴ケアについてうかがいました。
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間違い毛穴ケアで、かえって毛穴が目立つ原因に
鏡を見て、毛穴のブツブツや黒ずみを発見すると、ちょっと気分が下がりますよね。このブツブツ、黒ずみの正体は、“角栓”です。
「角栓は、皮脂と古い角質、汚れが混じったもので、Tゾーンやアゴなど皮脂の分泌の多い場所によく見られます。酸素に触れて、酸化すると黒ずんできます」(慶田先生)
時間の経過とともに硬くなり、毛穴を押し広げるので、毛穴を目立たせてしまうというわけです。
そこで、やってしまいがちなNGケアが、こちらです。
■NGケア その1:角栓はがしパックで毛穴づまり!?
角栓を取り除くパックには、シートを貼ってはがすタイプや、パック剤を塗って乾いたらはがすタイプなどがあります。
いずれのタイプも、はがしたパックには、角栓のツブツブがくっつき、毛穴のつまりがとれて、すっきりした気分になりますが、毛穴ケアとしてはNGなのです。
「なぜなら、角栓がますますできやすくなってしまうからです。パックを貼ってはがすという行為によって、肌表面の角層も一緒にはがされてしまいます。肌にとっては大きな刺激であり、負担です。無理やり角層をはがされた肌や毛穴の中は、大急ぎで新たな角質細胞が作り出されます。そして、皮脂や汚れと混じり合って、あっという間に角栓が作られ、毛穴をつまらせてしまうというわけです」(慶田先生)
急いで作られた角質細胞は、保湿因子が不足するため、肌のカサつきなども起こりがちになります。
■NGケア その2:洗顔ブラシで毛穴の汚れをかき出して、角栓ができやすい体質に
では、毛穴の汚れをブラシでかき出す方法はどうでしょうか。残念ながら、こちらもNGケアです。
「まず、毛穴の大きさは0.2~0.5㎜で、毛穴の汚れをかき出すには、これより毛先が細いブラシでなければなりません。毛穴の中は、肌の表面からつながった角層で、奥にいくほど狭くなり、その狭いスペースで新陳代謝が行なわれることで、角層が厚くなりやすいという性質があります。たとえ、ブラシの毛先が毛穴に届いて、角栓をかき出したとしても、またすぐに角栓ができてしまうので、ブラシでかき出すことに意味はありません。肌は外からの刺激で、角層を厚くして守ろうとする働きがあるので、ブラシでこすることで、角化が促され、角栓が悪化してしまうこともあります」(慶田先生)
ベースメイクのときに、ファンデーションブラシを使うことも、肌への刺激になり、その防御反応で、角層が厚くなり、毛穴がつまりやすくなるので要注意です。
毛穴づまりには、酵素洗顔料がおすすめ
では、毛穴の正しいお手入れ方法とは?
「角栓による毛穴づまりには、パウダータイプの酵素洗顔料がおすすめ。酵素の力で、たんぱく質や皮脂を分解して、毛穴から出た角栓の表面部分を落としてくれるので、角栓が小さく、目立たなくなります。また、新たな角栓の蓄積も防ぎます。オイリー肌や普通肌なら、毛穴が気になる部分にクレンジングオイルを使ってもいいでしょう。ただし、使うときは手短に。1か所につき10秒間が目安です」(慶田先生)
美容皮膚科でケミカルピーリングを受けたり、レチノールを処方してもらうという方法もあります。ターンオーバーが整い、毛穴をつまりにくくすることができるそうです。
参考書籍
『女医が教える やってはいけない美容法』(小学館)
取材・文/海老根祐子