大豆などの植物から抽出した植物性たんぱく質は、スポーツや運動でも注目されています。ですが、動物性たんぱく質に比べて筋肉を増強・回復させる力が弱いと考えられています。海外研究によると、この点はとる量を増やしたり、さまざまな植物性たんぱく質を組み合わせたりすることで解決できるそう。
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「ホールフード」とは異なる
たんぱく質の“質”として重要になるのが吸収率とアミノ酸バランス。一般的に、植物性の食べものに含まれるたんぱく質は、動物性の食べものに比べて低いと考えられています。全粒粉をはじめ、素材のままの植物性食品を意味するホールフードは人気ですが、たんぱく質の摂取という意味では課題もありそう。
今回、これまでのさまざまな研究結果を検討して報告を行ったオランダの研究グループによると、植物性食品からたんぱく質だけを抽出して精製した場合、吸収率は動物性の食べものと同様になるという結果が出ているそう。つまりたんぱく質自体が問題というわけではないことになります。植物性食品に含まれる食物繊維などの成分が、吸収を妨げていると考えられます。
また、大部分の植物性たんぱく質は必須アミノ酸の含有量が低く、リジンやメチオニンなど特定のアミノ酸が不足している場合があります。ただし、植物性の食べものから抽出したたんぱく質は多様でアミノ酸バランスは大きく異なると、研究グループはいいます。
筋トレでは効果アップ
そして、植物性と動物性のたんぱく質をとったあとに、アミノ酸を利用して筋肉がつくられるプロセスに違いがあるようです。研究グループによると、植物性たんぱく質の質・量が少ない点を補う方法として、量を多くとる、多種類の植物性たんぱく質をブレンドしたり不足しているアミノ酸を補充したりしてアミノ酸バランスをよくするといった工夫が考えられるそう。植物由来のたんぱく質でも、長期間の筋トレと組み合わせると、摂取したほうが筋肉の量と強さが向上したことも研究から確認されているといいます。
このように植物性たんぱく質をじょうずに使う工夫が明らかになってくると、植物性たんぱく質の人気は一層高まるのかもしれません。
<参考文献>
Pinckaers PJM, Trommelen J, Snijders T, van Loon LJC. The Anabolic Response to Plant-Based Protein Ingestion. Sports Med. 2021 Sep;51(Suppl 1):59-74. doi: 10.1007/s40279-021-01540-8. Epub 2021 Sep 13. PMID: 34515966; PMCID: PMC8566416.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8566416/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34515966/