スマートにアルコールを選び、スマイルで飲む「スマ飲み」を楽しみながら、太らない方法を紹介するシリーズ。最終回は、お酒を飲んだあとの食事のとり方をダイエットカウンセラーであり、管理栄養士の伊達友美さんに教えてもらいます。いつの間にか、ぽっこりお腹になっていた……ということがないように、お酒を飲んでも太らない習慣を身につけて。
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気をつけたいのは、シメのラーメンより翌朝の食事
「お酒のシメは、やっぱりラーメン!」という人も多いのでは? アルコールを飲んだあとにラーメンが食べたくなるのは、栄養学的に考えると、ごく自然なことだそう。
「お酒を飲むと、肝臓のグリコーゲン(糖質)が燃焼され、体温が上がります。すると脳が『糖は、もういらない』と判断し、糖を脂肪として肝臓に蓄え、新たな糖がとり込まれなくなります。そのため、お酒を飲んだあとは糖が不足ぎみになり、糖を補給しようとして炭水化物を食べたくなるのです。また、アルコールの利尿作用で脱水気味になるため、お酒を飲んだあとは水分もとりたくなり、糖と水分の両方を補給できるラーメンが食べたくなる、というわけです。シメのラーメンは、私は食べてもいいと思っています。でも、太りたくないならラーメンの代わりにお茶漬けを食べ、余分な脂肪や塩分を控えるのがベター。ラーメンを食べるときは、お酢をかけたり、メンマやモヤシ、ワカメを先に食べたりして、血糖値の急上昇を防ぐ工夫をしましょう」
シメのラーメンを食べて満足したら、重要なのが、翌朝の食事。
「お酒を飲んでラーメンまで食べたら、翌朝は、お腹が空いていないはず。お腹が空いていないのに、朝食を食べるのは食べ過ぎになります。『1日3食、規則正しく食べましょう』と、よく言われますが、それは成長期の子どもの食べ方。成長期を過ぎた大人が、子どもと同じように食べると太ってしまい、肥満のリスクを高めてしまいます」
お腹が空いていないときは、お腹が空くまで、水分をとるだけで十分。飲み過ぎ・食べ過ぎの翌朝は、コップ1杯の水とフルーツジュースがおすすめです。果物には、クエン酸が豊富に含まれているため、肝臓の働きが活性化し、お酒を飲んでたまった毒素を速やかに排出させることができます。また、余分な塩分や水分の排出を助けるカリウムも含まれているので、お酒でむくんだ顔や体がすっきりします。
「食欲は人間の本能なので、食べる必要があるときは、食べたくなります。つまり、食べたいときが、食べるべきタイミングと言えるのです。食べるタイミング=お腹がグーッと鳴ったときと、思っている人もいるかもしれませんが、それは違います。お腹が鳴るのは、大きくふくらんだ胃が元のサイズに戻るときの収縮音で、食事をとるべきタイミングは、胃が元のサイズに戻ったとき。そしてそのタイミングになれば『お寿司が食べたい』『焼肉が食べたい』と、食べたいものが何となく思い浮かぶはず。それがそのときの体に必要な栄養を含む食事です。何を食べたらよいのかわからないときは、まずごはんとみそ汁を食べて、様子をみましょう」
「訓練するとお酒が強くなる」は勘違い!
先輩や上司から「お酒をたくさん飲んで鍛えれば強くなる!」と言われたことは、ありませんか? 肝臓の機能を考えると、お酒が強くなるというのは、勘違いだそう。
「アルコールは肝臓に入ると、アルコール脱水素酵素という酵素によってアセトアルデヒトという別の物質に分解され、さらにアセトアルデヒト脱水素酵素に分解されます。そして、アセトアルデヒト脱水素酵素が全身に送られ、二酸化酸素と水に分解され、息や尿となって体の外に排出されます。このアセトアルデヒト脱水素酵素を多く持っているとお酒を速やかに分解できるので、いわゆる「お酒が強い」ということになります。アセトアルデヒト脱水素酵素の量は遺伝的に決まっているため、お酒を飲む訓練をしても増えるものではありません。お酒を飲んで顔が赤くなるのは、体の炎症反応なので、特にお酒が弱い人は無理をしないようにしましょう」
アルコールの許容量は、もともと持っているアセトアルデヒト脱水素酵素の量によりますが、その日の体調によっても変わるため、元気なときにお酒を楽しむようにしましょう。自分の体に聞いて、適量を見極めることがスマートに飲む秘訣です。
「また、お酒には、体の適量だけでなく、心の適量があります。お酒が好きな人にとって、お酒は心の栄養。『おいしいな』『楽しいな』と感じられる範囲が心の適量で、それを守るには、誰と飲むかが重要になります。ストレスを感じる相手と飲んでストレスフルになり、帰宅途中のコンビニでアイスクリームや甘いデザートを買って食べてしまったことはありませんか? これではお酒が心の栄養にならないばかりか、罪悪感でさらにストレスが重なり本末転倒。お酒を飲むときは、体の適量と心の適量の両方を見極めることが大切ですね」
お酒に対する、自分の体の適量を具体的に知りたい場合は、肝臓のアルコール処理能力を調べる検査もあります。ホームページなどで、アルコール処理能力の検査を行っている医療機関を探すのもひとつの方法です。
取材・文/野口美奈子
〈参考書籍〉
『ダイエットカウンセラーが教えるお酒を飲んでも太らないうまい食べ方』 (青春文庫)