人の体は自然の一部。自然の力を引き出すといい状態に

インタビューで語っていたように、Ellyさんがさまざまなダイエット法の失敗を経てたどりついたのが東洋医学。「人の体は『自然の一部』。自然の力を引き出すと、自分の努力の何倍も速いスピードで『体がいい状態』にリセットされる」と説く東洋医学に基づいた食事法の本にであい、その本を参考にダイエットを始めたEllyさんは、ムリな努力をしていないのに体重が落ちたのだそう。

「体重が減ったのは、余分な水分が出て、むくみ（陰）が解消できたから。その後１か月ほど続けると、肌も見違えるほどきれいになりました。それは血液の老廃物（陽）が出たから、と考えています。それはまさに『基礎代謝』が上がり、『自律神経が整う』という感覚でした」（Ellyさん）

この感覚をEllyさんは「自然やせ力」と名づけました。この体験で、それまでの「太る＝消費カロリーより摂取カロリーが多いのが原因」という考えがガラッと変わり、「太る＝体の巡りが悪い状態」と考えるようになったといいます。

「東洋医学では、すべてのものは『陰』と『陽』に分類されると考えられています。ふやけて膨張する『陰』、固くなって停滞する『陽』のバランスが崩れると、『太る』など健康を害する結果を引き起こしてしまいます。『陰陽バランスがとれている』というのは『自然治癒力・基礎代謝が高い状態』ということ。つまり、代謝組織が最高の状態で機能していると、老廃物が詰まる（太る）ことがなくなるというわけです。バランスをとるには、季節や環境に合ったものを用い、自然のルールに沿った生活習慣が大事。東洋医学ではこれを『養生』といいます。この養生こそが『自然やせ力』を育むカギなんです」

「自然やせ力」のもととなる「養生」とは？

体の中の「陰陽バランス」を整える、すなわち、どちらも偏っていない状態にすることがEllyさんのダイエットの秘訣。

「『体型』『体調』『生活習慣』がどちらかに傾き、その傾きのゆれ幅が大きくなると、食欲や老廃物が増えて体の不調や太さを引き起こします。陰と陽のバランスがとれた状態を『中庸』と呼びますが、中庸になると食欲は適正となり、内臓や血管が活発に働くようになるんです。これが『自然やせ力（基礎代謝）』がアップするということなんです」

もうひとつ、大きなポイントになっているのは、人間は「気・血・水」という３つの要素で構成されているという東洋医学の考え方。

「簡単にいうと『気＝エネルギー』『血＝血液の流れ』『水＝血液以外の水分』で、この３つが陰陽バランスを決めています。この３つが正常に循環していると、陰陽バランスが整い、自然と健康的な体になっていくということなんです」

「気・血・水」の循環不良には「不足」と「滞り」があり、それぞれ症状が違うのだとか。逆に、「気・血・水」の不足と滞りの体質（タイプ）をみれば、陰陽バランスがどちらに傾いているのかがわかるのだそう。

タイプがわかれば、陰陽バランスをとるにはどうしたらいいのかが見えてくるので、健康的な体に自然になるための「自分に最も合う方法」もわかるのです。これが簡単にやせることにもつながります。

次回は、自分のタイプを知る方法を紹介するのでお楽しみに！

参考著書：『自然やせ力　運動オタクが運動やめたら－10kg! やせ細胞を120%呼び覚ます養生』（Gakken）

文/小高 希久恵