日本は世界一の長寿大国。日本人は食生活において緑茶や野菜など健康的な食品を多く摂取していることが、長生きの秘密ではないかと注目されています。このたび日本の研究グループが日本人の成人について、食事由来の「抗酸化物質」の摂取と健康との関連を調べたところ、食べものの「抗酸化能」(活性酸素を除去する働き)が長寿に関連がありそうだと報告しています。
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日本人約9万3千人を追跡調査
日本人の平均寿命は年々増え続け、世界トップクラスを維持し続けています。これまでの研究から「抗酸化物質が多く含まれる食品」を日常的にとることで、酸化による細胞ダメージを予防できることが、日本人の長寿と関係するのではと考えられています。日本人の食事には、野菜や果物のほか、海藻や緑茶など、抗酸化物質を多く含む食品が豊富であると注目されているのです。日本人の心臓血管疾患、2型糖尿病、がんなどの病気予防につながっている可能性があります。
国立国際医療研究センターの研究グループは、日本人特有の食生活が長寿に貢献しているのかどうかを大規模な前向きコホート研究で調べました。対象者は調査時点にがん、脳卒中、虚血性心疾患、慢性肝疾患のいずれにもかかっていなかった44歳~76歳までの日本人男女9万2727人(男性4万2520人、女性5万207人)。
食事のとり方についての調査票に回答してもらい、個人の習慣的な食生活を追跡調査。研究グループはその調査結果に基づいて、食事全体の「抗酸化能」と「酸素ラジカル吸収能」(活性酸素を除去する働きを数値化したもの)を算出し、死亡リスクとの関連を検討したのです。
死亡リスクとの関連は…
こうした追跡調査からわかったのは、抗酸化物質を多く食べていると、長寿につながるという結果です。約17年間の追跡期間中に亡くなったのは1万2978人。分析したところ、抗酸化能値が最も低いグループに比べ最も高いグループでは、全死因死亡率が15%低下するとわかったのです。なかでも心臓血管疾患による死亡率は17%低下していました。一方、がん死亡率との関連はみられませんでした。
健康に長生きするために、緑茶のほか、色とりどりの野菜や果物といった抗酸化物質がたっぷり含まれる食品をたくさんとることを研究グループはすすめています。
<参考文献>
Japanese longevity: Does diet play a role?
https://nutrition.org/japanese-longevity-does-diet-play-a-role/
J Nutr. 2019 Sep 9. pii: nxz145. doi: 10.1093/jn/nxz145. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31498407