日常的にエクササイズをすると、体が引き締まり、体重は減ります。そればかりではなく、その効果はメンタルにも及ぶという研究結果も集まりつつあります。そんななか、このたび海外研究より、運動はうつ病や気分の落ち込みを和らげると報告されました。特に専門家の指導のもとで行う有酸素運動が有望だといいます。
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運動がメンタルヘルスに効果?
過去のFYTTEの記事でもお伝えしましたが、運動とうつ症状との関連性については、中強度の有酸素運動でうつ症状が改善したという報告や、1日35分の運動がうつ病の予防につながるという研究結果など、いろいろなデータが出ています。一方でウォーキングではうつ病になる可能性は減らなかったという報告もあります。このような相反する結果から、効果の程度や運動のタイプが気になるところです。
そこで今回、ドイツをはじめオーストラリアや英国など国際的な研究グループは、各国の研究を集め、運動のメンタル面への効果を評価しました。研究は、スポーツ医学分野の医学誌であるブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン誌で発表されています。
この研究では、運動をする人としない人を比べた各国の研究を分析しました。特に注目したのは、うつ病と診断された人やうつ病症状の検査で症状が重いと判定された人での比較です。また、運動のタイプとしては、有酸素運動または筋トレ、あるいはそれら両方を行っているものについて調べています。
運動のもたらす精神的な効果、うつ病への有効性も
こうして研究で判明したのが、運動が精神的な健康にかなり大きな効果をもたらすことです。運動をした人の約半数がその効果を実感しているというレベル。これらの効果は、うつ病と診断された人が専門家の監督のもとで運動した場合にさらに顕著になりました。ただ、研究のたしかさをチェックして、間違いやあいまいな点が少ないと評価される研究だけに絞ると、効果の大きさは3分の3くらいになりました。
研究グループは、運動はうつ病およびうつ病の症状に対して有効な治療法となり得ると結論。特に中程度の強度の有酸素運動を専門家の監督下やグループで行う方法なら、科学的根拠に基づいた治療法として提供できるのではないかと推測しています。もっとも多くの研究は、参加者数が少なく、運動方法も多様であるため、結果の解釈には注意が必要であるといいます。
以上が、論文で示されたポイントとなります。複数の研究により、まだ課題はあるにせよ、運動による精神的な効果が示されています。美容やダイエットのために運動する人が多いかもしれませんが、今後は運動による精神的な効果がより重要視されるかもしれません。
<参考文献>
Exercise as medicine for depressive symptoms? A systematic review and meta-analysis with meta-regression
https://bjsm.bmj.com/content/early/2023/02/01/bjsports-2022-106282?rss=1
やっぱりメンタルにも効くエクササイズ! 海外研究では中強度の有酸素運動でうつ症状が半減
https://fytte.jp/news/healthcare/117975/
体を動かして気分の落ち込みを撃退! 心の病を防ぐのは「1日35分」の運動が目安
https://fytte.jp/news/fitness/97346/
歩くと想像以上に健康に。12週間のウォーキングがその後の自分を変える!
https://fytte.jp/news/healthcare/71240/