疲労やこりを寄せつけない自然な姿勢、ナチュラルポジション。ナチュラルポジションのポイントは浮遊ろっ骨を閉じること。とはいっても長年の体のクセで浮遊ろっ骨を意識するのが難しい人も多いよう。今回は、メディカルトレーナーの夏嶋 隆さんの著書『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』から、浮遊ろっ骨を閉じるトレーニングをご紹介します。
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浮遊ろっ骨が閉じる感覚をつかむトレーニング
前回、前々回(最後にある関連記事をご覧ください)とナチュラルポジションの有効性についてお伝えしてきましたが、長年猫背や悪姿勢が続いていた人は、すぐにナチュラルポジションに切り替えることは難しいかもしれません。またナチュラルポジションをうまく維持できないと感じる人もいるはずです。
ナチュラルポジションのポイントは、浮遊ろっ骨が閉じていることです。
浮遊ろっ骨は、12本あるろっ骨のうちいちばん下にある第12ろっ骨と呼ばれる小さな骨のこと。人間の背骨の動かし方は、前屈(上半身を前に倒す)、後屈(上半身をうしろに倒す)、側屈(上半身を横に倒す) 、回旋(上半身を回す)の4パターンあり、これらの動きの起点となるのが、浮遊ろっ骨です。
ナチュラルポジションは、すぐに身につけることはできなくてもトレーニングをすることで感覚をつかむことができますので、浮遊ろっ骨を意識しながら続けてみましょう。
浮遊ろっ骨が閉じる感覚をつかむトレーニング
腰に手をあて、背中のラインをまっすぐにし、頭頂部を上に引っ張られているイメージで座ります。
(1)視線は正面に向け、背中のラインはまっすぐに。このとき、耳と肩がライン上にそろいます。顔を前に突き出さないように注意!
(2)両肩は上げず、両脚は「回外」状態(外旋)にすると、自然にウエストが縮む感覚が得られ、このときに浮遊ろっ骨は閉じます。
浮遊ろっ骨を閉じる感覚が身につく「10秒ほぐし」
「10秒ほぐし」はナチュラルポジションの感覚が身につく柔軟メソッドです。関節の可動域を広げ、(あるいは維持し)、体を柔軟に保ちます。体がかたい人でも10秒伸ばすだけで、体がラクになります。勢いをつけたり、単に形を真似たりするのではなく、骨の動きを意識しながらゆっくりと体と対話をするように行いましょう。
10秒前屈にチャレンジ!
骨の動きを意識しながらゆっくりと、できる範囲で上半身を前方に倒して10秒キープします。前屈から回旋までを1セット。1セット×1~3回を目安に行いましょう。
(1)スタート姿勢となるナチュラルポジション。すべての動きに共通することですが、体に無理のないリラックスした姿勢から始めることが必須です。
(2)背中のラインはまっすぐに保ったまま、骨盤の位置を変えずに上体を前に倒していきます。
(3)可能なら深く上体を倒し、手のひらを床にベッタリとつけてみましょう。
10秒側屈にチャレンジ!
体側を無理に伸ばさず、 上半身の四角形を保ったまま腕を上げて10秒キープします。
(1)ナチュラルポジションから左腕を上げます。リラックスしたままゆっくりした動作で、上半身の四角形を崩さないように行います。
(2)ナチュラルポジションから右腕を上げます。骨の動きを意識しながら、左右1回ずつ行います。
※無理に体側を伸ばしたり、勢いに任せて体を真横に倒したりするのはNG!
10秒回旋にチャレンジ!
上半身の四角形を保った状態で、左右10秒ずつ行います。
(1)視線は正面に向け、肩の力を抜いたリラックス姿勢、足を肩幅程度に開いたナチュラルポジションからスタート。浮遊ろっ骨の閉じを感じながら行います。
(2)上半身の四角形を保ったまま、上体を右に傾けます。左側へも同様に行ってみましょう。
日々の生活のなかで知らずに生まれるクセ。そのクセがゆがみとなり、痛みやこり、太りやすさにつながります。それを改善するのがナチュラルポジションです。ナチュラルポジションを意識すれば、痛みに耐えて伸ばしたりしなくてもこのような小さな動きで体の柔軟性は高まります。体がかたい人にもオススメです。
文/庄司真紀
参考書籍/
『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』(アスコム)
著書/夏嶋 隆
なつしま・たかし メディカルトレーナー。動作解析専門家。大阪体育大学サッカー部、関西国際大学サッカー部トレーナー。1957年、大阪府出身。大学を卒業後、実業団バレーボール部の指導者としてキャリアをスタート。しかし道半ばにして医師に完治不能といわれた怪我を負う。だが、最後の望みをかけて訪ねた、かつて旧日本軍の軍医も務めていた医師のもとで治療を受けるとみるみる回復。その治療方法と、患者に真摯に向き合う姿勢に感銘を受け、同医師に師事。手技療法の道に進む。そこでの経験をもとに、人間の動作を観察・記録し、科学的アプローチを背景にした、人間が本来持つ力を十分に引き出す指導する、動作解析の専門家として活躍を始める。とくにアスリートからの支持は絶大で、サッカー、プロ野球、バスケットボールからブレイクダンスまで多岐にわたる。著書の『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム刊)はベストセラーを記録。