ストレッチといえば、トレーニング前後に体をほぐすために行うもの、というイメージがありますが、コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生によると、その他の場面でも活用することができるのだそう。そこで今回は、桑原先生にストレッチの利点と、自宅で簡単にできるメニューを教えていただきました。
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用途によって使い分け! 覚えておきたいストレッチ
「ストレッチをライフスタイルの一部にとり入れてほしい」と話す桑原先生。では、ストレッチにはどんな効果があるのでしょう?
「私たちの体は、加齢が進むにつれ、どんどん可動域が狭くなっていきます。ですが、日々ストレッチを行うことで、狭くなってしまった可動域を広げることができるのです。
それに、私はもともと、腰痛持ちだったのですが、ストレッチを行うことで症状が改善されました」(桑原先生)
体の悩みとして多い、腰痛。みなさんの中にも、苦しんでいる人は多いはず。腰痛のおよそ8割は、詳しい原因が分からないと言われています。
「私たち人間の股関節は、立っている状態のとき、しっかりとはまっていないためグラグラしがちです。
実は、この不安定な股関節こそが、腰痛を招く要因。股関節は360度回る部位なので、いろいろな角度からストレッチすることが大切です」
さらに、腰痛と並んで多い悩みが肩こり。特に女性は男性よりも、「僧帽(そうぼう)筋」という首の後ろから背中の上部、肩にかけて広がる大きな筋肉の量が少ない為、肩こりになりやすいのだそう。
「首と肩は別の部位だけど、つながっていますよね? いくら肩を揉んでも肩こりが解消されないという人は、もしかしたら、首が凝っている可能性も。
肩こりを軽減するためには、首と肩のストレッチを一緒に行うと効果的です」
それでは可動域を広げるストレッチと、腰痛、肩こりに効果的なストレッチをご紹介します。それぞれ、目安として3~6回程度行ってみてください。
【1】可動域を広げるストレッチ その1
(1)脚を肩幅に広げて立ち、両手を真横に大きく広げます。
体を軸として、両腕を左右に大きく振り回します。腕だけでなく、腰からひねるようにして、数回行いましょう。
(2)(1)の状態に戻ったら、腰をひねりながら両腕を右方向にゆっくりと振ります。
これ以上後ろにいかないという所で、腕の位置はキープしたまま、しゃがみましょう。
(3)立ちあがったら、同じ方向に、さらにひねります。これを繰り返し行いましょう。反対側も同様に行います。
【2】可動域を広げるストレッチ その2
(1)前屈の状態になり、ヒザは少し曲げましょう。
(2)ひざを中心に、両腕を振り回します。
(3)(2)を何回か繰り返した後、一度動きを止め、両手を床につけます。
これを繰り返し行いましょう。
【3】首周りストレッチ
(1)左手を頭頂部に添えます。手の力でゆっくりと、首を左側に倒していき、これ以上倒れないという所で、口をカツカツカツと動かしましょう。右側も同様に行います。
(2)両手を後頭部の後ろで組みます。そのまま、頭を前方に倒していき、これ以上倒れないという所で、口をカツカツカツと動かしましょう。
今度は、アゴに片手を添え、首を後方に倒していき、これ以上倒れないという所で、口をカツカツカツと動かします。
これを繰り返し行いましょう。
【4】肩周りストレッチ
(1)左腕で、伸ばした右腕を胸に引き寄せます。これ以上近づかないという所まで来たら、右手でグーパー、グーパーと繰り返し、さらに引き寄せます。
反対側も同様に行ったら、左右交互に繰り返し行いましょう。
(2)右ヒジを曲げ、それを頭の後ろまで持って行きます。
左手で右ヒジをつかみ固定したら、右手でグーパー、グーパーと繰り返し、さらに左側に引き寄せます。
反対側も同様に行ったら、左右交互に繰り返し行いましょう。
【5】肩凝り解消ストレッチ
(1)胸の前で両手のひらを強く押し合います。
(2)手のひらを合わせたまま、指先を前方に向け、両腕をまっすぐ前方に伸ばします。
(3)伸ばした両腕を、胸の前まで戻し(1)の状態にします。
手のひらを合わせたまま、両腕を下に降ろしていきます。
(4)合わせた手のひらをひっくり返し、指先を下に向けます。そのまま、両腕を上に上げていき、手のひらをひっくり返して(1)の状態に戻します。
これを繰り返し行いましょう。
【6】カタアグラー
(1)床に座り、あぐらをかきます。
(2)左脚を右脚のももの上に乗せます。
(3)左脚のひざを両腕で抱え込むような形で、胸の位置までゆっくりと引き寄せましょう。
そのまま、しばらく状態をキープします。このとき、胸を張るように行うのがポイントです。
(4)(1)の状態に戻したら、反対の脚も同様に行います。左右交互に繰り返し行いましょう。
【7】F4ストレッチ
(1)床に仰向けになります。
(2)右ヒザを曲げ、左脚の上に乗せて「4の字」をつくります。
右腕は「4」部分の内側から隙間に通し、左手は右脚の上から手を回し、両手で左ヒザをつかみます。
左脚をゆっくりお腹に引き寄せ、しばらく状態をキープします。
(3)(1)の状態に戻し、反対の脚も同様に行います。左右交互に繰り返し行いましょう。
肩こり、腰痛が無くても、ストレッチを行うと筋肉が伸びてとっても気持ちが良いですよ。不調を悪化させない、招かないためにも、日常生活の中に上手にストレッチをとり入れていきたいですね。
撮影/田辺エリ 文/FYTTE編集部