外に出る予定もなく、自宅で映画を見たり、読書したり、スマホをいじってみたり。気づいたらソファやベッドでごろごろして1日が終わってしまった…、そろそろ運動しないとやばい! そんな危機感を感じたら、まずは手軽に始められるエクササイズから始めてみませんか? 今回は、誰もが毎日行っている“呼吸”にフォーカスした「お腹やせ呼吸」のやり方についてご紹介します。
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ぽっこりお腹が引っ込む! 「お腹やせ呼吸」って?
ふだん、あたりまえに行っている呼吸。その呼吸がやせ技になるなんて、うれしいけどどうしてだろう、本当にやせるの? と疑問に思いませんか。呼吸とやせボディにはどんな関係があるのでしょう。
「呼吸は人間が最初に取り組むトレーニング。私たちが生きている限り、1日に約2万回以上もそのトレーニングは続けられます。しかし、年齢とともに呼吸はどんどん乱れる一方。体にゆがみを招く生活習慣やストレスなどによって、筋肉がかたくなり動きが悪くなります。すると、そのかたい筋肉が呼吸をジャマして、呼吸が浅くなることが太りやすくなったり、不調を招く原因になります」(コンディショニングトレーナーの有吉与志恵先生)
日々の呼吸の良し悪しが、これほどまでに体に深く関わってくるとは、考えたことがありませんでした。
一度、大きく息を吸って、吐いてみてください。あなたは深~く呼吸をすることができますか?
「呼吸を司る横隔膜や、腹横筋などの呼吸筋とよばれる筋肉は、姿勢を安定させる筋肉の一部でもあります。お腹がへこまない人の多くは、お腹まわりの体幹の筋肉の収縮性が悪く、内臓を定位置に支えられないので、内臓が下がってお腹がぽっこり出ています。
呼吸をしながら内臓を支える筋肉の動きをよくするのがお腹やせ呼吸。腹筋運動だけでは鍛えづらい、今までじょうずに使えていなかった体幹の呼吸筋を使えるようになることで内臓の位置が正しい位置に戻り、筋肉のガードルで出っ張ったお腹を押さえられるようになるのです。内臓が常に正しい位置にキープできると、呼吸をするたびにたくさんの酸素がとり入れられて代謝が上がるので、どんどんやせやすい体に変わっていきます」
私たちは1日に約2万回の呼吸をしていると言われていますから、お腹やせ呼吸を身につければ知らず知らずの間にエクササイズができてしまうことになります!
お腹やせ呼吸の“5大効果”とは?
「呼吸をするとやせる大きな理由のひとつは、呼吸は“無意識の筋トレ”だということ。
私たちは寝ている間も呼吸をしていて、自然に筋肉運動を行っています。1分間に12~16回の呼吸を行うため、1日に約2万回以上も呼吸に使われる筋肉を動かしているのです。腹筋運動だって10~20回行うのも大変なのに、1日2万回も筋肉を動かしていると考えれば、やせそうな気がしませんか? まさに呼吸こそ最も身近で効果の高い筋力トレーニングです。
ただし、そのためには筋肉が正しく使われていることが条件。息を吸うたびに肩が上がったり、お腹が極端に出るようでは、筋肉は正しく使われていません。こういう呼吸の人こそ、やせづらい人。そんな人は、かたよった筋肉の使い方をリセットして、正しく筋肉を使えるようになれば、どんどん引き締まってきます」
筋肉を正しく使いながら行う、お腹やせ呼吸の5大効果がこちら!
<1>効率よく体幹の筋肉が整いお腹がぐんと引き締まる
正しく深い呼吸を行うことで、ふだんの生活では使いづらい、体幹の筋肉を効率よく刺激することができます。内臓の位置が正しい位置に戻り、下腹がペタンコに。筋肉が自然のガードル代わりになって、お腹の出っ張りを防ぐので、お腹全体が引き締まります。
<2>インナーマッスルが刺激されて血流が促進! 体が温まり脂肪燃焼体質に
体幹の筋肉が刺激され血液の流れがよくなるので、体が温まり、脂肪を燃焼しやすい体質に。
<3>背骨が整うことで自律神経のバランスがよくなり、不調が改善
正しい呼吸で背骨のゆがみが整うと、背骨の横を走る自律神経のバランスがよくなります。代謝や活動をつかさどる交感神経と、休息をつかさどる副交感神経のバランスが整うと、夜はゆっくり深く眠れ、昼間は精力的に活動ができ、ストレスや不調が改善!
<4>腸内のガスが出て腸の動きがよくなり、便秘が解消
呼吸筋を正しく使えると、内臓が本来の正しい位置に戻ります。すると内臓の血行がよくなり、とくに腸の動きが活性化。腸内のガスが押し出され、便秘も解消!
<5>深い呼吸ができるようになり、心が落ち着いてイライラによるムダ食いがなくなる
深い呼吸ができるようになると、副交感神経を上手に働かせることができ、心が落ち着いてイライラが減ってきます。さらに食欲中枢の感度もよくなるので、イライラによるムダ食いがなくなって間食が激減。1日3食の食事で満足できるように!
お腹やせ呼吸には、女性特有の悩みや不調の改善にうれしい効果がこんなにつまっています! 「たかが呼吸でしょ…?」と、あなどってはいけません。
基本のお腹やせ呼吸をマスターしよう!
それでは、基本のお腹やせ呼吸を早速マスターしてみましょう。1日30~50呼吸だけでみるみるペタ腹に近づきます。
<1>胸郭を横に広げるように息を吸う
あお向けになり、親指をお腹側にして両手をわき腹にそえます。鼻から息を吸うと、ろっ骨を含む胸郭やお腹が横に広がります。お腹は前に出るのではなく、風船が横に広がるイメージを持ちながら息を吸いましょう。
<Point>
そえている手を押すようにろっ骨を広げる。
<2>お腹をうしろに巻き込むイメージで息を吐く
手でお腹を背骨に集めるようにしながら、口から息を吐きます。お腹を覆う帯状の筋肉・腹横筋がうしろのほうにお腹を巻き込んでいくようなイメージです。<1>→<2>をくり返します。
<Point>
手で支えながらろっ骨を下げお腹をうしろへ集める。
くびれを作る「お腹ひねり呼吸」&ぽっこりお腹をへこます「背中起こし呼吸」
続いて、女性的なウエストラインが叶うくびれを作る呼吸法と、気になるぽっこりお腹をへこませる呼吸法の2種類を紹介します。
【アブプレップツイスト】
くびれを作るわき腹を刺激! お腹をひねりながら呼吸を行います。
<1>両ひざをそろえて座り、両手を上げて息を吸う
丸めたタオルをお尻の下に敷き、両ひざをそろえて体の中心軸を意識して座ります。両手を肩の高さまで上げ、前に伸ばし、鼻からゆっくりと息を吸いましょう。
<2>息を吐きながら体をひねる
息を「ハー」と吐きながら、ゆっくりと左ひじをうしろに引き、体を左にひねります。再び<1>の姿勢に戻って息を吸い、息を吐きながら左に体をひねる呼吸を、10回を目安に行いましょう。反対側も同様にひねります。
<Point>
中心軸がずれないように意識して体をひねりましょう。体をひねるときには、<1>の姿勢で整えた体の中心軸がずれないように注意。中心軸がまっすぐの状態でお腹をひねることで、腹斜筋をしっかり刺激できます。
【シットアップ】
ぽっこりをペタ腹に! 背中を起こしながら呼吸を行います。
<1>両ひざを立ててあおむけになり、頭を軽く持ち上げる
両ひざをそろえてあおむけになり、丸めたタオルを肩甲骨の下に置いたら、軽く頭を上げます。両手の親指と残りの4本の指で三角形を作り、下腹部にあてましょう。軽く鼻から息を吸います。
<2>お腹をへこませて、肩甲骨を浮かせながら吐く
手を下から上へ動かして下腹をろっ骨の方へ引き上げるようにサポートしながら、息を吐いてお腹をへこませ、同時に肩甲骨をタオルから浮かせます。<1>、<2>を10回を目安に行いましょう。ただし、首が痛くなったら途中で中止してください。
<Point>
頭を浮かせたまま呼吸ができない人は、ムリをしないこと。この姿勢をキープして呼吸するだけで、かなり下腹がへこみます。ただし、頭を浮かせたまま呼吸ができない人は、腹筋が弱い人。ムリして続けないように。
腰や肩甲骨の下に使う枕は、バスタオルなどを利用して作ったタオル枕でOK。腰のうしろにあてるときは、お尻をタオルにのせるように使い、肩甲骨の下に敷くときはぐるぐるっと巻ききったタオルを使ってみてください!
体を動かさないと、と思いながら「なにをしたらいいかわからない」と迷っているみなさん、まずは家の中で「お腹やせ呼吸」を意識して行うことから始めてみませんか?
撮影/森崎一寿美(ピーピーアイ) ヘア&メイク/坂部めぐみ(メーキャップルーム)
モデル/米持愛梨 文/FYTTE編集部
衣装/ブラトップ¥4200、レギンス¥6200/Hurley(ハーレー)03-5412-1781