「病は気から」といわれますが、喘息とメンタルとの関係が注目されています。たとえば、喘息の子どもやティーンエイジャーは、ふつうよりうつ病になりやすいそう。逆にうつ病になると、喘息がさらに悪くなり、最悪の場合には命にかかわりかねないとも。ストレスやうつ病、喘息との関連の背景には、自律神経の乱れがあるようです。
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自律神経の働きを比較
喘息はアレルギーの一種で、気道が収縮して、呼吸がしづらくなる病気です。気道の収縮には神経の働きも密接に関係していると知られ、喘息が悪化する一因には自律神経の関与もあると考えられています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つがバランスをとりながら働き、体の機能を調節しています。ストレスや感情はこの自律神経の働きに大きく影響してきます。
このたび米国バッファロー大学の研究グループは喘息の子どもを対象に、ストレス、うつ症状、自律神経の失調、気道の働きの関連性を分析しました。研究では、喘息の子どもに映画(子ども向けファンタジーもの)から怖いシーンや悲しいシーン、楽しいシーンを見せ、心臓と気道の働きのデータを集めました。交感神経と副交感神経がどのように働いているのかを調べて、うつ症状のある子どもとない子どもで反応の違いがどのように出てくるのかも比べました。
副交感神経が働き過ぎている
ここから判明したのは、ストレスと関係する副交感神経の働きが過剰になることで、喘息の症状を悪化させてしまう可能性があるということです。
うつ症状がある子どもは、感情的なシーンに反応しやすく、副交感神経が活発になり、交感神経があまり活発になりませんでした。副交感神経が活発になると、気道の収縮につながりやすくなり、気道は狭くなって、空気が通りにくくなるのです。対照的に、うつ症状がない子どもは、たいてい交感神経が活発で、ストレスを受けても気道の働きが悪くなりませんでした。また、家族につらいことや悲しいことが起きたシーンで、副交感神経の反応が最も強く見られました。研究グループによると、家族関係のストレスは子どものうつ病と喘息の悪化に影響するという研究結果もあるそう。
今回の研究は子どもの研究ではありますが、喘息もちの人は、日々のストレスとうまくつき合うことが大切といえるかもしれません。
<参考文献>
Stress and Depression Worsen Childhood Asthma, UB Researchers Show
http://www.buffalo.edu/news/releases/2009/07/10243.html