たんぱく質は生きるために欠かせない栄養素のひとつ。肌や筋肉を構成するもとになるほか、ホルモンや感染症に抵抗するための抗体をつくるなど、機能は多岐に及びます。そんなたんぱく質について、食事から摂取することで心臓の健康につながると海外研究が報告しています。しかも特に有効性が高いのは女性だといいます。
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たんぱく質は体にどんな価値がある?
たんぱく質は筋力の低下を防いだり、骨がもろくなるのを避けたりするため、若いころはもとより年を重ねるにつれて重要度を増している面もあります。1日の摂取カロリーの2割程度をたんぱく質から摂取するとよいとされ、日本人の食事摂取基準では、1日の推奨量は50gとされます。食事をきちんととっていれば不足することはないとされ、米国でも同じ量が推奨されていますが、やや不足する傾向があるという指摘もあるようです。
このたび米国心臓病学会の研究グループは、たんぱく質の摂取量と心臓の健康との関係について調べています。注目したのは、心房細動という心臓の筋肉が細かく痙攣してしまう病気の発生と、たんぱく質の摂取量との関係についてです。心房細動は心臓の周囲の血管のなかに血栓をつくりやすく、この血栓が血流にのって脳の血管に流れ、詰まることがあり、血栓性脳梗塞として問題になることが知られます。
今回、研究グループは9万9000人の女性のデータを分析して、たんぱく質の摂取量と、心房細動の発症との関係について調べました。
心臓の病気が少ない結果に
こうしてはっきりしたのは、たんぱく質の摂取量が多くなると、心房細動のリスクが低くなるということです。今回の対象者は、約10年間の追跡調査のなかで、2割程度が心房細動を発症したのですが、たんぱく質の摂取量が58~74gと摂取量の多いグループは、心房細動の発症リスクが低いことが確認されました。平均的な摂取量は約60gだったので、少し多めにたんぱく質をとるのがよさそうです。
研究グループは、1日に数グラムのたんぱく質を余分に摂取するだけでも、人口全体で見ると大きな影響があり得ると説明しています。ふだんの食生活で肉や魚、卵や乳製品などを意識的に摂取するようにすると、心臓にもよい影響を得られるのかもしれません。
<参考文献>
やせたい&筋肉をつけるなら、1日に「たんぱく質」はどのくらい必要?
https://fytte.jp/diet/37908/
Eating More Protein Could Help Ward Off Atrial Fibrillation in Women
https://www.acc.org/about-acc/press-releases/2020/03/19/09/47/eating-more-protein-could-help-ward-off-atrial-fibrillation-in-women