コロナ禍で生活が一変。テレワークになったり、外出がめっきり減ったりした人も多いことでしょう。そんな生活のストレスを解消する方法も、いろいろと伝えられています。そんななかでこのたび日本の研究からウォーキングの効果が報告されました。森林浴、つまり森林や緑の多い場所での散歩を習慣にすると、ストレスにうまく対処できる力が高まるというのです。
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日本国内で6500人を対象に調査
コロナ禍でなくても、仕事に関連したメンタルヘルスの不調は大きな問題となってきました。心の不調を防ぐための “ストレス対処力”をいかに強化するかは重要です。そのための要素については多くの研究が行われています。こうしたなかで注目されているのが、森林浴などの「自然とのふれ合い」だといいます。メンタルヘルスによい影響を与える可能性があるというのです。
今回、筑波大学の研究グループは、筑波学園都市内で働くおよそ6500人(男性4000人、女性2500人)を対象にオンライン調査を実施。森林や緑地での散歩の頻度とストレス対処力との関連性について調べました。散歩の頻度を「ゼロ」から「少なくとも週1回」までの4グループに、ストレス対処力を「低」「中位」「高」の3グループにそれぞれ分けて関連性を分析。ストレス対処力は、「SOCスケール」と呼ばれる一般的な評価方法を用いて測定(スコアが高いほど対処力が高い)しました。
回数を増やせばストレス対処力もアップ
こうして明らかになったのは、森林や緑地を散歩する頻度が高いほど、ストレス対処力が高いことです。ストレス対処力が高いグループは、少なくとも週1回、森林や緑地を散歩している場合が多く、ストレス対処力と強い関連性が見られました。この結果は、年齢や教育、収入などの特性や、運動や喫煙などの生活習慣の影響を考慮しても同様でした。
森林や緑地の散歩は、特別な装備や訓練を必要としない簡単な活動。「ストレス対処力を上げるとてもよい習慣になり得る」と研究グループは結論づけています。都市部であっても、場所を選べば、緑の見られる場所は多く存在しています。時間を見つけて、公園や緑地などに足を運んでみるとよいかもしれません。
<参考文献>
Need to Reduce Work-related Stress? It’s a Walk in the Park
https://www.tsukuba.ac.jp/en/research-news/20210113140000.html
T. Ikeda, D. Hori, Y. Arai, K. Muroi, Y. Ikeda, T. Takahashi, N. Shiraki, S. Doki, Y. Oi, S. Sasahara, E. Morita, I. Matsuzaki,Association between forest and greenspace walking and stress-coping skills among workers of Tsukuba Science City, Japan: A cross-sectional study,Public Health in Practice,Volume 2,2021,100074.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666535220300732