子どもの誕生は親に多くの喜びをもたらしてくれますが、同時に大変なことも少なくありません。産後に気持ちが落ち込む母親のうつ病は社会問題にも。そうしたうつ病は、じつは父親にも起こり得ます。海外の研究グループは父親のうつ病がどのような背景で起こるのかを分析。両親のメンタルを健全に保つ注意点を示しています。
Contents 目次
子どもが生まれたあとに心に起こる変化とは?
子どもが生まれると、子育ての課題やストレスがかかって、うつ病の引き金になることがあります。海外の統計によると、うつ病は新米ママのおよそ10~12%、新米パパでは少なくとも8%に影響を及ぼすとされます。母親のうつ病はよく知られますが、子どもが誕生したあとの心の問題は男女ともに関係しているといえます。
このたびスウェーデン、ルンド大学の研究グループは、父親の抑うつ症状の背景にある理由が何かを調べました。精神的に不安定になる父親には何か特徴があるのか、あるとすれば、どのような解決法があるのかを考察したのです。
幼少期にも理由が潜む可能性
ここからわかったのは、父親自身の人間関係の築き方に問題がある場合に、うつ病の引き金が引かれてしまう可能性があることです。父親が自分自身を否定的に見る傾向があり、自尊心に課題を抱えているときが問題になり得るよう。他人を思いやろうとする一方で、自分自身に物足りなさを感じて、他人を失望させるのではと不安を感じるといった感情があるようです。両親との幼少期の経験から自尊心をもてない可能性もあるようで、ストレスを感じ、うつ病につながりやすくなります。
さらに、別の調査では、父親の5人に1人がうつ病の問題を抱えていることが浮かび上がり、このときにパートナーが産後うつに苦しんでいる場合が多いこともわかりました。こうしたケースにおいて、専門家の助けを得ていないことも多いといいます。父親が自らに自信をもてるようになること、また苦しいときには、専門家の助けを得るようにすることも大切になるようです。
<参考文献>
Depression in new fathers connected to relationship insecurities
https://www.lunduniversity.lu.se/article/depression-new-fathers-connected-relationship-insecurities
Psouni, E., & Eichbichler, A. (2020). Feelings of restriction and incompetence in parenting mediate the link between attachment anxiety and paternal postnatal depression. Psychology of Men & Masculinities, 21(3), 416–429.
https://doi.org/10.1037/men0000233