女性や高齢者に多いといわれるドライアイ。スマホやパソコンを使う時間が長くなるにつれて、症状がある人も増えているかもしれません。そんななか、ドライアイが深刻なほど、目の機能だけでなく、日常生活の質や仕事の生産性も低下するという報告がありました。
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ドライアイの悩みを分析
ドライアイになると、目の表面で涙が保てなくなり、目の痛みや疲れなどの症状につながります。日本では800万~2200万人という多くの人が悩まされていると報告されています。長時間、ディスプレイと向き合う職種などでは、特に一般的だとされます。
今回の研究は、英国と米国の研究グループが有名医学誌BMJのオンライン・オープンアクセス版に報告したもの。インターネットを介してドライアイの1000人とそうではない1000人にアンケートを実施しました。
調査では、目の機能状態や生活の質のほか、仕事がはかどっているか日常生活に差し障りがないかなどを聞きました。ドライアイのグループでは、どれくらい重症かも調べて、両グループの結果を比較しました。
目だけではなく心身の症状が増加
こうして判明したのは、ドライアイの人たちには目に限らず心身の症状が目立つということです。具体的には、ドライアイのグループは、そうでないグループに比べて、身体的な活動や日常生活に支障が出ている人の割合が高くなっていました。また、ドライアイの症状が重いほど、社会生活や感情面、仕事の生産性(症状のせいで休むなど)に大きな悪影響が出ていました。さらにドライアイのグループは、不安症やうつ病のほか、関節炎、難聴、過敏性腸症候群などを併発している人が多く見られました。
今回の研究では因果関係まではわからないのですが、「ドライアイは健康や生活の質、仕事の生産性にマイナスの影響を与えている」と研究グループは推定。デジタル機器を使う時間や読書の時間は両グループで同じくらいでしたが、ドライアイのグループではエアコンやヒーター、空気汚染といった環境要素にさらされていると答えた人が多かったことから、このような要素も関係しているのではないかと指摘しています。目の痛みや疲れに悩む人はドライアイも疑って、健康全般に気をつけるようにするとよいかもしれません。
<参考文献>
Dry eye disease negatively affects physical and mental health as well as vision
https://www.southampton.ac.uk/news/2021/03/dry-eye-disease.page
Hossain P, Siffel C, Joseph C, Meunier J, Markowitz JT, Dana R. Patient-reported burden of dry eye disease in the UK: a cross-sectional web-based survey. BMJ Open. 2021 Mar 4;11(3):e039209. doi: 10.1136/bmjopen-2020-039209. PMID: 33664064.
https://bmjopen.bmj.com/content/11/3/e039209
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33664064/