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子どもに多い白血病の再発リスクを下げるには? 「ダイエット」と「運動」が治療効果を上げると海外研究

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入院中の子ども

子どもや若い年代でも白血病になることはあります。白血病はがんの一種ですが、白血病などでは太っていると治療効果にマイナスの影響があるとわかっているのです。再発の可能性が50%高くなることも。このたび海外の研究から、子どものがんで特に多いタイプの白血病では、治療中にヘルシーな食事に変えて運動すると大きなメリットがあることがわかりました。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

がんと脂肪には関連?

闘病中の子ども

血液のがんである白血病にはさまざまな種類がありますが、子どもの白血病で最も多く、7割を占めているのが急性リンパ性白血病(急性リンパ芽球性白血病)です。免疫を担っているリンパ球が異常に増えてしまう病気です。

これまでの研究から、急性リンパ芽球性白血病の子どものうち3人に1人が肥満傾向にあると判明しており、白血病と肥満との間に何らかの関連がある可能性が考えられていました。

米国カリフォルニア大学などの研究グループは、15年にわたってこの問題に取り組み、白血病の子どもでは、「脂肪細胞が多いと、化学療法が効きづらくなる」と突き止めました。がん細胞が脂肪細胞によって守られてしまうのです。

白血病の治療前に低脂肪食に変えると、5倍も白血病の生存率が高くなることを動物実験から確認。低脂肪食だと生存率が92%になるのに対して、変えないと17%という大きな差がついたのです。

そこで今回、研究グループはロサンゼルス小児病院で急性リンパ性白血病と診断された10〜21歳の40人を対象に、ダイエットと運動を行いながら、化学療法を受けてもらい、その効果を検証しました。脂肪の増加と筋肉の減少を両方とも抑えるために体重を減らすためのカロリー制限は10%にとどめ、運動は中強度のものを週200分とし、患者に合わせて計画的に行ってもらいました。

治療後に残っているがん細胞が減少

野菜やフルーツのプレートを持った医師

このような研究からわかったのが、ダイエットと運動を加えると、治療だけだった過去のケースに比べて、治療後にも体内に残る目に見えない白血病細胞が70%も減ったことです。ダイエットと運動によって脂肪の増加が抑えられて、インスリン感度がよくなり、血糖値の調節や脂肪酸の分解にかかわるアディポネクチンという有益なホルモンが増えていました。

体内の残るがん細胞は「微小残存病変」と呼ばれています。残存病変は生存率の低下や再発リスク増加の原因にもなり、骨髄移植などの強力な治療につながります。太った人で多く見られますが、ダイエットや運動が効果を示す可能性があるわけです。

食事をほんの少し変えて運動を加えただけで劇的な効果が得られたことから、研究グループは血液の悪性腫瘍においてダイエットと運動によるカロリー制限が化学療法の効果を大きく上げることが初めて証明されたと結論。ほかのがんにも大きな意味をもつのではないかと指摘しています。今年中には複数の医療センターでさらに試験を行う予定だそうです。

<参考文献>

Low-calorie diet and mild exercise improve survival for young people with leukemia
https://newsroom.ucla.edu/releases/diet-exercise-improve-survival-for-children-with-leukemia

Orgel E, Framson C, Buxton R, Kim J, Li G, Tucci J, Freyer DR, Sun W, Oberley MJ, Dieli-Conwright C, Mittelman SD. Caloric and nutrient restriction to augment chemotherapy efficacy for acute lymphoblastic leukemia: the IDEAL trial. Blood Adv. 2021 Apr 13;5(7):1853-1861. doi: 10.1182/bloodadvances.2020004018. PMID: 33792627.
https://ashpublications.org/bloodadvances/article/5/7/1853/475625
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33792627/

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