ランニング中や運動のあとなど、足がつることはよくあります。多くの人が脱水症状のせいだと思い、治療や予防のために水分を補給するよう。このたび、電解質(ナトリウムなどのミネラル類)を含むスポーツドリンクのほうが有効という研究報告がありました。ふつうの水では、体液が薄まって電解質不足になり、逆に足がつりやすくなるのだそうです。
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運動の前後で比較
激しい運動をするアスリートは足がつることも一般人より多く、マラソンランナーでは40%近く、トライアスロンの選手では70%近くに上るそうです。脱水、電解質不足から神経にかかわるものなどさまざま原因が考えられていますが、最近の研究では、大量に汗をかいて水をたくさん飲むと、足がつるリスクが高くなるという指摘があります。
そこで、日本の立教大学とオーストラリアの研究グループは、男性10人に暑いなかで(35〜36℃)40〜60分トレッドミル運動をしてもらい、発汗で体重が1.5〜2%減った分をふつうの水で補った場合と電解質を含む水溶液で補った場合とで、足のつりやすさを比較しました。足のつりやすさは、運動の前後でふくらはぎを電気的に刺激して、足がつる電気のレベルを測定して調べました(レベルが低いほど、つりやすいことになります)。
電解質も補給する経口補水液に
こうして明らかになったのは、電解質を含む水溶液を飲んだ場合は、運動前より高い電気レベルになるまで足がつらず、ふつうの水を飲んだ場合は、運動前より低いレベルで足がつるようになったことです。つまり、ふつうの水を飲むことでさらに足がつりやすくなり、電解質水を飲むことで足がつりにくくなりました。
運動中や運動後に足がつるのを防ぐには、電解質を一定の割合で含む「経口補水液」のほうがふつうの水より有効と研究グループは結論。電解質は体の水分吸収を助け、汗や病気で失われた必須ミネラルを補給してくれるため、スポーツドリンクなどの経口補水液は、運動中や運動後に限らず、暑いときや、下痢や嘔吐 で水分が失われた場合にも、ふつうの水より有益と指摘しています。
<参考文献>
Muscle cramp? Drink electrolytes, not water
https://www.ecu.edu.au/news/latest-news/2021/03/muscle-cramp-drink-electrolytes,-not-water
Lau WY, Kato H, Nosaka K. Effect of oral rehydration solution versus spring water intake during exercise in the heat on muscle cramp susceptibility of young men. J Int Soc Sports Nutr. 2021 Mar 15;18(1):22. doi: 10.1186/s12970-021-00414-8. PMID: 33722257; PMCID: PMC7962362.
https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-021-00414-8
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33722257/