膣のなかは通常は乳酸菌が多い状態で健康が保たれていますが、よくない菌が増えてバランスが崩れると細菌性膣炎を引き起こすことがあります。このたび海外研究では、膣内細菌のバランスが崩れて細菌性膣炎を起こすと不妊につながることが報告されました。不調を感じるときには早期の治療を受けるなど対処するとよさそうです。
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膣内細菌のバランスとは
膣を守ってくれている膣内細菌叢の大切さが次第に認識されつつあり、研究もいろいろと進められています。善玉菌の乳酸菌が少なくなってしまう細菌性膣炎は、わりあいよく見られる症状とはいえ注意が必要。性感染症や早産などの産婦人科系の病気、さらにはがんのリスクも高くすると考えられています。
今回、中国の研究グループは、膣内細菌叢の状態と不妊との関連性を調べた過去の研究をデータベースからピックアップ。集まった研究15件の参加者について、膣のなかで優勢な4種類のラクトバチルス属乳酸菌が多いか、または細菌性膣炎の検査結果が正常であれば高乳酸菌グループ、それ以外を低乳酸菌グループとして、不妊との関連性を分析しました。
細菌性膣炎で40〜70%リスク増加
一連の研究で確認されたのが、膣内にラクトバチルス属が多い高乳酸菌グループは、不妊になりにくいということ。全体として不妊リスクが17%低くなりました。また、細菌性膣炎の検査結果から、中等度の細菌性膣炎があると不妊のリスクがおよそ40%高くなり、確定的な細菌性膣炎では不妊リスクが72%高くなるとわかりました。
研究グループは分析結果を検証して、この関連性は明確と結論しつつも、今回の研究ではそのメカニズムまではわからないため、さらに研究を重ねて因果関係を解明する必要があると指摘しています。いずれにせよ、細菌性膣炎が不妊のリスクを高める可能性があるわけですから、不調を感じるときには放置せずに、一度医療機関で治療を受けることを考えるとよいかもしれません。
<参考文献>
Hong X, Ma J, Yin J, Fang S, Geng J, Zhao H, Zhu M, Ye M, Zhu X, Xuan Y, Wang B. The association between vaginal microbiota and female infertility: a systematic review and meta-analysis. Arch Gynecol Obstet. 2020 Sep;302(3):569-578. doi: 10.1007/s00404-020-05675-3. Epub 2020 Jul 8. PMID: 32638096.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32638096/