突然ですが「不眠」というとどのようなイメージをもちますか? 来る日も来る日も眠ることに苦労するというイメージをお持ちの人も少なくないと思いますが、じつは「不眠」にも「その日だけ眠れない」という軽いものから、「毎日眠れない」といった重いものまで、さまざまなレベルが存在するのです。
今回は、睡眠コンサルタントの友野なおさんに不眠の症状について詳しく教えてもらいました。
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「不眠」と「不眠症」の違い
不眠の症状には早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」や寝つくまでに時間がかかってしまう「入眠障害」、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」、ぐっすり眠れたという満足感が得られない「熟眠障害」の4つがあります。長期にわたりこのような症状に身に覚えがあり、かつ、日中に心身の不調を感じる、意欲や集中力などの低下を感じる場合には「不眠症」の可能性があることが指摘されています。
暗くて静かな寝室でひとり「眠れない」という孤独な戦いを経験すると、どんどん不安が募り、ネガティブな思考や感情に自分自身が飲み込まれていってしまうということがありませんか? その結果、眠ることが怖くなったり、眠ること自体をストレスと感じるようになってしまったりすることも。本来睡眠は究極のリラックスタイムであり、休息時間です。心身の疲れが癒され、ダメージがメンテナンスされ、明日のためのエネルギーがチャージされる時間なので、睡眠時間に対する負のイメージは避けたいところです。
一過性の不眠であれば、その日にストレスフルなことがあったとか、時差ぼけがあるなどの理由が明確であり、特別な治療などを受けずとも自然と眠れるようになることがほとんどです。しかし、数週間程度眠れない状態が続く「短期不眠」の場合は継続的なストレスや病気などが背景にあることがあり、医師の相談のもと睡眠薬を活用することが推奨されています。さらに、1か月以上眠れなくなる「長期不眠」となると不眠症と診断され、睡眠薬の服用と併せて生活習慣やリズムの改善などが必要となります。
睡眠の改善は早ければ早いほどよいです。日本人は眠れないときに寝酒習慣を始める割合が諸外国と比べてとても高いのですが、寝酒の習慣は睡眠全体の質を落とすだけでなく、アルコール依存症のリスクを高める習慣でもあるため、推奨できません。眠れない背景にもしかしたら別の病気が潜んでいる可能性も否定できないため、自分だけで何とかしようとせず、気軽に睡眠外来や心療内科に相談しましょう。