質のよい睡眠を十分にとることは健康にも美容にも大切という認識が広まりつつあるなか、よく眠るためには日中に運動するといいといわれています。ふつうは有酸素運動がすすめられていますが、このたび、同じ運動でも筋トレのほうが、睡眠の質も長さも改善するという報告がありました。
Contents 目次
1年間の運動効果を比較
現代の忙しい生活では、十分に眠れていない人がほとんどかもしれません。でも、よく眠らないと体重が増えたり、糖尿病のリスクが上がったりするうえ、高血圧や動脈硬化など心臓と血管の病気になりやすくなることが、過去の研究でわかっています。そのため、米国心臓協会(AHA)は、よく眠るために有酸素運動を奨励しています。
ただ、筋トレなど、ほかのタイプの運動の効果についてはわかっていなかったため、今回、米国の研究グループは、有酸素運動と筋トレが睡眠に与える影響を比較してみました。対象としたのは、ふだんあまり体を動かしていない、太めで高血圧の傾向がある男女約400人。インストラクターの指導のもとで1年間、筋トレ、有酸素運動、両方の組み合わせ(いずれも60分を週3回)の3パターンのどれかを続けるグループと、運動しないグループの4グループに分け、研究開始前と1年後に睡眠の長さや寝つくまでの時間、起きる回数などについてのアンケートを行って結果を分析しました。
筋トレは12種類のマシーンですべての主要筋群を動かし、有酸素運動ではトレッドミル、エアロバイク、クロストレーナーなどを中〜高強度で使用。筋トレと有酸素運動を組み合わせたグループは両方を毎回30分ずつ行いました。
筋トレは睡眠効率アップに貢献
一連の研究で確認されたのが、運動をしなかったグループも含めてすべてのグループで全体的に睡眠の質が改善したことです。睡眠中に目覚める回数も減りましたが、研究開始前に睡眠時間が7時間より少なかった人(全体の42%)のなかで、筋トレのグループだけが平均睡眠時間を17分延ばしていました。筋トレのグループは、寝つくまでの時間も3分短くなりました。また、筋トレと有酸素運動を組み合わせたグループでは、横になっている時間のうち、眠っている時間の比率が高まっていました。
今回の結果から研究グループは、筋トレと有酸素運動は両方とも健康のために大切ですが、睡眠に関しては筋トレのほうが有効かもしれないと結論。筋トレは筋肉と骨だけでなく、心臓や血管の健康にもつながる可能性があると指摘しています。
038 – Comparative Effects Of Aerobic, Resistance, And Combined Exercise On Sleep(AHA EPI 2022)
https://www.abstractsonline.com/pp8/?_ga=2.43661667.795188704.1646150369-78844285.1609356599#!/10553/presentation/99