プロバイオティクス(体によい菌)といえば腸活ですが、最近では腸を健康に保つばかりではなく、全身の思いがけない効能が現れることが明らかになっています。そのひとつとしてこのたび、アスリートやたくさん運動をする人がプロバイオティクスのサプリメントをとると、有酸素運動の成果が高まるという報告がありました。
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運動しすぎの悪影響を軽減
エクササイズにはメリットも多いのですが、やりすぎは体に負担になることもわかってきているそう。たとえば、アスリートや日ごろからたくさん運動をする人は、免疫低下や酸化ストレスの増加などさまざまな影響を受けやすくなることが研究から判明しています。
一方で、別の研究では、プロバイオティクス がこうした運動から受ける影響を軽くすると示されているそうです。また、マラソンなど持久力が必要な運動(有酸素運動)の選手はとくに、消化器系が不調になりがちなのですが、ここでもプロバイオティクスの効果が報告されています。
このように運動に関連したプロバイオティクスの働きについては多くの研究が行われてきたのです。微生物のタイプやとる量、タイミング、運動の種類などが研究によって異なるため、結果はあまり一貫していません。
そこで今回、スペインを中心とする研究グループは、アスリートや運動量の多い人(週に8時間以上またはワークアウトを週5回以上)を対象として、有酸素運動をメインとして行った(5分以上)場合のプロバイオティクスの効果を調べた研究を集め、まとめて分析してみました。
とる量や期間によって異なる
こうして判明したのは、プロバイオティクスをとると、とらない場合に比べて有酸素運動のパフォーマンスが高まるということ。さらに、条件が変わると、効果が高まることも確認されました。具体的には、微生物の量が増えた場合、菌株が1種類であった場合、とる期間が4週間以下の場合、男性である場合、“疲労の限界まで”運動した場合に、高い効果が見られました。
ただ、プロバイオティクスによって現れる効果を予測するのは難しいこともわかりました。メカニズムの解明、また菌株個々の効果を調べるためにも、さらに研究が必要になるようです。とはいえ、運動と腸活を組み合わせることが有効といえるのかもしれません。
<参考文献>
Santibañez-Gutierrez A, Fernández-Landa J, Calleja-González J, Delextrat A, Mielgo-Ayuso J. Effects of Probiotic Supplementation on Exercise with Predominance of Aerobic Metabolism in Trained Population: A Systematic Review, Meta-Analysis and Meta-Regression. Nutrients. 2022 Jan 30;14(3):622. doi: 10.3390/nu14030622. PMID: 35276980; PMCID: PMC8840281.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35276980/