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生理期間中の不調、どうケアすればいい? ママ女医ちえこ先生がアドバイスする「セルフケアの基本」
生理中の肌荒れや痛みなどの不調は、毎月のこととはいえつらいもの。体にかかっているストレスが気持ちまで影響されてしまいます。そんな生理期間中の体と心のトラブルは、じつは冷えや栄養不足から来るものかも!? 生理の痛み・不調のセルフケアの基本について、現役産婦人科医であり人気YouTuberのママ女医ちえこ先生にポイントを教えていただきました。
Contents 目次
生理中は入浴しても大丈夫?
生理中はシャワーで済ませてしまう人もいるかもしれませんが、じつは生理中こそ入浴して体を温めたほうが生理痛の緩和につながるそう。
「デリケートな期間だからこそ、自宅のきれいな湯船にゆっくりと浸かって体を温めてあげましょう。全身の血流がよくなって、生理痛の緩和効果も期待できます。お湯の温度は好みに合わせて調節し、自分が心地よいと思うことが大切です。ただし、体を温め過ぎると血管が拡張して立ちくらみを起こしやすくなるので、体調に合わせて半身浴にするなど、のぼせないような工夫をしましょう」とちえこ先生。
生理痛ケアでは、お風呂だけでなく、ふだんの生活でも体を冷やさないことがポイントになります。
「たくさん汗をかいているようなときは温める必要はありませんが、エアコンが効いたオフィスでずっと仕事をしているなど、夏場でも体が冷えているときにはお腹まわりを温めることを意識しましょう。カイロや腹巻きなどがオススメです。また、冷え対策には首まわりや手首、足首もカバーすると効果的。ひざかけやカーディガンなどが1枚あると寒いなと思ったときに助かりますね」
冷えは大敵。痛みケアには血流促進がカギ!
そもそも生理中に体を温めるといい理由は、東洋医学の考え方に基づいているそう。体が冷えると血液が骨盤内で滞りやすく、そのために痛みが生じます。つまり、滞っている血液の流れをよくしてあげれば痛みは改善されるということ。そのため、温めて血管を開かせ、血流をよくすることが重要になるのです。
「お風呂に浸かって外側から体を温める以外にも、しょうがの入った飲み物などで体のなかから温める方法もあります。しょうがに含まれる辛み成分のジンゲロールやジンゲロンは血の巡りをよくして、発汗をうながす作用があります。ジンジャーティーにして飲めば、体が温まるだけでなく、気持ちを落ち着かせる効果も期待できますよ」
痛みが強いときはツボを温めて血流をうながすのもオススメ。ちえこ先生が教えてくれた、生理痛でつらいときに温めるとよいツボ3つをご紹介しましょう。
・気海(おへそから指2本分下がったところ)
・三陰交(足の内側のくるぶしから指4本分上)
・腎兪(おへその裏あたりで背骨から指2本分の左右にある)
「指圧のようにピンポイントで温める必要はありません。おおよその場所を覚えておいてカイロを当てるだけでも効果的。自分が気持ちよいと思うところを探していくようにしましょう」
女性ホルモンの安定には、栄養とエネルギーが必要
これまで生理中の不調に対処するコツを紹介してきましたが、少しでも生理の負担を和らげるためには、日ごろから女性ホルモンの分泌や生理周期を安定させたり、子宮を元気にしたりする生活習慣を実践することも重要になります。
そこで、まず気をつけたいのが「食事」。
女性ホルモンを安定させるためには、多くの栄養素とエネルギーが必要になります。ダイエットによる極端な摂生や偏食は控えたいもの。そして糖質のとり過ぎにも注意が必要です。
「糖分が多いお菓子やジュースをはじめ、パンや白米といった白い主食の糖質を一気にとると、血糖値が急上昇し、その後、急激に低下します。このような激しい血糖値の変動は、じつはメンタルや女性ホルモンの乱れを引き起こす要因になってしまいます」
糖質の摂取をコントロールするためには食事の食べる順番を工夫するのも一案。サラダなど食物繊維がとれる野菜を最初に食べ、次に肉・魚料理などたんぱく質メインのディッシュ、そして糖質が多い主食をあとにとる“ベジファースト”の食べ方をすることで、糖の吸収をゆるやかにすることができ、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。
また、生理前にはホルモンの影響で食欲が増してしまう人も。そんなときの間食は、お菓子やジュースではなく、血糖値が上昇しにくい食べ物を選ぶようにしましょう。
「ナッツやチーズは血糖値が上がりにくい食べものなのでオススメです。どうしても甘みがほしいときは、やはり血糖値を上げにくい甘味料のはちみつなどで代用するとよいでしょう。また、生理中はなるべくストレスを減らしながら気持ちよく過ごすことのほうが大切なので、ストイックに甘いものをガマンし過ぎる必要はありません」
効率よく栄養不足を補うためには、サプリメントもアリ
女性が不足しがちな栄養にはカルシウム、鉄、ビタミン類など多々あり、こうした栄養不足も子宮の健康を損なう一因に。とはいえ、すべてを毎日の食事で補うのはなかなか難しいため、サプリメントに頼るのもアリとちえこ先生は言います。
「必要な栄養を食事だけでとらなければいけないと考えると、食べ過ぎにつながることもあり、そうすると体には逆効果。ひと昔前には必要な栄養素を摂取するために“30品目をとりましょう”といわれていましたが、結果的に食べる総量が多くなってしまうため、エネルギー過多になってしまいます。食事だけでは必要な栄養を補いきれない場合にはサプリメントを活用するのが、体に負担の少ない食べ方ですね。
糖質のコントロールができるようになれば、さほど甘いものがほしいと感じなくなってきます。まずは人工甘味料を含めた糖質から遠ざかる食生活へと変えていくようにしましょう。そのうえで、日常的に十分な栄養をとるように心がけることで、生理による体と心の悩みもケアできるようになっていきます」とアドバイスしてくださいました。
女性が気をつけたい「冷え」と「栄養不足」。ふだんの生活習慣を点検して、生理中の不調にも負けない体づくりを目指しましょう!
参考書籍/
『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)
取材・文 番匠 郁 イラスト/たなかのりこ