デスクワークが続くなどして、座りがちな生活が続いたりすると、前触れもなく腰痛が現れることがあります。そんな腰痛が長引いてマッサージなどの施術に頼っているという人は多いかもしれません。一方で、腰痛は定期的な運動に取り組むことで改善するとされています。今回海外研究がそんな腰痛を解決するためにどんな運動がよいかを比べて結果を報告しました。腰痛を改善するために最適な運動はどのようなものなのでしょうか。
Contents 目次
過去の研究をまとめて分析してみた
腰痛が長引いて、じっと座っていられない、起きているのもつらいなどと感じている人は少なくないかもしれません。慢性的な腰痛に関しては、日本を含め各国のガイドラインで日常的な活動の維持や運動が推奨されています。運動療法は痛みや障害をある程度和らげる効果があると考えられてきました。腰痛に悩んでいる人のなかには、どんな運動に取り組むとよいのか気になっている人もいるはず。
今回、スウェーデンのカロリンスカ医科大学などの研究グループは、過去の研究をまとめて、運動療法のタイプごとの効果の大きさ、研究の信頼度などを踏まえて腰痛を改善する効果について分析しました。今回の研究で調べられた運動療法は9種類。それらは有酸素運動、水中運動、モーターコントロール運動、筋トレ、ピラティス、スリングエクササイズ、太極拳および気功、ウォーキング、ヨガです。
筋トレもウォーキングも効果は同じくらい
こうしてわかったのは、腰痛を軽減する目的では、運動のタイプによらず、体を動かすことそのものが痛みを軽くしてくれるということでした
具体的には、分析の対象になった運動はいずれも、何もしないよりも痛みや障害を和らげる効果がありました。また、運動のタイプによる大きな違いはありませんでした。ですから身近な運動である、筋トレやウォーキングなどの運動でも腰痛の改善にはそのほかの運動と同じくらいの効果が期待できそうだということです。
腰痛によい運動についての研究はまだまだ続いているようですが、これまでの研究からいうと、まずはできるところから運動に取り組んでみるのがよさそうといえるのかもしれません。
<参考文献>
Grooten WJA, Boström C, Dedering Å, Halvorsen M, Kuster RP, Nilsson-Wikmar L, Olsson CB, Rovner G, Tseli E, Rasmussen-Barr E. Summarizing the effects of different exercise types in chronic low back pain – a systematic review of systematic reviews. BMC Musculoskelet Disord. 2022 Aug 22;23(1):801. doi: 10.1186/s12891-022-05722-x. PMID: 35996124; PMCID: PMC9394044.
https://bmcmusculoskeletdisord.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12891-022-05722-x