CATEGORY : ヘルスケア |不調
ストレス性のめまいを軽くするには、バランス感覚の強化が大切! めまい専門医が指導する「めまい改善トレーニング」を症状別に紹介
最近、20~40代の女性にストレス性のめまいを訴える人が増えています。地面がグルグル回るめまいや、フラフラするめまいを感じたら、ストレス性のめまいかもしれません。めまい症状が出る疾患についてシリーズで紹介していきます。今回は、ストレス性のめまいの改善方法について、横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科部長で、25万人のめまい症状を改善してきた新井基洋先生にうかがいました。
Contents 目次
めまいの改善は、バランス感覚の強化がカギ
このシリーズでは、めまい症状が出る疾患について紹介していきます。
(1)ストレス性のめまいって?
(2)ストレス性のめまいのセルフケア ←今回はココ
(3)PPPD
(4)メニエール病
(5)めまいを伴う突発難聴
(6)前庭性片頭痛
(7)良性発作性頭位めまい症
ストレス性のめまいは、内耳の血流の悪化等でバランス感覚が影響されることも原因のひとつです。ただ、前庭性片頭痛、メニエール病、PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)などの疾患が原因となっているケースもあるため、気になる症状は耳鼻科で診てもらうことが大切です。
日常生活に支障を来たすほどではないけれどめまいが気になるという場合、「めまい改善トレーニング」で症状をやわらげることができます。
めまい改善トレーニングのポイントは、体のバランス感覚を強化していくことです。
「私たちは体のバランスをとるために、耳、目、足裏の3か所で情報を集めています。これらの情報をまとめ、体のバランスをコントロールしているのが小脳。小脳、耳、目、足裏はバランスの四天王です。
目、耳、足裏からの神経情報が何らかの原因でトラブルが生じて、脳にうまく伝わらず、体のバランスがとりにくくなったときには、小脳がじょうずにコントロールして、バランスを保っています。しかし、小脳でも補いきれないほどのバランスのくずれが起きると、慢性的なめまいやふらつきにつながるのです。
そこで、めまいの改善には、小脳を鍛えることが効果的です。フィギュアスケート選手の高速スピンを思い浮かべてください。彼らは、日々のトレーニングで小脳を鍛えているため、高速でスピンを回っても倒れたりしないのです」
やり方は、視線や頭、首を動かしたり、足の裏からの刺激を加える足踏みをしたりすることで、目、耳、足裏をくり返し有効に刺激します。「それによって、小脳というバランスの中枢の機能が高まり、平衡機能が改善します」と新井先生。
めまい改善トレーニングを症状別に紹介!
ここでは、めまいを改善する基本のトレーニングを紹介します。
【こんな人に!】
□横書きの文字を読むと頭がフラフラしてくる
□急に左右に視線を変えたときにクラッとする
速いヨコ
(1)両腕を伸ばして、肩幅よりやや広めに開く。両手の左右の高さをそろえて親指を立てる。
(2)頭を固定して、目だけを動かして右の親指と左の親指を交互に見る。
※1秒間に1回見るリズムで、「1」「2」と声を出して回数を数えましょう。合計20回です。
【こんな人に!】
□走行中の車や電車の窓から景色をみるとクラッとする
□左右にゆっくり動くものを見ているのがつらい
ゆっくりヨコ
(1)体と顔を正面に向けて、左手の人さし指でアゴを押さえ、頭が動かないように固定する。右腕を正面にまっすぐに伸ばし、手を握って親指を立てる。
(2)左手の人さし指を固定し、右腕のひじを伸ばしたまま親指を右方向に30°移動させながら、親指の爪の動きを目で追う。頭を動かさないように注意する。
(3)右の親指を、正面を通って左方向に30°移動させながら、(2)と同様に目で追う。
※(2)~(3)を10往復行う。
※親指を移動させるときに、声を出して「1」「2」と回数を数えましょう。合計20回です。
【こんな人に!】
□顔を左右に向けるとクラッとする、人に呼ばれて振り返る時にクラッとする
□車庫入れの動作など後方確認がつらい
振り返る
(1)体と顔を正面に向けて右腕を伸ばし、手を握って親指を立てる。
(2)親指の爪を見ながら、頭だけを右に30°ひねる。
(3)同様に、左に30°ひねる。
※(2)~(3)を10往復行う。
※頭をひねるときに、声を出して「1」「2」と回数を数えよう。合計20回です。
※クラッとしたら効いている証拠です。
【こんな人に!】
□顔を下に向けるとクラッとする、掃除や洗顔のときにクラとする
□顔を上に向けるとクラッとする、目薬を差すのがつらい
上下
(1)体と顔を正面に向けて右腕を伸ばし、手を握って親指を横に突き出す。
(2)手は動かさず、目線を親指の爪に固定したまま、頭を30°上に向ける。
(3)同様に、アゴをしっかり引いて頭を30°下に向ける。
※(2)~(3)を10往復行う。
※頭をひねるときに、声を出して「1」「2」と回数を数えましょう。合計20回です。
【こんな人に!】
□立っているときや歩いているときにめまい、ふらつきがある
□外出をしたいが自信がないとき
□まっすぐに歩けない
□暗いところで歩くのが怖い
50歩足踏み
(1)両腕を肩の高さまで上げて、まっすぐ伸ばす。
(2)その場で、腕を伸ばしたまま、「1、2」と数えながら、左右交互に脚を上げて、リズミカルに50歩足踏みをする。初めは目を開けて行い、馴れたら目を閉じて行いましょう
※フラつく場合は、テーブルや壁に手をついて行ってもOK。
耳の不調を治療するだけでは、めまいは改善しません。耳の不調が、抱えているストレスと関係するため、ストレスの原因を取り除いていくことも大切です。
取材・文/海老根祐子 イラスト/クロカワユカリ