冷たい水に体を浸すとゾクッとしますが、慣れてくれば体の奥から逆に熱が生まれてくるのを感じられます。日本でも伝統行事としてある寒中水泳、スポーツやサウナのあとの冷水浴など、冷たい水に身をつけることの健康効果に関心が高まっているようです。今回、海外研究によると、冷たい水に浸かると脂肪燃焼がうながされる効果が報告されました。
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冷水が体を変える?
体を冷水に浸すこと(冷水浴または冷水浸漬法などと呼ばれます)は、主に運動後の筋肉疲労などを軽くするためにとり入れることがあります。寒中水泳も、コールドウォータースイミングやアイススイミングと呼ばれ、健康につながるとして海外で盛んに行われているといいます。国際的な協会があったり、競技会も開かれたりしているそう。また、疲れを癒すなどの効果で人気の高まりが見られるサウナでも、水風呂に浸かる人がいるでしょう。これで気持ちよくなることが「ととのう」と呼ばれるようになりましたが、これも冷水浴の好ましい効果と関係するのかもしれません。
従来、冷水浴の健康に及ぼす効果は研究されてきました。そこからは慢性炎症やストレスを軽くする効果を示すような結果も出ているといいます。
そこで今回、ノルウェーの研究グループは、水温20℃以下で寒中水泳や冷水浴の効果を調べた過去の研究を集め、健康への効果がなぜ起こるのかを検証しました。
褐色脂肪細胞が増える
今回の研究から確認されたのは、冷水浴によって脂肪燃焼効果が高まる可能性があるということです。具体的には、冷水浴によって体脂肪を減らしたり、脂肪を燃やす褐色細胞を増やしたりする効果があると確認されました。さらに脂肪燃焼や代謝改善に関連している善玉物質の「アディポネクチン」を増やしたり、やはり代謝改善に関係するインスリン抵抗性の低減およびインスリン感受性の向上につながったりする効果も認められました。
褐色細胞は、脂肪をため込む白色脂肪細胞とは違って、寒さによって活性化されて、体温を保つために脂肪を燃やしてくれる“善玉”脂肪細胞です。肥満などの代謝疾患や心臓および血管の病気を防いで健康を維持する効果につながる可能性があります。
こうした脂肪燃焼や代謝改善につながる効果によって健康全般に好ましい影響が及ぶ可能性があるようです。低体温症や冷たい水によるショックなど心臓や肺に与える影響には注意が必要だといいますが、過去の研究を参考にすると、冷たい水に浸かってリフレッシュすることが体によい効果をもたらしてくれそうです。
<参考文献>
An icy swim may cut ‘bad’ body fat, but further health benefits unclear – review of current science suggests
https://newsroom.taylorandfrancisgroup.com/an-icy-swim-may-cut-bad-body-fat-but-further-health-benefits-unclear-review-of-current-science-suggests/
Esperland D, de Weerd L, Mercer JB. Health effects of voluntary exposure to cold water – a continuing subject of debate. Int J Circumpolar Health. 2022 Dec;81(1):2111789. doi: 10.1080/22423982.2022.2111789. PMID: 36137565.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/22423982.2022.2111789