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女性特有の不調、男性側はどうサポートすればいい? 庄司智春さん・藤本美貴さん夫妻が女性の健康課題をテーマにトーク!
働く⼥性の健康や就業環境を可視化するまるのうち保健室のプロジェクト「働く女性 健康スコア」の発表会(3月8日開催)。特別ゲストとしてお笑いコンビ・品川庄司の庄司智春さんとタレントの藤本美貴さんが夫婦そろって登壇し、PMSや更年期といった女性特有の健康課題を正しく理解することをテーマにトークを繰り広げました。女性の不調に対する男性のサポートはどうする? 良好なコミュニケーションのコツは? ふたりのトーク内容からヒントを探っていきましょう。
Contents 目次
女性特有の不調、どこまで踏み込む?
トークセッションには庄司さん、藤本さん、三菱地所株式会社エリアマネジメント企画部まるのうち保健室プロデューサーの井上友美さん、クレアージュ東京レディースドッククリニック総院長の浜中聡子先生が参加。ふだんから家庭のなかでコミュニケーションや会話量は多いという庄司さん・藤本さん夫妻が「働く女性 健康スコア」の結果のなかでまず注目したのは、女性が働きやすい環境を整えるための“周囲のサポート”についてでした。
井上さん:今回の「働く女性 健康スコア」*1の調査では、女性特有の症状であるPMSや生理痛をはじめ、妊活、更年期などに男性の理解があると、女性が会社で働くことに対してポジティブになるということが見えてきました。ただし、男性社員が女性特有の症状に対して理解があるかを尋ねた質問で“ある”と答えた企業が7割を超えた反面、“ない”と答えた企業も23%は存在し、非常に大きな開きがあることもわかりました。
*1)東京・丸の内エリアに立地する14社の女性従業員3,425名を対象に健康状態を調査し、女性の健康課題を見える化した課題抽出ツール
庄司さん:僕も結婚してから美貴さんの教育のもとで、なんとなく奥さんの体を労われるようになってきました。
藤本さん:調教されたってこと?
庄司さん:そう(笑)。いま僕は47歳ですが、この世代って女性のホルモンバランスとかに無頓着で、しかもそこに踏み込んだらちょっと警戒されるんじゃないかって感じる世代だと思うんです。
藤本さん:セクハラっぽい感じになってしまうんじゃないか、とかね。
庄司さん:そもそも、必要以上に心配すると気持ち悪がられるんじゃないかとか、女性のことをなんでそこまで知ってるの?と思われるのもイヤで。あんまり踏み込まないでおこう、知っていたとしても距離をとろうみたいな感じでいたんですが、結婚してからは、女性特有の症状でつらいときにはこうしてほしい、こんな声かけをしてくれたほうがいいっていうのをわかりやすく教えてもらって、結婚して14年目にしてようやく理解できるようになってきたところです。これは男性として女性に対するマナーというか、知っておいたほうが絶対いいことだと、いまになって感じています。
藤本さん:じつは女性同士でもわからないんですよね。私も『モーニング娘。』にいたころはメンバーの様子がいつもと違っても、それを伝えてくれないと“なんか機嫌悪い”くらいにしか思わなかったりして…。女性同士でも言ってくれないとわからないのに、男性はもっとわからないだろうなって思う。
庄司さん:理解しようと思っても、そこにはあんまり踏み込んじゃいけないのかなっていうね。でもやっぱり踏み込んでいいと思うし、その踏み込み方は、男性側がマナーとして知っておいたほうがいいんじゃないかなと思います。
藤本さん:たしかに踏み込み方は大事。男性から“どうしたの?なんで?”って聞かれると答えづらいところもありますしね。
浜中先生:不思議なものでみんな生理痛があることを表に出さないし、それを問題視しないでなんとかしていこうという傾向は強いです。痛いのは仕方がないから市販薬を飲んでごまかして頑張ってしまう人もいます。また、制度上では生理休暇があるはずなのに、わざわざそれを声に出して取得する人もいません。言っちゃいけないことだと思っているし、庄司さんが言ったように、年代によっては、男性は生理や女性特有の課題に対して少し性的な感覚をもっているからこそ、どこまで言っていいのか悩む人もいます。だからこそまずは正しい知識を持ってもらい、女性の体にはどんな不調が起こり得るのか認知を広げることが、いちばん大事だと思います。
夫婦の“歩み寄り”のコツは?
生理痛やPMSは“あって当たり前”と思っている女性も多いからこそ、女性が主体的に発信することも重要なポイントに。同時に男性からも情報を求めてもらい、お互いに歩み寄ることが大切なのではないかとトークは進行。庄司さんが夫婦間での“歩み寄り”についてのエピソードを披露しました。
藤本さん:(夫婦間の)ふだんの会話量は多いですね。
庄司さん:歩み寄れていますか?
藤本さん:寄れています(笑)。私が家にいるとき、遠くても“痛い!”と言ったら走って来てくれと伝えていて、実際に走って来てくれます。
庄司さん:それで怒られたことがあるんですよ。キッチンで“痛い”と聞こえたとき、僕がリビングから“大丈夫?”と声だけで言ったら“はぁ?来いよ。妻が痛がってんだから来いよ”ってすごいキレられたことがあって。そこからはもう走っていくようにしていますし、子どもを授かったときにもなにが大事か考えたんですが、やっぱり彼女の機嫌がいちばん大事だと…。
藤本さん:ちょっと待って。私がすごい難しい感じの人になってるけど?(笑)
庄司さん:奥さんのご機嫌をすごくとって、ゴマをすって生きているとかそういうことではなくて、ちっちゃいことでもお互いに話すようにすれば、自分のなかでもうまく気持ちの整理ができるし、関係性のバランスもよくなっていくのかなと思っています。
藤本さん:それにしょっちゅう一緒にしゃべっていれば、今日はちょっと調子が悪いのかな?とか、いつもと様子が違うときにも気がつけたりすることもあります。
庄司さん:美貴さんは体調の良し悪しをいつもわかりやすく伝えてくれるので、あまりにも体調不良が続いているようなら、診てもらったほうがいいんじゃないの?などの声をかけたりもしますね。
井上さん:おふたりの関係性のように、男性社員の理解があることでワークエンゲージメントが上がったり、職場満足度が向上したり、また頑張っていこうという気持ちが芽生えたりと、言葉はもちろん態度で示すことも大切であることが、今回の調査結果にも表れていました。
ホルモンバランスは数値で把握してセルフケアを
ひと昔前は避妊が主な目的で副作用として血栓ができやすくなると抵抗のあったピルも、現代では女性ホルモンのバランスを整えるためのセルフケアの一環として注目されるようになりました。また、更年期ではピルの服用だけでなく、逆に「ホルモンを補充することもある」と浜中先生は言います。現在38歳の藤本さんも、更年期というキーワードに着目。女性ホルモンとじょうずにつき合うためのケアについて話が弾みました。
浜中先生:女性は生涯を通して女性ホルモンの影響を大きく受けるわけですが、理想を言えば更年期には、実年齢よりも少し高めのホルモン値でいたほうがキレイに歳を重ねられます。とはいえ、ホルモンを補充することを考える前には乳がんや子宮がん検診、経腟エコーなど基本的な検査を受け、そのうえでホルモンの数値を見てバランスがどうなのか、閉経にどの程度近いのかを確認し、必要最低限の量を補充することが安全。効果も最大限期待できるでしょう。
藤本さん:ホルモンの値を測れることを知らなかった! あと、男性にも更年期があるっていうのは聞きますね。
庄司さん:男性のホルモン数値も測れるんですか?
浜中先生:男性にも更年期はありますし、数値を測ることもできます。男性ホルモンと聞くと一般的には精力減退と思いがちですがそうではなく、女性と違って閉経というはっきりとしたイベントもありませんが、同じような年代から女性の更年期のような症状がたくさん出てくる方はいます。ちょうど社会的にも活躍していてストレスも多いタイミングなので、いろいろなことが重なって症状が強く出る方に関しては、数値を測ったうえで男性ホルモンを投与することもあります。
井上さん:庄司さんもなにかあったときには、藤本さんにどうシグナルを出したらいいか考えないといけないですね。
藤本さん:そうだよ! 私のことばっかり考えてますけど!
庄司さん:だったら、お互いのホルモン数値を理解しておいたほうがいいね。
藤本さん:見せ合おうか(笑)
浜中先生:いいかもしれませんね。いま人間ドックなど受けていると思いますが、ふつうの検査ではホルモンの数値などが出ないので、オプションでつけるか専門的な施設に行く必要があります。一緒に検査を受けてデータを蓄積していくことがセルフケアでは大切な観点。点で見るよりも線で見ることによって、自分自身の体調が見えてきますから、そのデータを蓄積して総合的に判断してもらえるような状況をつくることが大事です。
トークセッションで終始、息の合った掛け合いを見せた庄司さんと藤本さん。最後に「妊娠・出産を経験してもなお知らないことが多くある」と締めくくった藤本さんに続き、庄司さんは「じつは“私が更年期になったらどうやって向き合う?”みたいなことも話していて、美貴さんからは“ちゃんと向き合ってね、私がイライラしたときも受け止めてね”ということも言われているんです。だから、とにかく数値を頼ることにします!」と宣言し、“歩み寄り”の姿勢を見せていました。
「まるのうち保健室」働く女性の課題を見える化する「働く女性 健康スコア」資料
https://shokumaru.jp/hokenshitsu/report2023/
取材・文/番匠 郁