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ひき始めの対処が肝心! ドクターに教わる「風邪・感染症にかかったかも?」のサインと基本の対策

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ひき始めの対処が肝心! ドクターに教わる「風邪・感染症にかかったかも?」のサインと基本の対策

例年になく暑い夏が過ぎ、気温がぐっと下がってきました。寒暖差からの体調不良や、感染症の流行が心配になる季節がやってきましたね。風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスといったウイルスによる感染症は、いずれも早期に対処して軽症のうちに治すのが大切。医師であり、救急医療のスペシャリストでもある、新百合ヶ丘総合病院救急センター・センター長の伊藤敏孝先生に、感染症への備え方、かかり始めのサイン、家でできる対処の仕方を教えていただきました。

監修 : 伊藤 敏孝 (医師)

新百合ヶ丘総合病院 救急センター センター長。救急医。外科医。防衛医科大学卒業後、横浜市みなと赤十字病院救急部 部長を経て現職。救急医療のスペシャリスト。日本救急医学会専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会専門医、日本外傷学会評議員・専門医。

Contents 目次

風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス、かかり始めの症状の違いは?

秋から冬にかけて流行が心配される感染症として、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスなどがありますが、ひき始めの症状として、違いはあるのでしょうか。

「一般的には、インフルエンザや新型コロナウイルスは急激に進行し、高熱が出ます。一方で風邪は、症状の進行が比較的おだやかです。今期に流行っているインフルエンザA型や新型コロナウイルスは、初期症状として、高熱に加えて喉の痛みや、咳などの呼吸器症状、下痢や腹痛といった消化器症状などが見られることが多くありますが、これらの症状は喉風邪やお腹の風邪にも見られます。じつは、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスを自身で区別するのは難しいのです。

高熱が出ると、すぐに病院へ行きたくなるかもしれませんが、発熱など体調不良の原因を病院で検査する場合、症状が出てから半日ほど経たないと正しい判定結果が出ません。一方、インフルエンザや新型コロナウイルスの薬は、発症から48時間以内に服用することで効果を発揮します。正しい検査結果が得られ、原因となる感染症に効果的な薬をふさわしいタイミングで服用することを考えると、半日から1日、必要に応じて市販の風邪薬を飲み、安静にして様子を見てみるとよいでしょう。悪化するようなら、病院で受診することをおすすめします。もちろん強い全身症状があるような場合は、すぐに病院に相談してください。

安静にするときは、症状が軽い場合でも、インフルエンザや新型コロナウイルスといった感染症の可能性を考え、外部や家族とはできるだけ接触しないようにしましょう」(伊藤先生)

次に、感染症にかからないための対策をうかがいました。

「疲れ」が体調不良を引き起こす。疲れを持ち越さないことがポイント

どのような人が感染症にかかりやすいと言えるのでしょうか。

「免疫力が落ちていると、感染症にかかりやすくなります。基礎疾患のない健康な方の場合、一番大切なのは『疲れ』をためこまないこと。基本的なことですが、疲れを感じたら、水分と栄養を十分にとり、しっかり休むことです。感染症は外部との接触によってウイルスが体内に入り込んで症状が表れるわけですから、疲れているときは外部との接触を断って休養をとるようにしましょう。

こまめに手洗いをするのも有効ですよ。新型コロナウイルスの流行によって手袋をする人が増えましたが、手袋をはめっぱなしにしているとかえって無頓着になり、手を衛生的に保つ努力を怠ってしまいかねません。手袋をするよりも頻繁に手を洗うほうが効果的です。

手洗いだけでも効果はありますが、アルコール消毒をする場合は、洗った手をよく乾かしてから行ってください。ぬれた手で消毒をすると、アルコール濃度が薄まってしまいます。また、お店のトイレの洗面所など他人の目が届きにくい場所では、手の洗い方が人によってまちまちになりがちです。じつはトイレのドアノブが汚れているということもあり得るため、消毒をするならトイレから出てから行うのがおすすめです」

お風呂上がりの薄着や、寝冷えなどでも、風邪などをひきやすくなりますよね。

「ウイルスは、涼しくて、乾燥した環境で増殖しやすいのです。布団をかけないで寝たり、お風呂上がりに薄着のままでいたりしていると、体温が低下します。この体温の低下が、ウイルスが増える好環境を生み出しているのだと考えられます。

ちなみにウイルスは熱に弱いのも特徴です。風邪をひくと熱が出ることがありますが、それは発熱によりウイルスを死滅させようとしているという、体の防御反応です」

では、ふだんから行っておいたほうがよい、体調チェックについて教えてください。

「女性は、基礎体温を測るなど、体温を測る習慣のある方が多いかもしれませんね。体温が何度のときにどのような体感があるかは、ご自身の平熱によって違ってきますので、自分の平熱を知っておくことが大切です。体調の変化は、朝起きたときに感じやすいので、だるさやのどの痛みなどがあれば熱を測るのもよいですね。

また、風邪をひくときに喉から来るとか、お腹が弱いとか、悪寒から発熱に発展するなど、それぞれ弱いポイントやパターンがあるかと思いますので、そうした自分の体質を把握しておくようにしましょう。

お子さんや高齢の家族と同居している場合に、気をつけたほうがよいことはありますか?

「子どもの場合は元気があるか、食欲があるかを見てください。高齢者は熱が出ると足腰に力が入らないということもあります。力が入らずうまく立ち上がれないといったときは、体調不良を疑いましょう。もちろん食欲があるかどうかも、体調の変化を知るうえで大事なポイントです」

最後に、風邪薬や解熱剤の飲み方について、うかがいました。

つらい熱症状には解熱剤を。風邪薬は症状+自分にとっての飲みやすさで選ぼう

薬局にはさまざまな風邪薬がありますが、どのように選べばよいのでしょうか。

「風邪薬には、総合的に風邪の諸症状をやわらげる総合感冒薬と、咳・喉・鼻水や、胃腸の不調など、各症状に特化した風邪薬があります。咳も出て鼻水もひどくてお腹も痛い…などさまざまな症状に効果を期待したい場合は総合感冒薬を服用します。ただしこれらの薬にはたいていアセトアミノフェンなど解熱成分も含まれていますので、総合感冒薬と解熱剤を併用すると、用量を超えてしまう場合があるため、注意が必要です。

そこで、自分がかかりやすい症状に効く風邪薬を常備しておき、症状に合わせて薬を選び、熱が出たときには解熱剤を服用するという方法もよいかと思います。市販の風邪薬はさまざまな種類があり、どれを常備するのがよいか迷うかもしれませんが、経験的に飲みやすいもの、飲み慣れているもの、自分に合っていると感じるものを選ぶとよいですよ。なお、鼻水を止める薬には眠気を催す成分が含まれているため、日中、車や機械などの運転を控えているときには服用しないようにしましょう。逆に、寝る前にのんでそのまま休むのはいいですね。風邪薬は、風邪症状を和らげてはくれますが、ウイルスそのものをやっつけてはくれません。薬で症状を軽くしたうえで、休養することが大切です」

先ほど、発熱は体の防御反応だというお話を伺いましたが、解熱剤はどのようなときにのむのがよいのでしょうか。

「体質的に熱に強い人、熱に弱い人がいます。熱が出ていてもそんなにつらくないし、食欲もあるというなら服用する必要はありませんが、熱で体がだるい、頭が痛い、食欲が出ないなど、少しでもつらさがあるときは、解熱剤で熱を下げて、栄養や睡眠をしっかりとるのがよいと考えています。

今年は風邪に加えて、夏頃からはA型のインフルエンザも流行しています。冬には新型コロナウイルスが流行ることも考えられます。疲れを感じたときは無理せず、しっかり体を休めるようにしましょう。体調不良が続くと感じたときは、病院で受診するようにしてください」

 

取材・文/森下真理

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