睡眠不足による美容や健康への悪影響について、メンタル面も含めてさまざまな研究結果が出ています。こうしたなか、海外研究にて睡眠時間が習慣的に5時間より短いと糖尿病になるリスクが上がることが報告されました。驚くことに、この関係性は健康的な食生活を心がけていても変わらないそうなので、要注意です。
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睡眠習慣が糖尿病のリスクにつながる?
睡眠不足が糖尿病のリスクを上げる証拠は過去の研究によっても示され、「血糖値」の上昇や「インスリン抵抗性」への影響が指摘されています。しかし、仕事や育児、経済的な必要性など、さまざまな理由で十分な睡眠をとることが難しい人も少なくありません。
これまでの知見では、健康的な食事や運動といった生活習慣の改善により糖尿病リスクを下げることがわかっていますが、生活習慣の改善が睡眠不足の影響をどれほど軽減できるかは明らかでありません。
そこで今回スウェーデンと中国の研究グループは、数多くの研究に利用されている英国の大規模な追跡調査データ「UKバイオバンク」から、25万人近くの情報をもとに、睡眠時間と食習慣が糖尿病のリスクとどのように関連するのかを調べてみました。
睡眠時間を正常(7〜8時間)、やや短い(6時間)、ある程度短い(5時間)、極端に短い(3〜4時間)の4グループに分け、食習慣を赤身肉、加工肉、果物、野菜、魚の消費量によって0(もっとも不健康)から5(もっとも健康)までの食事スコアで算出。およそ12年半の追跡期間にわたり糖尿病の発症との関連を分析しました。
食事と睡眠による影響をさらに探る必要あり
研究の結果、確認されたのが、睡眠時間が5時間以下の場合に糖尿病のリスクが上がることです。
具体的には、睡眠時間が正常なグループに比べて5時間のグループは16%、3〜4時間のグループは41%のリスク増加が確認されました。このリスク増加は、食習慣が健康的な人でも確認され、睡眠時間が短いと糖尿病のリスクが高まることが示されました。ただし、睡眠時間が短いうえに食習慣が不健康だとリスクがさらに上がるといった影響は見られませんでした。
研究グループは、健康的な食生活が短い睡眠時間による糖尿病リスクを必ずしも緩和するわけではないと結論づけています。しかし、16時間のファスティングや、魚や野菜、オリーブオイルなどの食材を使う地中海食などが血糖値管理や糖尿病リスクの低減に有効であるとする研究結果を踏まえ、これらの食事法が短い睡眠時間のリスクを減らす可能性も指摘しています。一方で、過去の「UKバイオバンクのデータ」に基づく研究では、睡眠時間が短い人でも運動習慣があると糖尿病になりにくいという結果も出ているといいます。
<参考文献>
Nôga DA, Meth EMES, Pacheco AP, Tan X, Cedernaes J, van Egmond LT, Xue P, Benedict C. Habitual Short Sleep Duration, Diet, and Development of Type 2 Diabetes in Adults. JAMA Netw Open. 2024 Mar 4;7(3):e241147. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.1147. PMID: 38441893; PMCID: PMC10915681.
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2815684