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2つの胃腸トラブルに警鐘!「ウイルス性胃腸炎」と「カンピロバクター腸炎」の原因を知って感染予防を

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吐き気でお腹と口をおさえている女性のイメージ

食品を介して発症する胃腸のトラブルは、食べものが傷みやすい夏に発症するイメージがありますが、「ウイルス性胃腸炎」は意外にも冬に多発すると言います。今回は、寒い季節に増加する理由や予防法について、消化器内科医の工藤あき先生にうかがいました。もうひとつ警鐘を鳴らすのが年間約2,000人(厚生労働省のデータ参照)が発症する「カンピロバクター腸炎」です。その原因についても教えていただきました。

監修 : 工藤 あき

内科医、工藤内科副院長。一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれている。著書に『老けない人が食べているもの』(アスコム)ほか多数。
公式HP 工藤 あき official site (aki-kudo.com)
Instagram https://www.instagram.com/_kudo_aki_/

Contents 目次

空気が乾燥すると増加するウイルス性胃腸炎

いちごをルーペでのぞいているイメージ画像

最初に解説していただく「ウイルス性胃腸炎」は、さまざまなウイルスが原因で発症します。なかでもノロウイルスやロタウイルスによる感染は、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。汚染された食品を食べて感染するほか、感染した人の嘔吐物や便から拡散されて発症するケースがあります。

「気温と湿度が低い冬に感染が拡大する理由は、空気が乾燥してウイルスが空気中に舞いやすくなるからです。ノロウイルスは24時間~48時間、ロタウイルスは2~4日間の潜伏期間を経て、吐き気、嘔吐、発熱、脱水などの症状が現れます。

治療法は対症療法が中心となり、7日~10日でウイルスが体から排出されると自然治癒します。検査は必須ではありませんが、症状が重いときや食品を扱う仕事に従事して確定診断が必要なときは、便に含まれるノロウイルスを検出する検査を行います。3歳未満か65歳以上の人、もしくは悪性腫瘍(がん)と診断された人、臓器移植後の人、抗がん剤・免疫抑制剤・免疫抑制効果のある薬を使用している人は保険が適用されますが、それ以外の人の検査は自費で行う必要があります」(工藤あき先生)

ウイルス性胃腸炎への感染を予防し、また感染しても重症化しないためには体の免疫力を下げないことが大切だと工藤先生は言います。日常生活の中ではどのような対策を行えばいいのでしょうか。

「基本的なことですが、規則正しい生活リズムを心がけて、ウォーキングなどハード過ぎない運動を習慣化してストレスを発散するのが免疫力を維持するポイントです。また徹底した手洗いと消毒も有効。アルコール消毒は効果がないため、次亜塩素酸ナトリウムで嘔吐物が付着した床、接触機会が多いドアノブや手すりを消毒しましょう。次亜塩素酸ナトリウムは市販の漂白剤に含まれています」(工藤あき先生)

作り置きした食品の管理も大切で、少しでもニオイに違和感を覚えたら口にしないことが予防につながると言います。体調管理と食品管理に注意して、冬の胃腸トラブルを防ぎましょう。

カンピロバクターは後遺症にも要注意!

鶏肉やにんじんをまな板の上で刻んでいるイメージ画像

もうひとつ消化器系のトラブルで工藤先生が注意を呼びかけるのが、細菌性食中毒のひとつであるカンピロバクター腸炎です。

「カンピロバクターは、肉類の中でもとくに鶏肉からの感染が多くBBQなどで生焼きの鶏肉を食べると感染に至ります。ほかに井戸水や川の水を飲んで発症することもあります。感染すると10日程度の潜伏を経て、人によっては下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、倦怠感などに見舞われますが、治療薬を使わなくても多くは自然治癒が期待できます」(工藤あき先生)

しかし症状が治まっても安心はできず、後遺症に注意が必要です。

「感染から数週間後に手脚の筋肉麻痺や呼吸困難を引き起こす、ギランバレー症候群を発症するケースがあります。たまたま大腸がん検診で内視鏡検査をしてカンピロバクターの感染が見つかる場合があり、下痢などに心当たりがなくても手脚に力が入らないなどの症状があれば、すぐに医療機関を受診してください」(工藤あき先生)

カンピロバクター腸炎を予防するには、肉類をしっかり加熱することが大切です。肉を扱った手や調理器具の洗浄と消毒も心がけましょう。
また、毎年冬に胃腸炎になるという人や胃腸が弱い人は、とくに手洗いを心がけ、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒をする、規則正しい生活リズムを心がけるなどして対策をしましょう!

取材・文/北林あい

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