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頭痛、筋肉痛、肌あれ、抜け毛、PMS…さまざまな不調にマグネシウム不足が関わっている!? 知らないことが多すぎるマグネシウムについて医師が解説
体内で0.4%を占めるミネラル類は、比率こそ低いものの、私たちの生命維持に欠かせない役割を果たしています。なかでも「マグネシウム」は、人間のすべての活動の土台とも言える栄養素で、不足するとすべての不調に関係してくるとか…!? 今回は、オーガニックサイエンス主催の「アンチエイジングとマグネシウムの関係」をテーマにした勉強会に出席。分子栄養学、アンチエイジングに精通する美容外科医であり、ご自身もアスリートである黒田あいみ先生にお話を伺いました。マグネシウムの働きととり入れ方について、2回にわたって紹介します。
Contents 目次
マグネシウムの働きは、人間のすべての活動の土台である?!
「私たちの体は、すべて化学反応によって成り立っています。化学反応があるからこそ、呼吸をしたり、運動をしたり、コミュニケーションをとったり、食べものを消化したりできるのですが、この化学反応を加速するのが『酵素』です。酵素がないと生命を維持することができません。
この酵素に深く関係しているのが『マグネシウム』です。現在、マグネシウムは800以上の酵素反応に影響していることがわかっています。たとえば、生命維持のためのエネルギー生成、ホルモン生成、DNAやRNAの合成やたんぱく質の合成、インスリン感受性の改善、免疫系のサポートなどに関わる酵素の反応に、マグネシウムが必要です。マグネシウムがないと、これらの化学反応が進まなくなってしまいます。だからこそ、マグネシウムが人間の活動の土台となって働く栄養素であると言えるのです。
酵素反応と関係していないところでも、マグネシウムは重要な役割を担っています。私たちの筋肉、骨、神経系に関わる働きです。筋肉の収縮と弛緩の調整、血圧のコントロール、精神の安定といったところにも、マグネシウムは関わってきます」(黒田先生)
次から、マグネシウムが関わるさまざまな不調について見ていきましょう。
足りてる? 足りてない? こんな症状があったらマグネシウム不足かも?!
□疲れやすい
□風邪をひきやすくなった
□年齢による体の衰えが気になる
□肌が乾燥し、張りがなくなってきた
□シミ、しわが気になる
□抜け毛が気になる
□気分が落ち込むことがある
□睡眠の質が悪い
□PMSに悩まされている
□骨密度が気になる(低めである)
□偏頭痛がある
□むくみやすい
□ふくらはぎがつりやすい
□高血圧
エイジングケア×マグネシウム。マグネシウムは細胞の老化を遅らせる!?
☑疲れやすい
☑風邪をひきやすくなった
☑年齢による体の衰えが気になる
「マグネシウムは細胞の老化を遅らせます。DNA損傷の修復に必要な補因子として機能しますし、染色体の末端にあって、短くなると老化が引き起こされると言われるテロメアの構造を安定させることで、テロメアの短縮を防ぐこともわかっています。また、ミトコンドリア機能を維持します。ミトコンドリアは、50兆個とも言われる私たちの体の細胞ひとつひとつの中に約3000個ずつあり、ATPという細胞の活動に欠かせないエネルギーを作っています。このエネルギーがないと、初めにお話ししたような化学反応が促進されず、生命の維持ができません。マグネシウムは活動の源と言えるミトコンドリアのエネルギー代謝に不可欠で、ATP生成を促進してくれます。
細胞の老化を遅らせるマグネシウムは、そのほかにもアンチエイジングと深く関わる抗酸化、抗炎症、免疫機能の強化にも関係します。
・抗酸化作用…マグネシウムは酸化ストレスを軽減し、抗酸化酵素の働きを間接的にサポートすることで細胞を保護します。
・抗炎症作用…マグネシウムは一部の炎症性サイトカイン産生を抑制することで、慢性炎症を軽減します。
・免疫機能の強化…免疫細胞、とくにT細胞やナチュラルキラー細胞を強化するため、感染症の予防につながります。
このように、マグネシウムは、全身の活力を増したり、老化による体内外の衰えを軽減したりするのに有効な栄養素です。
お肌のシミ・しわの改善、張りや保湿にもマグネシウムが力を発揮
☑肌が乾燥し、張りがなくなってきた
☑シミ、しわが気になる
☑抜け毛が気になる
「マグネシウムは肌細胞の老化も遅らせるため、見た目に関わるアンチエイジングにも効果を発揮します。まず、肌の保湿に必要な必須脂肪酸の吸収をサポートし、肌の保湿力を高めます。経皮吸収によって、水分保持力を高めることもわかっています。そのうえ、肌の保湿において重要視されるヒアルロン酸生成にも関わっています。
また、先ほども見たようにマグネシウムには抗酸化作用があるため、不足すると酸化ストレスに悪影響を受けた細胞が増え、老廃物のデトックスやターンオーバーの遅れをもたらします。マグネシウムをしっかりとれば、マグネシウムの抗炎症作用によってニキビや吹き出ものといった肌トラブルが改善されることもわかっています。
もうひとつ挙げたいのが、美髪にも効果があるということです。かゆみ、抜け毛、ふけ、白髪、頭皮の荒れ、頭皮ニキビ、髪や頭皮の乾燥といった頭皮や髪のトラブルの多くは、頭皮の血行の悪さやたんぱく質の合成不足が原因です。マグネシウムは血流の改善や、たんぱく質の合成に関係しているので、マグネシウムを摂取すると、これらの症状が軽減する可能性があります。海外では、とくに育毛や抜け毛のケアとしてマグネシウムが注目されています」
リラックスと深い関係のあるマグネシウム。PMSや閉経後のうつにも効果的
☑PMSに悩まされている
☑睡眠の質が悪い
☑気分が落ち込むことがある
「女性は10~60代にわたって、エストロゲン、プロゲステロンなど女性ホルモンのバランスが大きく変わり、いつもその対応に追われます。マグネシウムはそんな女性ホルモンと深い関わりがあるミネラルです。
マグネシウムはさまざまなホルモン生成に関わる酵素の補助因子として機能しています。その中のひとつがストレスホルモンであるコルチゾールの調整を助けることです。これにより精神的なリラックスが促されストレスが減少すると、結果的にプロゲステロンの産生が維持されやすくなります。一方、マグネシウムにはGABAの合成を助けることで神経系を鎮静させる効果もあります。これによってプロゲステロンのリラックス効果が強化され、ストレスや不安に対する耐性が高まります。
さらにマグネシウムには、エストロゲンの適切な代謝を促進する働きもあるので、結果的に女性ホルモンのバランスが整い、PMSや閉経後のうつ症状、不眠など、ホルモンバランスのくずれによるさまざまな不調を軽減することができます」
骨をじょうぶにしたいならマグネシウムをとるべき?!
☑骨密度が気になる(低めである)
☑片頭痛がある
☑むくみやすい
☑ふくらはぎがつりやすい
☑高血圧
「先ほど見てきたように、マグネシウムは女性ホルモンと深い関係がある栄養素です。女性ホルモンは年齢に伴うさまざまな疾患を引き起こす原因にもなります。なかでも骨粗しょう症はマグネシウムと大きな関係があります。骨と言えば日本ではカルシウムの摂取が注目されがちですが、マグネシウムも骨の中に存在しているミネラルで、マグネシウムの濃度が高い人の骨は、骨の状態がよいということがわかっています。
またマグネシウムは血管を拡張させるため、血圧の調整や心臓のリズムの維持に重要な役割を果たします。血管の収縮が頭痛・偏頭痛の原因になることから、マグネシウムを補うことで頭痛が緩和されることもあります。
そして、アスリートの人は、マグネシウムをよくとることは有名です。これはマグネシウムが筋肉の収縮、弛緩の調整を行うからで、こむら返りや筋肉痛に効果があります。脚がつったときなどの経皮摂取も効果的です。マグネシウムは体内の水分量を調整する働きもあるため、むくみにも効果的です」(黒田先生)
いかがでしたか。あらゆる不調の原因として、マグネシウム不足を疑ってもよいのではないかというくらい、大きな役割を果たしているマグネシウムですが、マグネシウムは体内への吸収が非常に悪いうえ、日本人のほとんどはマグネシウムの摂取量が不足しているのが現状だそう。次回は、そんな大切なマグネシウムを私たちがどのように摂取していったらよいかをお伝えします!