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インフルエンザ感染拡大を阻止! 専門家が解説。腸から免疫を支える「酪酸菌」が効果的

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マスクしながら咳き込む女性のイメージ

インフルエンザの流行が例年以上に早まり、感染者数が増え続けています。そんな中、今注目されているのが「腸」を整えることで免疫をサポートする“腸活”。とくに、ぬか漬けなどに含まれる善玉菌「酪酸菌」がインフルエンザ予防への可能性が研究されているのをご存じでしょうか? 腸内細菌学研究の第一人者・内藤裕二先生が、酪酸菌がなぜ感染症対策に期待できるのか、その理由と今日からできる腸活習慣を解説します。

監修 : FYTTE 編集部

ダイエット専門誌として1989年に雑誌創刊し、2016年よりWEBメディアに。ダイエットはもちろんのこと、ヘルスケア、ビューティなど体の内側からも外側からも美しくかつ健康でいるための体づくりのノウハウを、専門家への取材とともに紹介。“もっと、ずっと、ヘルシーな私”のキャッチフレーズとともに、編集部員も自らさまざまなヘルシーネタを日々お試し中!

Contents 目次

長引く猛暑で早期化か? インフルエンザ流行シーズン突入

厚生労働省の発表によると、2025年は例年よりも早くインフルエンザが流行。
10月時点で9週連続の感染増加が報告され、教育現場でも学級閉鎖が相次いでいます。近年、感染症対策として「腸活」への関心が急上昇しており、「腸活に興味がある・実践している」という人は92.1%にのぼるというデータも。腸を整えることは便通改善だけでなく、免疫力を維持し、ウイルスへの抵抗力を高めるという点でも注目されています。
その腸活成分の中で、近年注目されており医学的な研究が進んでいるのが「酪酸菌(らくさんきん)」です。

腸活の成分の中でも注目度急上昇! インフルエンザへの効果が期待される

 

酪酸菌ファクトブック(アリナミン製薬)
出展:酪酸菌ファクトブック(アリナミン製薬)

酪酸菌は、腸内で“酪酸”という短鎖脂肪酸を作る善玉菌の一種。
腸内フローラを整える力にすぐれ、便通改善、免疫サポート、肌のうるおいや代謝の維持など、腸を軸に全身の健康に関わる菌として研究されています。

研究チームの研究データ
スイスとオーストラリアの共同研究チームが行った研究/出展:Trompette A et al. Immunity. 2018 May 15;48(5):1-14

【研究でわかったインフルエンザへの可能性】
・酪酸を継続的に与えられたマウスは、ウイルスへの防御機能が高まり、生存率の低下を防ぎ、症状が軽減されたとの報告がされている
(参考:Trompette A et al. Immunity, 2018)

腸内細菌学研究の第一人者・内藤裕二先生も「インフルエンザをはじめ、感染症対策として腸活は大切。とくに酪酸菌は近年注目されている」と話します。

専門家が解説。なぜ酪酸菌がインフルエンザ対策に期待できるのか?

続いて、酪酸菌がインフルエンザ対策に期待できる理由と、日常生活で酪酸菌を増やす方法を内藤先生に教えてもらいました。

 

健康サイトの腸内環境図
出展:健康サイト(アリナミン製薬)「【新しい腸活】ポイントは「腸内フローラ」だけじゃない!? 腸内環境を整えるおすすめの方法」

理由その1:大腸の“バリア機能”を強化するから
腸は体の中でもっとも免疫細胞が集まる場所です。酪酸菌が作る酪酸は、大腸の粘液の分泌を促し、ウイルスや細菌が侵入しにくい「腸のバリア機能」を守ります。

理由その2:腸内環境が整い、免疫力の土台が強くなるから
腸内環境が乱れると免疫力は低下してしまいます。酪酸菌は腸内フローラのバランスを改善し、結果として免疫力を維持しやすい状態へ導くと考えられています。

「酪酸菌」を増やす方法1:酪酸菌のエサになる“発酵性食物繊維”をしっかり食べる
酪酸は、酪酸菌が食物繊維を分解して作ります。
とくにおすすめなのは、酪酸菌のエサとなる食物繊維。なかでも発酵性食物繊維やオリゴ糖を含む食品です。穀物(もち麦、オートミールなど)、果物(りんご、バナナなど)、野菜(玉ねぎ、ごぼう、ブロッコリーなど)、豆類や海藻類、きのこ類などもおすすめ。

「酪酸菌」を増やす方法2:酪酸菌そのものを摂取する
酪酸菌を含む食品は少なく、たとえば、ぬか漬けや臭豆腐(豆腐を発酵させた中国や台湾の伝統的な発酵食品)などに限られています。

毎日とるのが難しい場合は、酪酸菌入りのサプリメントや整腸剤の活用も選択肢として有効です。乳酸菌と一緒にとるとさらにGood。乳酸菌が腸内環境のベースを整え、酪酸菌の働きを後押しする相乗効果が期待できます。

内藤先生

■監修者:京都府立医科大学大学院医学研究科 教授 内藤裕二先生
腸内細菌学研究の第一人者。腸内細菌、食物繊維と健康長寿の関係など、長年腸内細菌を研究している。腸内細菌学、抗加齢医学、消化器医学を専門。2023年には「ガットフレイル」という概念を提唱。胃腸の機能低下と病気のリスクの関連について研究する「日本ガットフレイル会議」を設立。一般社団法人日本ガットフレイル会議理事長、日本潰瘍学会理事長。

文/FYTTE編集部

 

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