人から「クサい」と思われてしまうことはとてもショックなことですよね。ふだん何気なく食べていた食べものがニオイの原因になっているかもしれません! 内科医・認定産業医である桐村里紗先生に、体臭のもとになる食事や習慣を教えていただきました。
Contents 目次
■女性の体臭がキツくなるのはいつ?
体臭がキツい人とそうでない人のちがいはどこにあるのでしょうか。
「女性よりも男性のほうがホルモンの関係上、皮脂の分泌量が多く、汗をかく量も多いので、ニオイやすくなります。
女性ホルモンは皮脂を抑える作用がありますが、ホルモンが変化する思春期や妊娠期や、女性ホルモンが減少する閉経後はニオイが気になりやすい時期。また、黄体ホルモンが活発になる排卵後は高温期で汗もかきやすく、皮脂も増えることが関係します」(桐村先生)
男性だけでなく女性も加齢臭がするようになると言いますが、これは男性ホルモンの影響。女性でも少量の男性ホルモンが分泌されていますが、通常は目立つことはありません。ライフスタイルの乱れや閉経後に女性ホルモンが減少すると、相対的に男性ホルモンの働きが強くなってしまいます。ですが、女性の皮脂量は年齢を重ねるごとに減少するので、閉経後に女性ホルモンが減少しても男性ほどニオイが強くなるわけではありません。
また、中性脂肪や血糖値が高い人は要注意。中性脂肪や糖は、皮脂の原料になるので皮脂臭がしやすくなります。ほかにも運動不足や食生活が偏っていると、抗酸化力が落ちて皮脂が酸化しやすくなり、ニオイもきつくなります。皮脂臭は、体内の抗酸化力の差でちがいがうまれます。
■ニオイをキツくする食材を控えて、体のなかから対策を!
ホルモンの変化など、自分では対処しきれないこともある一方、ニオイのもとになることはできるだけ控えたいですよね。ふだん知らず知らずのうちに食べていたニオイを強くする食材をチェックしてみましょう。
・にんにく、玉ねぎなど香味野菜
硫化物を含み揮発性が高い食材なので、ニオイ物質が血液のなかから毛穴を通してニオいます。
「抗酸化物質を含んだ体にいい食材ですが、食べるときはニオイを覚悟して。肺からの呼気を通してニオうため歯みがきをしてもあまり効果はありません。食べた量とニオう時間の長さは比例します。気になる人は加熱調理を。ニオイが弱くなりますよ」(桐村先生)
・アルコール類
アルコール類は肝臓で分解されますが、過剰なアルコールは肝臓機能が低下する原因に。通常は腸で発生した悪臭の原因は、肝臓で分解されて無毒化・無臭化されます。肝機能が低下するとこれらができずニオイ物質がそのまま出てしまうのです。
「肝臓にとってアルコールは毒素の一種。肝臓はまず最初にアルコールを分解するので、ニオイ物質が肝臓へ送られても、手一杯の状態で後まわしになってしまいます。
また、アルコールは余ると中性脂肪の分解もできなくなり、中世脂肪が増えると今度は皮脂が増える原因になるという悪循環に。人によってアルコールを分解できる量の差がありますが、“ほどほど”が大切ですね」(桐村先生)
・糖質、フルーツ
糖質は余ると中性脂肪が増える原因になり、それが皮脂を増やすことにもつながります。
「ヘルシーなイメージのフルーツも、果糖が多く含まれています。果糖は余ると中性脂肪に変わりやすいので、今日は飲み過ぎたから翌朝はフルーツだけにしようというのも注意。中性脂肪が増える原因になって逆効果です。
ビタミンなども豊富ですが、フルーツを食べるときはデザートと同じと考えてください。ビタミンなどの摂取が目的であれば、野菜の摂取がおすすめです」(桐村先生)
■年末年始は、抗酸化&リセット食で乗りきる!
クリスマスに年末年始など、暴飲暴食の危険が増える季節。お肉やアルコール、スイーツなどを口にする機会も増えてきます。脂肪の酸化が原因とされる皮脂臭予防のためにも、日頃から抗酸化物質を多く含む食材を食べておくことが効果的です。
「脂肪の酸化には脂溶性のビタミンを含む、ナッツやアボカドなどがおすすめです。また食べすぎたり飲みすぎた日は、翌日の朝食と昼食でリセットしましょう」(桐村先生)
腸が疲れているときはスムージーを朝食にしたり、肉類を食べ過ぎて腸内環境が乱れているときは、生野菜などを多めに食べるようにしたり、食物繊維や発酵食品もしっかりとって、余分なものを排出して体をリセットすることを意識してみてくださいね。
文/高野瞳