胃の機能を高め、おなか全体のポッコリを解消するには、体の中からのアプローチも大切。オススメは、食材に薬と同様に体を治す効能があるという考え方の薬膳。
「薬膳では、食べ物の消化吸収は胃と脾が協力して行うと考えます。胃と脾のはたらきが低下するのは、それぞれの“気”が滞ったり、不足するから。また、気は食べ物から作り出されるので、消化吸収がうまくいかないと、気を作り出すこともできません。胃と脾のはたらきが低下したり、気が不足するのは、暴飲暴食、過労、冷え、ストレスなどが原因。それぞれの原因にあわせて巡りをよくすれば、胃と脾の気が正常にはたらき、不調が改善。そのために手軽に取り入れられるのが薬膳。食材のエキスを煮出し、お茶として飲む薬膳茶なら誰でもカンタンにできます」(国際中医薬膳管理師・植木もも子さん)
薬膳茶はカンタンに始められるだけでなく、効能が胃腸にストレートに届くというメリットも。
「固形の食べ物は十二指腸や腸で吸収され、胃では吸収されません。しかし薬膳茶なら、お茶に溶け出た成分を吸収することが可能。温かいお茶なら胃を温めることもできるし、消化を促したり、胃の機能を補う効能が胃に直接はたらきかけます。普段飲む機会の多い紅茶やハーブティーなどをベースに、薬膳のアイディアをプラスすれば、より気軽に楽しめますよね」
茶葉やハーブ、スパイスがお湯のなかでゆらゆらと漂う様子や、カップにそそがれたお茶から広がる香りはリラックスするもの。これも気を巡らせ、気を高める効果が大!
「香りが気の巡りをよくすることもあります。そしてダイエットのために飲まなくちゃ、と思うとめんどうになって、どうしてもマイナス思考になりがち。病は“気”からと言いますから、お茶の色や香りを楽しもうという気持ちも大事です」
飲むだけで、気分も胃もいい状態になり、おなかポッコリも解消できる薬膳茶、ぜひお試しを!
Contents 目次
まずは不調&お悩みに合わせて3タイプからお茶をチョイス!
体の状態を改善する食材を選ぶのが薬膳の基本。あなたの今の体調に合ったお茶を選んで。
- 過食気味だ
- おなかが張っている
消化を促すフレッシュハーブティーを
食後に飲むと消化促進効果大
食べ過ぎて胃がもたれたり、慢性的におなかが張っている…というタイプの方にオススメなのがバジルやタイムといったハーブ類。これらを取り入れたお茶を食後に飲むと、消化不良が防げます。
- 冷たいものをとりがち
- 胃のあたりをさわると冷たい
胃を温めるハトムギ茶やローズ&オレンジティーを
代表選手はしょうがとシナモン
夏になると、冷たいもののとりすぎで胃が冷えきってしまう人が急増。温め作用の高い食材で胃の内側から温めましょう。特に乾燥させたしょうがは、体の芯からじんわりと温める効果があります。
- 食欲がわかない
- ストレスを感じることが多い
胃のはたらきを補うローズヒップしょうが紅茶を
クミンは胃腸薬的存在
食欲不振や胃痛、さらに胃の機能自体がダウンしてしまった方には、胃のはたらきを補ってくれる食材を。古代から胃腸薬として使われていたクミンや、胃のはたらきを助けるローズヒップなどを組み合わせたお茶で胃腸を休めましょう。
気になる薬膳茶のギモン
薬膳茶がいいといっても、「どこで買えるの?」「いつ飲めばいいの?」など、ギモンは多いはず。そんなギモンに回答!
Q.材料はどこで買えるの?
ポピュラーな食材はスーパーやデパートでも
漢方薬としてではなく、食材として探せばスーパーや中華食材店で手軽に安く手に入れることができます。デパートや地域の漢方薬局ものぞいてみて。
Q.薬膳茶はいつ飲むと効果的?
酸味の強いお茶は食後に吸収されやすいのは食前
胃が空っぽな状態で薬膳茶を飲むと、エキスが吸収されやすいので効果的。酸味が強いお茶は食後に。それ以外は基本的にいつ飲んでもOK。
Q.つくったお茶はどのくらい持つの?
そのつど、いれたてを温かいうちに
漢方薬では煮出したものをとっておくこともありますが、お茶はその都度、いれたてを温かいうちに飲むのがオススメ。冷めても体温くらいまでに。
Q.葉や実を食べても大丈夫?
問題はないけれど、積極的に食べなくても可
抽出したあとの葉や実を食べても問題はなし。ただし、おいしいものでもなく、煮出して効果のある分量と食べて効果のある分量は異なります。
さっそく飲んでみよう!薬膳茶
監修/植木もも子、取材・文/茂木奈穂子、撮影/古島万理子