「脚を組む」や「猫背」など、体をゆがませる原因となることは知られていますが、ほかにも「ゆがみ」を生む原因は私たちの生活習慣に潜んでいます。「原因はわからないけど、どこか体調が悪い」という人は、もしかしたらゆがみが原因かも!? そこで、ゆがみを防ぐ正しい姿勢、さらに自分でできる「ゆがみ矯正法」について、新宿西口治療院・増田安寿先生に詳しい話をうかがいました。
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長時間のスマホ使用で頸椎がゆがむ!
「体をゆがませる生活習慣」の代表例は次のような姿勢です。
- 脚を組んで座る
- 猫背で座る
- 片側に体重をかけて立つ
- 足の外側(小指側)に重心をかけて歩く
- 片方の手ばかりでスマホを持つ
- スマホを腹部付近の高さで持ち、うつむいて操作する
人体でゆがみやすい部位は「首・背骨・腰」。上記で挙げた姿勢は、これらの箇所にゆがみを生じさせてしまいます。近年、歩行中や電車でスマホを操作している人は多いですが「長時間にわたって不自然に首を傾ける」という姿勢は、じつはとても危険なのだとか。
「カイロプラクティックの世界では、最初にゆがむのは『頸椎(首の骨)』と考えられています。頸椎がゆがむと、それを支える背骨や腰へと連鎖してゆがんでしまいます」(増田先生)
首や肩がゆがんで体の軸がずれると、疲労感や睡眠不足など慢性的な「体調不良」が現れます。また、悪化すると内臓機能の低下や自律神経失調症を発症する恐れもあるそうです。
正しい座り方・立ち方・歩き方とは?
体をゆがませないため、日常的に正しい姿勢を心がけましょう。座り方・立ち方・歩き方のポイントは以下のとおりです。
正しい座り方
- 骨盤を立てて腰を前に出し座ります。上半身は両側の肩甲骨を背骨に寄せるようにします。
- 耳の裏側の少し下を軸にして、首を後ろに倒します。(写真1)
- 「首の骨の真上」に頭がしっかりと乗ったことを確認したら、頭部の重心をキープしたまま、顎を引くように首を戻します。なお、首を戻すときも耳の裏側の少し下を軸に動かしましょう。(写真2)
「【3】を終えたときの状態が、座るときの正しい姿勢です。スマートフォンやタブレット端末を見るときも、この姿勢のまま両手で持ち、顔の正面に構えるようにしましょう。片手で持つときは反対の手でひじ辺りを支えてあげると持ちやすいでしょう」(増田先生)
正しい立ち方
座り方と同様に「腰を前に入れる」「肩甲骨を背骨に寄せる」「背骨の真上に頭を乗せる」の3つポイントを意識することで、正しい姿勢を維持できます。
正しい歩き方
正しい立ち姿勢に加え、意識するのは「足の重心」です。足の小指側に重心を置いた「外側加重」はゆがみの原因。親指と母指丘(親指のつけ根の膨らみ)を使い、しっかりと地面を蹴るように歩きましょう。
首のゆがみを直す「バスタオル体操」
首のゆがみは「壁に背を向けて立った状態」でチェックできます。
「壁に『かかと・お尻・背中』をつけた状態のまま『後頭部』を壁につけてみてください。このとき、あごを引いた状態で自然に後頭部が壁と接する人は問題ありません。しかし『後頭部が壁に接しない、または後頭部をつけようとすると、あごが上がってしまうしまったりする』という人は、スマホや猫背などが原因で首が前にゆがんでいる可能性が高いです」(増田先生)
このチェックで首が前にゆがんでいた人は、以下の矯正体操が有効です。
- 大きめのバスタオルを半分に折り、さらにもう半分に折ります。長方形になったバスタオルをクルクルと円柱状に巻きます。この円柱状にしたバスタオルを2つ用意し、床の上に「T字」に配置します。(写真5)
- 「T字」のバスタオルの上に、仰向けの状態でひざを立てて寝ます。このとき、横向きのバスタオルは首の後ろに、縦向きのバスタオルは背骨の中心が乗るように調整します。(写真6)
- 両腕を伸ばし、手のひらを上にします。ゆっくりと深呼吸しながら、全身の力を抜いていきます。
- ゆっくりと首を動かして左を向きます。続いて同じくゆっくりと首を右に向けます。左右1往復で3秒ほどのペースで、計30往復します。
「体操を終えたら、もう一度壁に背を向けて立ってみてください。体操前の状態に比べて、肩や後頭部が自然に壁につくようになっているはずです。この体操は1日1回行うようにして、日常生活でも正しい姿勢を心掛けていきましょう」(増田先生)
正しい姿勢は、体調面の不安を解消するだけではなく、見た目においても凛とした美しい印象を与えてくれます。日頃から姿勢を意識し、身も心もキレイ生活を送りたいものですね。
画像提供/新宿西口治療院 文/松本アグ