最近、何かと「睡眠障害」が話題となっています。寝つきが悪い、眠りが浅いなど、日本人は眠りに関する悩みを多く抱えているのだとか。じつは、快適に眠ろうと取り入れている習慣の中には睡眠トラブルの原因となっているものも少なくありません。Maruhachi 研究センター睡眠環境ラボの中野祐三子さんに、眠りを妨げるNG習慣を教えていただきました。
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NG習慣その1 靴下を履いたまま寝る
足先が冷えて眠れないからと、靴下を履いたままベッドに入っていませんか? 足を圧迫する靴下は血行を悪くし、かえって冷えを招く可能性があります。また、眠りと体温のバランスを崩してしまう場合もあるようです。
「人間は体の中心部の体温である〝深部体温″が下がるとスムーズに寝つくことができます。足の裏に汗をかき放熱することは、深部体温を下げるのに役立ちますが、靴下で足裏をふさいでしまうと体温が下がりにくくなってしまうのです。その結果、眠りが浅くなるおそれがあります」(中野さん)
NG習慣その2 重ね着やモコモコパジャマで眠る
寒い時期はどうしても起毛素材のパジャマが恋しくなるもの。また、何枚も重ね着して寒さ対策をする方も多いでしょう。
「モコモコとした厚い生地でできたパジャマを身につけていたり、過剰に重ね着していたりするとスムーズに寝返りすることができず、肩こりや腰痛、慢性疲労の一因となります。流行りの〝着る毛布″タイプの防寒着も背中でもたつくため、自然な寝返りができません。また、汗が蒸発しにくいので寝苦しさを覚える可能性もあります」(中野さん)
パジャマは薄手で、汗を吸い温湿度調節にすぐれた綿やウール素材で、ふとんで保温がオススメだそうです。
NG習慣その3 電気毛布をつけっぱなしにして寝る
「適切な深部体温の低下は良質な睡眠にかかせません。人は寝ている間も汗をかいて熱を発散し、深部体温を低く保とうとしますが、電気毛布をつけたままにしておくと熱が加わりすぎ、不快感が生じてしまい、眠りが浅くなってしまいます。また、汗をかき過ぎて体の水分が奪われ血液濃度が高くなると、脳梗塞を招く危険性もあるのです」(中野さん)
とはいえ、冷たい布団は寝つきの悪さの原因にもなります。時間の経過とともに温度が低くなっていく湯たんぽを活用してみましょう。
NG習慣その4 スマホ、雑誌、音楽の「ながら」寝
眠る直前までスマホをいじったり、雑誌を読んだりすることは、スッキリ目覚められない寝起きの悪さの原因となるそうです。
「脳は眠っている間でも近くにある物を把握しています。スマホや雑誌などを寝床に持ち込んだまま眠ると、寝返りのスペースが制限され、体が緊張したままになります。さらに、スマホ画面が発するブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑える働きもあります。就寝30〜1時間前には脳を興奮させるような情報機器をシャットアウトしましょう」(中野さん)
〝寝床は眠るだけの場所″と決め実行するだけで、睡眠時間と生活時間にメリハリがつき、眠りやすくなる効果もあるそうです。
冬場の理想的な寝室の気温は16〜19℃、湿度は50%前後だとか。NG習慣をやめるとともに、室温や湿度を意識すればグッスリと眠れそうですね。
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文/本間美加子