「代謝は高いほうがいい」という認識を持っている人は多いと思いますが、そもそも代謝とは何なのか、代謝を上げるとどんなメリットがあるのか、みなさんはご存知でしょうか? 今回はコンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に、知っておきたい代謝の仕組みと、代謝をアップさせる方法を教えていただきました。
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代謝とは?
そもそも代謝とは、簡単に言ってしまえば「エネルギーを作ること」。
「例えば口から入ったお米は、かむことでデンプンに変わりますよね。デンプンはやがてぶどう糖になり、最終的にエネルギーのもとになります。代謝とは、栄養素がどんどん変化してエネルギーを作る方向へと向かっていくこの一連の変化の流れのことなのです」(桑原先生)
このように、食べものを食べると、体の中でどんどん違う物質へと変化していくわけですが、生成されたATP(エネルギー)は体内に溜めておくことができません。
「糖質はグリコーゲンという形で、脂質は脂肪という形で蓄えることができるのでは…?と、思った人もいるはず。ですがこれはあくまでもエネルギー源を蓄えているだけであって、エネルギーそのものを蓄えることはできないのです。ですから、常にATPを作り出していかないと、体を維持することはできません」(桑原先生)
みなさんの体を作っている60兆個の細胞ひとつひとつが、常にATPを作り出すと同時にATPを消費しています。この現象を新陳代謝といいます。つまり代謝が高いということは、体の中でATPが作られやすい状態であるということ。細胞がどんどん循環しやすい状態とも言えますね。ATPを作ることができなくなった細胞はどんどん死滅していきます。この現象こそ、老化。
10代後半までは、成長期ともいわれ、細胞がどんどん作られているため老化は起きにくいと言われています。ただし必要な栄養素をとらなかったり、偏食をしていなければ…という条件つきですが。その後20歳、30歳、と年を重ねるにつれ、代謝はどんどん落ちていくことに。
代謝はどうすれば上がる?
代謝がアップすると、ダイエット以外にも、若返りや、老化防止など、大きなメリットがあります。代謝の大もとになっているのは、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質などの3大栄養素。
これらの栄養素は、体内に入ると分解されてどんどん変化していきますが、最終的にはクエン酸回路という場所で電子を作り、電子が酸素と結びつくことで、エネルギーと水が作られます。代謝が高いと、3大栄養素が電子になるスピードがスムーズになるのです。
脂肪は分解されると脂肪酸になります。脂肪酸は細胞の中にあるミトコンドリアの中にとり込まれるのですが、このときに必要となるのがカルニチンというアミノ酸。カルニチンがないと脂肪からエネルギー源となる電子を作ることができません。このカルニチンは体内でつくることができる物質。リジンというアミノ酸とメチオニンというアミノ酸が合成されることで作られます。
しかし、リジンもメチオニンも、体内で作ることができない必須アミノ酸。つまり、肉や魚や豆類など、たんぱく質を含む食品を食べないと、カルニチンは生成されません。さらに、加齢とともに合成能力はどんどん下がってしまいます。そこでおすすめなのが、サプリでカルニチンを補う方法。
体を動かさなかったり、栄養不足の状態が続くと、知らず知らずのうちに代謝はどんどん下がってしまいます。代謝をアップさせるには、日頃から運動したり、きちんとバランスのよい食事を心がけることが大切です。
文/FYTTE編集部