お茶の時間は、コーヒーを飲もうか、紅茶にしようか。くだものは生? ドライフルーツ? どっちが腸にいいのかな。――日常生活の中で、ふと考える「腸にいいのは、どっち?」。そんな素朴な疑問に、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎先生が答えてくれました。長くつきあっていく自分の体。気負わず、日々の生活の中で、コツコツ腸活していきたいですよね。ぜひ参考にして、効率よく腸活を行い、腸内環境を少しずつよくしていきましょう!
Contents 目次
どちらを選ぶ? 腸活Q&A
Qミネラルウォーターを買うなら硬水 or 軟水?
A便秘がちな人は、硬水を試す価値アリ
日本の水道水は軟水ということもあり、日本人が飲み慣れているのは軟水ですが、便秘に悩んでいるなら、硬水を試す価値があります。というのも、硬水にはミネラルの中でも、マグネシウムが多く含まれているから。マグネシウムには、便に水分を引き込み、便通を促す働きがあり、便秘解消に役立ちます。ふだんから腸を刺激するタイプの下剤を服用している人には、特におすすめです。下剤に頼る前に、まずは硬水で便通をスムーズに。ただし、腎臓が悪い人は硬水を避けてください。
Q腸にいいお米は白米 or 玄米?
A選ぶ目的を明確にし、自分に合うお米を選んで
玄米には食物繊維が多く含まれるため、腸にいいイメージがあるかもしれませんが、玄米に多く含まれる食物繊維は不溶性食物繊維。とり過ぎると、便から水分が奪われ、便が硬くなってしまいます。その結果、腸内の悪玉菌の腐敗を招き、おならの臭いを強め、回数も増やす危険性もあります。玄米を食べる場合は、水溶性食物繊維を多く含む海藻類やアボカド、キウイ、オクラなども一緒にとり、腸内環境を整える必要があります。
「玄米のいちばんのメリットは、糖尿病の発症リスクを大幅に低下させること。1日の摂取量の3分の1にあたる50gの白米を玄米に変えることで、糖尿病のリスクが16%低下したという研究結果も報告されています。白米or玄米の選択は、食材を選ぶ目的を、自分の中で明確にすることが大事。糖尿病のリスクを下げることが目的なら玄米が効果的です。ただし、玄米は体質に合う、合わないがあるので、玄米を食べて便秘がひどくなった、下痢が止まらないなどの症状が出て、自分に合わないと感じたら、白米を食べたほうが、腸にいい選択といえます」(大竹先生)
Qサラダにするならレタス or サニーレタス?
Aサニーレタスは腸を健康にする優秀食材!
レタスとサニーレタスは、似て非なるもので、栄養価が高いのは、サニーレタス。腸の働きを活発にする食物繊維は「水溶性食物繊維1:不溶性食物繊維2」が黄金バランスです。これを基準に考えると、レタス100gあたりに含まれる食物繊維は1.1gで、水溶性食物繊維0.1g:不溶性食物繊維1.0g。不溶性が水溶性の10倍になるため、便秘の解消にはつながりにくいと考えられます。
一方、サニーレタスは100gあたり、2.0gの食物繊維が含まれ、水溶性食物繊維0.6g:不溶性食物繊維1.4gと黄金バランスに近く、腸の働きに有効といえます。加えて、サニーレタスには、レタスの約8倍のβカロチンが含まれ、抗酸化作用に優れ、美肌にも効果的です。
Q果物を食べるなら、フレッシュな生フルーツ or ドライフルーツ?
A食物繊維が豊富なドライフルーツ
果物から食物繊維をとりたい場合、一般にドライフルーツを食べるのが効率的。食物繊維が特に多く含まれるドライフルーツは、柿(生の8.8倍)、ブドウ(生の8.2倍)、バナナ(生の6.4倍)、アンズ(生の6.1倍)、イチジク(生の5.7倍)、プルーン(生の3.8倍)など。ただ、イチゴなど生のほうが食物繊維が多い果物も一部あります。
「ドライフルーツには、よくかんで食べるというメリットもあります。かむことで、脳の視床下部からヒスタミンという物質が多く分泌され、満腹中枢を刺激。お腹がいっぱいになった感覚を得られやすく、食べすぎを防ぐことができます。腸にもダイエットにも適したおやつが、ドライフルーツといえますね」(大竹先生)
Qブレイクタイムにはコーヒー or 紅茶?
A大腸がんのリスクが低下するコーヒー
1990年以降、日本人男女約10万人にコーヒーを飲む(砂糖やミルクは入れない)頻度を尋ね、グループに分けて10年間追跡調査を行い、発がん率を比較した研究によると、女性の場合「ほとんど飲まない」人に比べ、「1日に3杯以上飲む」人では大腸がん全体のリスクが約3割、腸壁の深くの組織まで広がった浸潤がんでは約4割低いことがわかりました。ただし、コーヒーのとり過ぎには高血圧や胃がん、膀胱がんの発生リスクを高めるデメリットもあります。もちろん、紅茶にもメリット、デメリットがありますが、総合的にみて、腸により大きなメリットをもたらしてくれるのはコーヒーといえそう。1日5杯前後を目安に、コーヒーブレイクを。
毎日の食材選びは、正しかったでしょうか? ここで得た知識をぜひ、日常生活にとり入れてみてください。
次回は、腸の働きをよくする生活習慣&エクササイズについて、大竹先生にくわしく教えてもらいます。
取材・文/野口美奈子