生理の周期を管理するアプリはたくさんあって、どれがいいのか迷いますが、実際のところ使った効果はどうなのでしょう? 日本の研究グループがアプリの効果を検証して発表しています。使った女性にオンラインでアンケートをして聞き取り調査したものです。わかったのは、生理の痛みやうつ症状が軽くなり、コストパフォーマンスの面でもよさそうという結果でした。
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生理が仕事に及ぼす影響も調べた
日本医療政策機構の「働く女性の健康増進に関する調査」によると、月経前症候群や月経随伴症候群など、生理に伴う心身の変化によって仕事のパフォーマンスが半分以下になっていると回答した割合は、働いている女性全体のおよそ半数に及んでいました。こうした調査などを見るまでもないかもしれませんが、仕事に限らず、生理は女性の生活に大きな影響を与えているのは確かでしょう。
同じ調査によると、自分で生理の周期を把握している女性の割合は、調査対象になった働く女性の中ではおよそ75%となっていました。
そんな中で、生理を管理するアプリは、自分の生理のサイクルなどを理解するためにはよいツールになり得る存在です。その効果とはどれほどのものなのでしょうか。
このたび日本の研究グループは、そんな生理アプリの実力を検証しています。研究で調べたアプリはドコモ・ヘルスケアの「カラダのキモチ」というスマホ用アプリ。基礎体温などのデータをグラフ化し、生理周期や排卵日などの予測、体調に合ったアドバイスなどのサービスをするものです。
このアプリの効果について2つのポイントから調べています。1つは健康状態がどう変わったか、また生理のせいで仕事にどれくらい影響が出ているかです。あと1つは、コストパフォーマンスについても検討しています。
研究グループは1526人を対象に、「アプリを使うグループ(612人)」と「アプリを使わないグループ(914人)」に分けて効果を調べました。
仕事への影響を小さく
まず、わかったのは、3か月間のアプリの使用によって、生理に伴う体や心の不調が軽くなること。ひとつは、うつ症状(アプリを使った人は0.16%に対して使わなかった人0.77%)に効果があり、もうひとつは生理痛などの障害(アプリを使った人は0.33%に対して使わなかった人1.31%)にも効果がありました。
生理が仕事に与える影響も小さくなりました。効果があったのは、一定時間の間にできた仕事の量が低下しなかったこと、および病欠や遅刻早退が増えなかったことです。
コストパフォーマンスについては、生理の不調に伴う医療費などから分析しており、アプリを使ったほうが出費を抑えられるという結果を導き出しています。
インターネットを使った調査なので、症状がかなり重い人では違った結果になる可能性もあると研究グループでは説明していますが、アプリが生理のつらさを軽くしてくれる可能性はあるようです。今回、研究対象となったアプリに限らず、その効果は必ずしも大きくないかもしれませんが、一度使用を考えてみてもいいかもしれません。
<参考文献>
日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査2018」
https://hgpi.org/research/809.html
J Med Econ. 2018 Nov;21(11):1131-1138. doi: 10.1080/13696998.2018.1515082. Epub 2018 Sep 10.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30130990