美容に関するテクニックから、ときには人生について、全方向に経験豊かなアラフィフがズバズバ斬りつつも、親身にじっくりお答えする美容研究家・岡江美希さんの「お悩み相談室」。今回は男女問わず、今もっとも多くの人が抱えているであろう「メンタル」の問題です。
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【お悩み】毎日を前向きに過ごすコツを教えてください!
40代になって特にいろいろなことが面倒に感じてしまいます。イライラして人や物に当たってしまうこともあって、自分がイヤになるときがあります。何とか前向きに過ごせるコツはありますか?
【岡江アドバイス!】
加齢とともに体も心もパワーダウンして、少しうつっぽくなってくる人もめずらしくありません。ましてや今は世の中すべてが変化しつつある、激動の時代。不安をあおられるニュースが日々流れてきますから、「やる気が出ない」となっても仕方ありません。ですが私の経験上、うしろ向きな気持ちの原因は、疲れとストレスが大きな要因であるケースがとても多い。対処法をめちゃくちゃシンプルにお伝えするなら「たっぷり寝て運動をして、腸にいい食生活に努めるべし」です。
でも、疲れている人に「前向きになれ!」といってもなるはずがありませんよね。そこでやってみて欲しいのは、まずはゴロゴロしながらでも、自分のライフスタイルを見直してみること。
その中で「なぜ面倒くさいのか」を考えてみましょう。
例えば「料理が面倒くさい」や「掃除が面倒くさい」。そう思うってことは、それらを「きちんとやらなくてはならない」と思っているあなたがいる。つまり、そうやって育てられたんですね。すばらしいことです。もともとやらない人は「やらなくちゃ」とか「面倒くさい」とも思わないはずですから。「ああ、面倒くさい」と思う自分って、じつは真っ当なんだな~と思えるかも。だからやればできるはず! という話ではありませんのでご安心を。
やる気が出ないときは休養してしまいましょう。朝がんばってお弁当を作ったのなら、夜は菓子パンだっていいじゃないですか。きちんとやりたいと思う自分がいるなら、疲れが癒えて体が元気になってきたとき、自然とやる気が復活するでしょう。だからやる気が出ないことそのものに、不安を覚えなくてもいいのでは。
ちなみに私の場合は、圧倒的に「飲み過ぎ」が原因(笑)。体が疲れていれば、掃除も料理も面倒になって当たり前よね! でした。「ああ面倒くさい…」が増えたのは、仕事に加え「間違った負荷」をかけている証拠だと気づき、まずは連ドラの録りだめをやめました。すると必然的にそれを見ながらダラダラ飲んでしまうこともなくなり、22時にはベッドの中。すると朝もスッキリ、活動的になりました。「なぜ面倒に感じるのか」を考えるだけでも、解決のヒントが見つかることがありますよ。
もうひとつは少しディープなお話になるけれど、ややこしいことや苦労から逃げてきた人は、弱いのかなと感じることがあります。もめごとの仲裁に入ったり、仕事のフォローをしてあげたり。ときには「何で自分が!」と思いながらも、面倒くさいことを面倒くさいなりにこなせる人というのは視野も度量も広いもの。そして苦境に強い。逆に逃げてきた人は、少しのストレスでいろいろなことが面倒になって放り出してしまう。
最近でも、私の周りでいましたね。ピンチになってすごくいろいろな人に助けられたのに、ちょっとのお礼を面倒くさがり言い訳ばかりして逃げてしまい、結局人間関係を失ってしまった60代の男性。すごく恵まれた育ちがゆえ、何もかも周りにお膳立てしてもらって生きてきたような人でした。面倒臭さを乗り越えてこなかった人は、いざというとき弱さが出てしまうように思います。
そんなふうに「やる気が出ない」ときは、ライフスタイルに加え、それまでの自分の人生がどうだったかも振り返ることにしているの。面倒くさいを乗り越えた先に得られるものを再確認すると、やる気が蘇えるわ。
もちろん「絶対的に何もかもやる気が出ない」という人は、医療の助けも視野に入れてくださいね。民間のカウンセリングよりも、心療内科がある「病院」「クリニック」へ問い合わせてみましょう。「やる気が出ない」ことは誰にでもあります。原因を探り、じょうずに解消できるといいですね。
取材・文/木下 頼子