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心理カウンセラーがアドバイス! コロナ禍の不安やストレスを和らげるコツ ~不安と怒りの処方箋①~
いまだ続く、コロナ禍。この1年をふり返ると、規制の多い毎日へのストレスや、先が見えぬ今後への不安…。さらには、多発するデマや誹謗中傷などにも戸惑いを感じた人は多いのではないでしょうか。私たちは、この状況とどう向き合えば、心穏やかでいられるのか。そのヒントを、心理カウンセラーの大嶋信頼先生に教えていただきました。3回にわたりお届けします。
Contents 目次
「不安」から解放されるには…?
自粛などによる生活の変化で、会社の同僚や親しい人になかなか会えない。気軽に旅行や外出もできない。そんな毎日に、不安や孤独感を感じている人は少なくありません。
「コロナ禍による一連の自粛生活で特に注意が必要なのは、ふだん社交的で、仲間と集まることが大好きという人。そういう人ほど、ストレスや孤独感を抱きがちです」と大嶋先生。
「ストレスを受けると脳内には、mDia(エムディア)という、不安行動に関係するたんぱく質がたまってしまいます。すると、これまで引きこもりなどとは無縁な人であっても、不安や恐怖を感じやすくなってしまい、心も疲弊。それが進行すると、うつ症状のような悪循環にはまってしまうこともあります」
ほかにも、今後の仕事や収入への不安、出かける際の他人の視線、うつされないか、うつさないかといったストレスや不安に苛まれてしまっている人は少なくありません。そういった不安の深みにはまらないための、コツはあるのでしょうか。
「いちばんの得策は、『不安なことは考えない』ことです。アトピー性皮膚炎などと同じで、炎症は、さわればさわるほど広がってしまう。だからさわらない。つまり、考えないのがいちばんいいのですが、つい考えてしまう、切り替えができないという人にオススメなのが、マインドフルネス瞑想です」
マインドフルネスとは、今この瞬間の自分に目を向けること。自分が呼吸していることに注目しながら、深い呼吸をゆっくりとくり返していくマインドフルネス瞑想を行うことで、心が静まっていく感覚が得られるといいます。
「脳には、前帯状回という思考のギアシフトを担う部位があるのですが、ここが過剰に活動してしまっている人は、うまく気持ちの切り替えができません。どんどん悪いほうへ、悪いほうへ考えてしまい、深みにはまってしまう傾向があります。でもマインドフルネス瞑想をくり返すと、この前帯状回の活動が正常な状態に収まっていく。すると、『こんなこと考えても、しょうがない』というように、自然と考えが切り替わってくれるのです」
血糖値の乱高下が、心の乱高下に影響
さらにコロナ禍において増えたといわれているのが、家庭内のストレスです。自粛によって一緒にいる時間が増えたことで、『夫が、話が通じない』『義理の母に、わかってもらえない』といった、家族に対してイライラを覚えたり、怒りをあらわにしてしまう人も多いようです。
「このように、自分に相手が同調をしてくれない、思い通りの行動をしてくれないことにイライラを覚えてしまうのは、相手に期待をしてしまっているがゆえ。期待するからこそ、応えてくれないことがストレスになってしまうのです。とはいえ、『期待に応えてくれる夫』になってもらうのは、とうてい難しい。だから、『期待をしない』というのがいちばんです」
ここで、「そうか! 期待をしなければいいんだ」と順応できる人もいますが、当然「無理!」という人もいます。順応できる人と、できない人。その違いは何なのでしょうか。
「その違いには、じつは『血糖値』が関係していることが多いのです。血糖値の乱高下がある人というのは、それに伴ってメンタルも大きく上がり下がりしやすくなります。人はストレスを受けるとストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンは血糖値を上げるため、その上昇を抑えるために今度はインスリンというホルモンが分泌され、血糖値は下がります。血糖値がぐんと急上昇しやすい人は、その反動で血糖値を下げるインスリンもたくさん分泌され、血糖値がぐんと激しく下る。そのために、気分も激しく落ちたり、イライラが発作的に起こってしまい、相手の行動を受け流すようなことができないのです。逆に血糖値の上下が少なく安定している人は、メンタルも安定している。そのような人は、ストレスにも強いといえます」
意外にもメンタルに関係するという血糖値。その血糖値を安定させるには日ごろの食生活も重要です。
「炭水化物や甘い物など糖質が多い食事は血糖値の乱高下を引き起こしかねません。ですから、ふだんの食生活においても糖質をとり過ぎないようにすることは、メンタルのコントロールにおいても、とても大切なことなのです」
日常にマインドフルネス瞑想をとり入れたり、糖質過多の食事を見直したりして、じょうずに不安やストレスを乗り越えていきましょう。
取材・文/柿沼曜子