
世界中に蔓延している新型コロナウイルスの影響で、ストレスや気分の落ち込みを感じる人が増えています。この危機的状況下においてもハッピーな気持ちで過ごす方法はないのでしょうか? 海外の研究から、幸福感を感じた状態「ウェルビーイング」を保つ工夫について報告がありました。日々を穏やかに過ごすための実践法として参考になるかもしれません。
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コロナ禍でも気持ちを穏やかに保つには?
コロナ禍で、日々、感染者数が報告されたり、外出自粛が求められたりすると、気持ちが晴れるいとまがなくなってきます。人と接する機会が減って、コミュニケーションが滞ってくるとなおさら。2020年7月に行われた米国の非営利団体の調査によると、成人の半数近くがコロナ禍によりメンタルに悪影響があったことが明らかになりました。これは3月に報告された数字が約3割だったので、大幅な増加とのこと。
そんななかで、米国ウィスコンシン大学マディソン校の研究グループが幸福感を高めるスキルに焦点を当てて研究。そこからコロナ禍をうまく乗り切るための意識の持ち方が見えてきました。
意識を自分自身、そして他者に向けていく
この研究で示されたのは、気持ちの持ち方が大事だということ。そのうえで、幸福感を高めるために大きく4つの実践法が紹介されています。ひとつは、身の回りと体内の感覚、思考、感情に意識を向けること。もうひとつは、感謝、やさしさ、思いやりをもって他者に接していくこと。さらに好奇心をもち、自分を知ろうとすること。最後は、自分の価値観やモチベーションを理解しようと考えること。研究グループは自分自身の気持ちや考え方を頭できちんと理解していく大切さを指摘。さらに、単純にこうした思いや考え方に意識を向けるばかりではなく、「意識を向けていること自体を自覚するといった発想」がよいと説明しています。
自分自身を見失ったり、他者を思いやるような余裕がなくなったりするのは問題といえるのでしょう。しかも自分のポジションをしっかりと認識することで、心の乱れも除けるということかもしれません。
こうした考え方の工夫によってストレスを減らすことができて、前向きな感情を高められるといいます。そのために役立つのが、瞑想などのトレーニング。メンタルを健全に保つことにつながるようです。感染症への対策がよく話題になりますが、国内でも心の健康にさらに注目が集まってきそうです。
<参考文献>
Research provides tools for achieving the ‘how’ of well-being in daily life
https://news.wisc.edu/research-provides-tools-for-achieving-the-how-of-well-being-in-daily-life/
Dahl CJ, Wilson-Mendenhall CD, Davidson RJ. The plasticity of well-being: A training-based framework for the cultivation of human flourishing. Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Dec 7:202014859. doi: 10.1073/pnas.2014859117. Epub ahead of print. PMID: 33288719.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33288719/
https://www.pnas.org/content/early/2020/12/04/2014859117