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魚を育てながら、野菜を栽培?! ハワイ州ホノルルのホテル「プリンス ワイキキ」がとり組むアクアポニックスとは
ハワイではここ数年間、地産地消が叫ばれ、またSDGsの考え方を持つ人が以前にも増して多くなってきました。2年間に及ぶコロナ禍から少しずつ立ち直りつつある、ここホノルルの4つ星ホテル「プリンスワイキキ」では、レストラン「100sails Restaurant & Bar」のシェフ、ブレイク・ワカマツさんが“アクアポニックス”というとり組みをしています。その様子を取材しました。
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アクアポニックスとは、従来の魚の養殖(アクアカルチャー)と水耕栽培(ハイドロポニクス)を組み合わせたシステムのこと。プリンス ワイキキの屋上にある余ったスペースで、ホテル内のレストラン「100sails Restaurant & Bar」のシェフ、ブレイク・ワカマツさんがそのとり組みをスタートさせたのは2018年。地元の農業者を助けたい、また農業や漁業において持続可能な方法は何かという気持ちから始めたと言います。
水槽の中にはティラピアと呼ばれる淡水魚。これを水槽中で育て、水槽中の水を野菜のコンテナに送ります。水中に含まれる魚の排泄物を微生物が分解し、植物がそれを栄養とし、太陽の光で浄化された水が、ろ過されて再び魚の水槽に戻るというシステムです。
このシステムによって、通常より1.5倍くらいの速さで野菜が成長するとのこと。魚の排泄物が肥料となるために化学物質を使わずオーガニックな製法で野菜が作られますし、水を循環させることから、通常の水耕栽培で使用する水の量の1割程度で済みます。
プリンスワイキキの菜園では、毎週木曜が収穫日。レタスなら2週間、青ネギなら約1か月で収穫 できます。収穫した野菜は、プリンス ワイキキのレストラン「100sails Restaurant & Bar」のレシピとして活用され、その多くはサラダで使われます。「でき上がった野菜は、通常の栽培方法で育てたものより甘い味になるので、なるべく生で食べる方法を考えています」(ワカマツシェフ)
ほかにもカフクと呼ばれるオアフ島の北部、またハワイ島からと、食材はハワイ諸島でなるべく調達するようにしているとワカマツシェフ。現在は、ハワイ全体が、GMO(遺伝子組み換え作物)を使わない、必ずしも形がそろっていなくても十分使える収穫物は食材として提供していくなど、フードロスを減らし 地産の食材を大切に消費していく意向が高まっていることを実感しているそう。
「当ホテルでは、現在リリコイやベビーレタスなどを100%オーガニックで作っています。このコロナ禍に、アメリカ本土から食材をとり寄せていては時間もかかるし、値段も高くなりますから、なるべく地産地消で行いたいという考えを持っています。パンデミックになってから今まで以上に地元の農園から購入しようという意識は高まっています」とワカマツシェフ。
将来的には、もっといろいろな種類のフルーツを作ったり、ミツバチを使ったはちみつ作りもしてみたい、と精力的に話していました。
取材・文/堀内章子
写真提供:プリンス ワイキキ