日本でも「co-op」「生協」として知られるCOOP(コープ)は、ヨーロッパが発祥の地。なかでもデンマークのCOOPは、SDGsのとり組みにおけるパイオニア的な存在です。大手スーパーマーケットを複数経営しているので、その社会的影響力はとても大きく、デンマークをSDGs先進国へと導いてきました。北欧デンマークのSDGs特集の最終回は、デジタル化も進めながら最先端のSDGsにとり組むデンマークCOOPをご紹介します。
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オーガニック食材を市民の手の届くところへ
まず、COOPが経営する デンマークのスーパーマーケットに入って真っ先に目に飛び込んでくるのが野菜のオーガニックコーナーです。オーガニックコーナーの目印は、全国統一のエコマークです。オーガニック食材は、値段は若干高めですが、そこまで大きな金額の差があるわけではありません。そのため、できる限りオーガニック食材を購入しようとする人が多いです。
COOP はデンマーク人がオーガニック食材に慣れ親しむうえで大きな役割を果たしました。1981年にデンマークで初めてスーパーマーケットにオーガニック食材を入れたのもCOOPです。その後、オーガニックブランドと連携するようになり、1990年代には本格的にオーガニック路線に乗り出していきます。大量にオーガニック食材を仕入れることにより、物流コストを抑え、オーガニック食材の価格を下げることにも成功しました。
オリジナル・エコブランド「Änglamark」
2006年には、COOPオリジナルのエコブランド「Änglamark」の販売を開始しました。「Änglamark」は、食材・日用品・スキンケア用品・ベビー用品まで豊富にそろっています。
また、そのほかのオーガニックブランドの商品も幅広く仕入れて販売しているほか、多様なニーズに応えるため、ヴィーガン・シュガーフリー・ラクトースフリー・グルテンフリーなどの商品も幅広くそろえています。
レジ袋はCOOPの廃棄したプラゴミをリサイクル
環境への意識も非常に高く、生産から消費にいたるすべてのプロセスにおいてサステナブル化を進めています。たとえば、スペインからの運送はトラックではなく電車に切り替えています。また、スーパーの各店舗の電力と熱は、ソーラーパネルや温水を循環させたシステムで供給しています。さらに、レジ袋はCOOP自身が廃棄したプラスチックのゴミをリサイクルして生産されています。
独自のクラウドファンディング・プラットフォームで商品開発をサポート
COOPはデジタル化も進んでいます。オンラインショップを持っているほか、アプリもあり、アプリを使ってセルフサービスのレジで商品を購入することもできます。
デジタル化でおもしろいのは、COOPが独自のクラウドファンディングのプラットフォームを持っていることです。商品開発のアイデアを掲載し、無事に目標金額の資金が集まって商品が開発されると、COOPのオンラインショップで商品を販売することができます。
さらに、COOPは2030年までにクライメートポジティブ(二酸化炭素や、メタン、フロンなど温室効果ガスの排出量が吸収量より少ない状態であること)に転換するという目標を掲げており、その目標を達成するために、2020年に「気候ファンディング」プロジェクトをスタートさせました。「気候ファンディング」とは、地球にやさしい商品の開発を特別サポートするクラウドファンディング・プロジェクトです。
ちなみに、COOPのクラウドファンディング・プラットフォームは、現在のトレンドを知るうえでも役立ちます。資金集めに成功しているプロジェクトを見れば、現在、消費者に求められている商品の傾向が見えてきます。オーガニック、ヴィーガン、地球にやさしい、生産者にやさしい、社会貢献などの要素が入っているプロジェクトが人気です。
さて、5回にわたってSDGs先進国である北欧デンマークの取り組み事例をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
これからの時代、人や地球に負担をかけないエシカルなプロジェクトが支持されます。本格的にSDGsにとり組むことは、大きなビジネスチャンスにもつながります。SDGs先進国・北欧デンマークのとり組みを、ぜひ皆さまのビジネスや活動のインスピレーションにお役立ていただけるとうれしいです。
文/針貝有佳
写真/針貝有佳、COOP app store、COOPcrowdfunding