美容に関するテクニックから、ときには人生について、全方向に経験豊かなアラフィフがズバズバ斬りつつも、親身にじっくりお答えする美容研究家・岡江美希さんの「お悩み相談室」。今回はスキンケアの基本ともいえる、クレンジングについておさらいしてみましょう。
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【お悩み】一周回ってクレンジングジプシー!化粧水クレンジングっていいの?
在宅ワークも増えたので、毎日のメイクは薄め。サッと落とせるローション=ふきとりタイプでメイクオフしているのですが、ちゃんと落とせてる? 使うのに向き不向きってありますか?
【岡江アドバイス】
メイクの主成分は油分です。水で油は落とせないので、ふきとり化粧水(ローション)タイプのクレンジングがいかに水っぽいテクスチャ―であっても、メイクが落ちる以上は界面活性剤が入っています。さて界面活性剤とは、成分の性質を変化させる物質の総称です。水となじむ親水性、油となじむ親油性2つの性質がひとつの分子の中に存在し、汚れを浮かせる働きがあるのは皆さますでにご存じのとおり。界面活性剤で代表的なのは石けん(脂肪酸塩)ですが、そのほかさまざまなものがあります。効果的に汚れを落とすので、スキンケアには欠かせない成分である反面、肌の上にのせたまま放置すれば、乾燥や毛穴の開き・黒ずみといったトラブルの原因になることも。
「ミルクタイプのほうが比較的肌にやさしい」なる説もよく耳にしますが、私から見れば「やさしいやさしいって言ったって、結局そのメイクが落ちる(=界面活性剤が入っている)んでしょう~!?」ってことです。どんなタイプでも多かれ少なかれ、肌に刺激があると断言できます。
私は昔「食用のオリーブオイルでメイクを落とす」なんて美容法もご紹介していましたが、あれも界面活性剤をいかに肌にのせないか? というテーマがあったからです。今は自分の会社のスキンケア用品で「自然界の乳化剤」と呼ばれる天然由来の界面活性剤である大豆レシチンを使ったクレンジングを作っていますので、それを使っていますけど。大豆レシチンは肌に残りづらいので、スッキリ洗い落とせるんです。だから「ふきとるだけでダブル洗顔不要」とうたわれているようなクレンジングは肌に界面活性剤を残してしまう。だから、日常使いはあまりおすすめできません。
化粧水タイプやジェルタイプ、テクスチャーの違いは使用感の好みで選び、その後の洗顔はしっかり行うこと。肌にやさしい処方のクレンジングという商品はありますが、それ以前に「長時間肌にのせない」「ゴシゴシこすらない」「メイクがスピーディに落ちるもの」を重視してほしいですね。そしてできればクレンジングは1分以内に終わらせること! クレンジングの形状がどうこう…と悩む前に、コレを重視してくださいね。それがスキンケアの基本よ。
取材・文/木下 頼子