基本的に毎日入るお風呂ですが、最近の研究で老化と入浴の気になる関係が明らかになったといいます。美容と健康だけではなく、老化にも大きな影響がある入浴について、入浴医学の第一人者でもある早坂信哉さんに教えていただきました。
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お風呂に毎日入らないとどうなる!?
お風呂は体の汚れを落としてリラックスする以外にも、さまざまな影響があります。まず、お風呂に入らないと血流が悪いままで、体の柔軟性が維持できません。体が硬いまま、女性はおばさん化していきます。
例えば、私たちの研究グループが13,786人の高齢者を3年間、調査研究したところ、毎日湯船に浸からない人は、要介護になりやすいという研究結果が明らかになっています。言い方を変えれば、毎日湯船に浸かる人は要介護になりにくいということで、健康寿命を延ばすことができるということです。病気しながら長生きするより、元気で長生きするほうがいいですよね。
理由としてはおそらく、湯船にちゃんと入っているということは、絶えずいい血流を保っているということ。その結果として、体の各細胞にいい栄養や酸素を運ぶことで、皮膚のターンオーバーも進み、体の内側から、本当の美容にもつながります。一方、湯船に浸かっていない人は、血流が悪く、体の機能が落ちやすいということです。
毎日、湯船にちゃんと浸かることが難しい人は、週に1回でも2回でもいいから、休日などに湯船に浸かるようにしましょう。近くのスーパー銭湯や温泉などを利用したりして、週に1回は広い湯船に浸かるというのもおすすめです。
ただし、42℃以上の熱いお湯に長時間浸かるのは避けましょう。熱いお湯は熱中症になったり、血圧が上がったり、肌を痛めるなどの原因になり、いいことはありません。40℃のお湯に10分くらい、肩まで浸かる全身浴をするのが基本です。もっと入っていたいときは、一回出て、体が少し冷えたらまた入るようにしましょう。
今すぐに見直したい!これはNG、体の洗い方
美肌のためには、体の洗い方も重要です。
ナイロンタオルなどでゴシゴシこすっては絶対ダメです! ボディスクラブやあかすりもNG。肌によくありません。垢はもともと人間に必要なもの。皮膚の一番表面にある角層はすごく薄く、約0.02㎜しかありません。これはラップ一枚分です。角層が自然に脱落する分にはいいですが、ゴシゴシこすってむりやりはがしては、肌が痛むのは当然です。皮膚のコーティングがとれてしまい、デリケートな皮膚が痛むと、かゆみにもつながります。不要な角質は毎日湯船に浸かっていれば自然にとれるので、ムリにこすらないようにしましょう。
そのためにも、体は泡立てた石けんを手でなでるようにして洗います。肌が荒れているときや、乾燥している冬などは、石けんすらつけなくてもいいくらいです。手で洗うのは、はじめは違和感があるかもしれませんが、2週間くらいで肌が変わってくると思います。ナイロンタオルは泡立てに使うだけにしましょう。
体を洗う石けんについては、基本的にあまり余計なものが入っていないシンプルな固形の石けんがおすすめです。それを試しに使ってみて、肌がつっぱるなどがあれば、自分に合うもの探していきましょう。
加齢臭や老化を防ぐためにできること2つ
朝シャンは、加齢臭を防ぐ効果があるといわれています。
朝、41℃のシャワーを1分間浴びるだけで、夕方まで加齢臭が抑えられるという研究結果もあります。夜お風呂に入っても、ひと晩寝るとどうしても寝汗をかいたりしているので、それがニオイの元となってしまいます。それを防ぐためにも、朝シャワーでリセットすることはおすすめです。
ほか、お風呂で歯磨きするのも効果的です。
血流がよくなって歯茎もやわらかくなり、入浴中に時間をかけてていねいに磨くことで汚れや歯石が落ちやすくなります。さらに、湯船に浸かっていると、リラックス効果で副交感神経が優位になり、その状態で歯磨きすることでサラサラの唾液が分泌。その中には皮膚の調子を整える成長ホルモンの一種が大量に分泌されているといいます。積極的に湯船に浸かりながら歯磨きしましょう。
取材・文/奥沢ナツ