日本食に欠かせないだし。なかでも身近なかつお節は、タンパク質が豊富に含まれています。また、集中力を高め、疲労を改善する物質と言われている「アンセリン」というアミノ酸が2つ結合した「ジペプチド」を含んでいることもわかっています。それだけに、毎日でもとりたいかつお節ですが、自分でだしをとるのはちょっとハードルが高め。そこで、創業300余年を誇るかつお節専門店「にんべん」で研究開発をしている荻野目望さんに、目からウロコの超お手軽なかつおだしの取り方を教えていただきました。今すぐ「かつおだし生活」をはじめましょう。
Contents 目次
体にうれしい栄養素が詰まったかつお節
だし材のかつお節には、筋肉や血液、骨をつくる元となるタンパク質をはじめ、マグネシウムやリン、鉄、亜鉛のほか、ナイアシンやビタミンB12などの成分が含まれています。タンパク質のもとになっているアミノ酸が2つ結合したジペプチドの中に疲労改善物質のアンセリンやカルノシンも含まれていることがわかっています」(荻野目望さん)。
また、このアンセリンやカルノシンには疲労改善作用や抗酸化作用も報告されています。
一番だしの簡単でおいしいとり方
そんな体にやさしいかつお節は、毎日しっかりとりたいもの。しかし、かつお節を使うといえば料理にかけたり混ぜたりするくらいで、かつお節からだしをとるのは面倒な印象が。「にんべんでは簡単なだしのとり方を紹介しています。だしは香りが重要です。ぜひできたての豊潤な香りを味わってください」
かつお節のだしのとり方
用意するもの
かつお節……30g(5ミニパック×6袋)
水……1000ml(1ℓ)
つくり方
1.水が沸騰したら火を止めて、かつお節30gをすべて入れる。
2.混ぜたりせずに、ただ1~2分間待つ。
3.ガーゼやキッチンペーパーなどでこしたら、「一番だし」のでき上がり。こすときは、えぐみを出さないためにもぎゅっとしぼらないこと。
おひとり様は急須やティーポットなどでお手軽にだしを
「基本的にだしはつくり置きしないで、1日で使い切りましょう。この分量で、3~4人前のおみそ汁がつくれますが、一人暮らしの方など、それでは多すぎるという場合は、急須やティーポット、コーヒードリッパーなどでつくるのがおすすめです。急須にかつお節を1パック(2.5~3.0g)いれて、熱湯(約100~120ml)を注ぎ、1~2分待つだけです」。
にんべんの公式ネットショップでは、電子レンジで1~3人分のだしがとれる専用の「だしポット」(削りぶし3種セット+限定レシピ付きで、3672円(税込み))も販売しています。とはいえ、急須などで代用できるのはとってもお手軽。すぐ試してみては?
「ほか、かつお節を使った簡単でヘルシーな料理としておすすめなのが、沖縄の郷土料理の『カチューユ』です。お椀にかつお節と、みそを入れてお湯を注ぐだけの簡単料理なのですが、風邪や二日酔いのときなど、体の調子がすぐれないときに飲む伝統食で、お好みで梅干しや塩こんぶ、ゴマ、ネギなどの具材を入れてもおいしいですよ」
にんべんでは、本物のだしのおいしさを味わってほしいと、1杯100円(税込・110ml)でかつお節だしやかつお・昆布合わせだしが飲める『日本橋だし場』を展開しています。「オープンから今年で8年目を迎え、かつお節だし累計83万杯を達成しました。低カロリーなのに、香りが高く、うま味があるので薄味でも満足感が高い飲み物として、コーヒーやお茶の代わりに飲む方が増えています。カフェインレスですし、コーヒーやお茶はついお菓子が食べたくなりますが、だしは単体だけで満足できます」
ブレイクタイムの新しい新定番として、飲む「だし生活」をはじめてみては?
取材・文/奥沢ナツ