おうち時間で賢く、また外でもスマートにアルコールを選び、スマイルで飲む「スマ飲み」が今、話題に。そこで、お酒を飲んでも太らない方法を、ダイエットカウンセラーであり、管理栄養士の伊達友美さんに今回から3回にわたって教えてもらいます。初回は、スマ飲みでスマートなるために、ふだんの食事や生活で気をつけたいことをアドバイス。
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お酒を飲まずにいられないのは、脳の栄養が不足しているサイン
毎日、忙しく過ごしていると「飲まずにいられない!」という気分になることがあります。そんな気分のままお酒を飲むと、暴飲暴食に走ってしまいそうですが、飲み過ぎを防ぐにはどうすればいいでしょう?
「お酒が好きな人にとって、お酒は心の栄養です。そのため、ストレス度合いが強くなるほど、お酒を飲みたくなる傾向がありますが、『飲まずにいられない!』と感じるのは、脳の栄養が不足しているサインでもあります。特に、水分と糖質が不足気味に。水分は脳をはじめ、人間の体を構成する成分の中で最も多く、糖質は脳を元気に働かせるエネルギー源です。脳にとって重要な成分が不足すると脳の機能が低下し、自律神経をコントロールする視床下部に悪影響が出てきます。すると、自律神経のバランスがくずれてストレスに対抗する力が弱まり『飲まずにいられない!』という状態になるのです。ふだんから、水分と糖分をしっかりとり、脳の栄養を十分に満たすことが大切ですね」(伊達さん)
「水分をしっかりとって」と聞くと「水をたくさん飲まなくちゃ!」と、思われるかもしれませんが、水分は飲みものだけでなく、食事からもとることができます。
「例えば一汁三菜が基本の和定食を食べると、1食で500ml程度の水分をとることができます。というのも、お米を炊くときに使う水は、米粒にすべて吸収されますし、煮ものをつくるときに使う水も、素材に吸収されるため、和食を食べると自然に水分が補給できるからです。一方、パンや卵料理、サラダ、コーヒーなどの洋食からは水分をとりにくく、1食にとれる水分量は和食の半分程度。水分をしっかりとるには、食事メニューを見直すことも大事です」
水分の適量には個人差があり、自分の適量を見極めることも、水分補給を行うためのポイントと言えます。
「食事内容や生活行動パターンなどによって、水分の適量は1人ひとり異なります。そのため、一般的な適量にとらわれて水分を多くとりすぎると、冷えやむくみを招く原因にもなりかねません。水分が不足している場合は、体が本能的に必要とするため、体の声に耳を傾けることが大切ですね。見極めが難しい場合は、食事から水分をとることを心がけ、主食をごはんにし、みそ汁などの汁ものをつけて、自分の体と相談しましょう。食事を和食中心にすると、脳に必要な糖質をごはんから、適度な水分をごはんと汁ものから効率よく摂取できるため、ストレスへの抵抗力が高まり、お酒への欲求がおさまってくるでしょう」
たっぷり汗をかいたあとに飲むアルコールが、太る原因に!
気をつけたいのは、お酒をおいしく飲むために、あえて水分をとらないこと。
「『体を動かしたあとに飲む冷たいビールは最高!』と感じている人は多いかもしれませんね。気持ちは十分にわかりますが、要注意です。運動中など、汗をかいているのに水分補給をガマンしてアルコールを飲むと、血液ドロドロ&肥満のリスクが高まります。
また、汗をたくさんかくこと自体も、気をつけたい点です。発汗は上昇した体温を下げることが目的なので、体が冷えている人が汗をたくさんかくと、冷えが悪化し代謝を下げることになってしまうのです。また、発汗=デトックスと思っている人もいるかもしれませんが、毒素の排泄は汗より尿の方が約7倍も多いのです。そのため必要以上に汗をかき、体の外にムダに水分を出すと、尿の量が減って毒素を十分に排出できなくなってしまいます。その結果、体内に毒素が蓄積され、代謝が下がる悪循環を招くことに。運動や入浴、サウナに入るときなどは水分補給をしながら、じんわり汗をかく程度で留めておくことが、お酒を飲んでも太らないようにするためだけでなく、冷えや代謝の低下を防ぐための対策のひとつと言えます」
次回は「スマ飲み」の実践編として、お酒を飲みながらスマートになるための飲み方、食べ方をご紹介します。
取材・文/野口美奈子
〈参考書籍〉
『ダイエットカウンセラーが教えるお酒を飲んでも太らないうまい食べ方』 (青春文庫)