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「プラントベースミート」はやっぱり健康的? 海外研究で8週食べて体に現れた変化とは

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代替肉のステーキ

大豆ミートなど、ベジタリアンには身近な植物由来の「代替肉(プラントベースミート)」。その味や食感がよくなるにつれて、健康にも環境にもやさしいと、ベジタリアンに限らず利用が広がってきているようです。代替肉は塩分や脂肪が多いことがネックとされますが、では本当に体によいのでしょうか? 海外研究では、8週間食べ続けた研究結果が報告されました。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

食べ続けることで体に変化がある?

豆腐

代替肉は植物由来なので健康によいイメージがありますが、健康への悪影響を気にする声も上がっているのです。というのも、代替肉は動物の肉には望めないヘルシーな食物繊維を含む一方、それはあくまで人工的に作られた食品であり、いわば「超」加工食品。具体的には高血圧やコレステロール血症につながる飽和脂肪と塩分が多いのですが、植物由来の代替肉と動物の肉を比較したデータはまだ多くありません。

今回、米国スタンフォード大学の研究グループは、脂質やインスリン、血圧、体重など心臓や血管の病気に関連する要素がどんな影響を受けるのかを比較しました。

特に注目したのは、心臓や血管の病気やがんのリスク要素として最近浮上している「トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)」という化合物。赤身の肉を食べると血液中のTMAOが増加することや、ビーガンの人はTMAOの血中濃度が低いことなどが知られています。研究では、おおむね健康な36人に、全体で16週間にわたる研究に参加してもらいました。植物由来の代替肉と動物の肉をそれぞれ8週間、1日2回以上食べてもらい、肉以外の食品や飲み物はできるだけ変えないようにして(豆腐などのほかの植物由来たんぱく源や魚も制限)、各期間の終わりに血液検査などを行いました。

有害な影響は見られず

食材

こうして確認されたのが、全体的に代替肉を食べているときのほうが、通常の肉を食べているときよりも健康上の問題が少ないということでした。具体的には、植物由来の代替肉を食べている期間が終わったあとのほうが、動物の肉を食べている期間が終わったあとよりも血液中のTMAOとLDLコレステロール、体重が低めになることが確認されたのです。また、代替肉を食べている期間が終わってからも、有害な影響は認められませんでした。

なお、TMAOは、赤身の肉に比較的多く含まれるコリンやカルニチンを腸内細菌が代謝することで生成されるため、今回の研究では腸内細菌も分析しました。この結果、個人差はあるものの、代替肉、通常の肉をそれぞれ食べた期間のあとの腸内細菌の状態に変化は見られませんでした。

植物由来の代替肉はTMAOなどの心臓や血管の病気になるリスク要素が減って、加工食品という性質による副作用も見られないと、研究グループは結論づけています。

また、TMAOについては、代替肉を食べていたときのほうが、血中濃度が大きく下がったこともあって、腸内細菌の関与についてさらに調べる必要があると指摘しています。

<参考文献>
Crimarco A, Springfield S, Petlura C, Streaty T, Cunanan K, Lee J, Fielding-Singh P, Carter MM, Topf MA, Wastyk HC, Sonnenburg ED, Sonnenburg JL, Gardner CD. A randomized crossover trial on the effect of plant-based compared with animal-based meat on trimethylamine-N-oxide and cardiovascular disease risk factors in generally healthy adults: Study With Appetizing Plantfood-Meat Eating Alternative Trial (SWAP-MEAT). Am J Clin Nutr. 2020 Nov 11;112(5):1188-1199. doi: 10.1093/ajcn/nqaa203. PMID: 32780794; PMCID: PMC7657338.
https://academic.oup.com/ajcn/article/112/5/1188/5890315?searchresult=1

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