発達した筋肉とほどよい脂肪が女性らしいラインをつくる！

女性らしく、細く引き締まった体。そうなるためには、「ただ脂肪を減らせばいい」と考えていませんか？
「脂肪は、とてもやわらかい組織。脂肪の内側にある、弾力のある筋肉でメリハリあるラインの土台をつくり、その上にほどよく脂肪がのることで、しなやかに引き締まった体ができるのです。たるみのない腕やスッキリしたおなか、スラリとした脚、形のいい豊かな胸さえも、筋肉がしっかり発達していることでつくられるもの。また、女性らしい体の凹凸は女性ホルモンの働きによるところが大きいのですが、脂肪を減らし過ぎると、その分泌が低下。体脂肪率は15～20％が目安です」（東京大学大学院教授・石井直方先生）

筋肉を増やして代謝アップ！

やせやすく、太りにくい体質づくりにも、筋肉は大きく関係しています。
「筋肉が増えると、体のエネルギー代謝が上がります。筋肉はエネルギー代謝の中の『熱をつくって体温を保つ』『体を動かす』という働きにおいて、もっともたくさんのエネルギーを消費する器官。そのため筋肉が増えるほど、同じ働きをするにも、より多くのエネルギーを消費できるように。その結果、やせやすくなるのです」（石井先生）

ダイエット成功は体重減より脂肪減＆筋肉キープにあり！

スタイルがよくなる＝体重が減ること。その考えは、はたして正しいのでしょうか？
「体重が減ることは、確かにやせたことの表れ。でも、キレイに やせたかどうかの証明になるわけではありません。体重的には、筋肉のほうが重いため運動せずに筋肉を中心に減らしたほうが、体重は軽くなります。しかし、重いということは、同じ重さでも脂肪より体積が小さいということ。ですから、同じ身長・体重の２人を比べた場合、筋肉が多い人のほうが、引き締まってスリム に見えるもの。ダイエット中は体重だけでなく、サイズや体脂肪率にも注目すべきです」（石井先生）

やせやすくなる筋肉はエネルギーをムダ使いする速筋

筋肉には、どんな種類があるのでしょうか。
「大きく分けて、遅筋と速筋の２種類があります。遅筋は日常生活での軽い活動で、こまめにエネルギーを消費する筋肉。速筋はいざというとき、大きな力を出す活動のために使ったり、安静時に熱をつくったりするために使う筋肉です。遅筋と速筋では、活動の頻度が少ない速筋のほうが、エネルギー消費量は大きいため、速筋の多い体こそ、エネルギー消費量の多い体＝やせやすい体。動かなくてもエネルギーを消費するうえ、増やしていくと遅筋の長所も兼ね備えるようになります。速筋を効率よく増やすには筋トレが効果的です」（石井先生）

適度なトレーニングと休養で筋肉を育てる

筋トレというと、ハードなイメージがつきまとうもの。女性でも、続けることができるのでしょうか？
「トレーニングをやればやるほど筋肉は増えると思いがちですが、そうではありません。筋肉を効率よく増やすために、ハードなトレーニングで筋肉を疲労させ過ぎるのは逆効果。適度に疲労させ、休養をとってしっかり回復させることで、順調に増えていきます。目安としては、10～20回程度でもうムリ、と思える運動を２～３日に１回行うのがベスト。同じ運動がラクに感じるようになったら、その時点で10～20回でムリと感じる運動に変えてみましょう。この運動でどの部分に効かせたいか、意識しながら行うことも、効果アップにつながります」（石井先生）

メリハリボディづくりに重要なのに、意外に目を向けられていない筋肉。
ダイエットのためであれば、ハードな筋トレではなく、ややキツイと感じる程度の運動を続けていけばそれでOK！

自分が続けられるエクサを見つけて、習慣としてとり入れれば、メリハリボディも夢じゃない！

監修/石井直方、構成・文/室川円香